ハッピー・ニューイヤー!今年もよろしくだってばよ!(Ξ`ー´Ξ)
忍の仕事納めは除夜の鐘まで。
鐘が鳴る頃里の外れで花火が上がるのが慣わし。
家族と恋人と仕事仲間と。
第七班メンバーのナルトは誰と過ごす?
窓を開けると冷たい空気が流れ込んできてナルトは肩を震わせた。
冬の風に触れてほんのり頬が赤くなる。
世間が祝いに浮かれる頃木ノ葉にもまたひとつ新しい年が訪れた。
六時間前、新年の幕開けをカウントダウンしたナルトは部屋の窓から朝日を浴びて綺麗に輝く里を眺めた。
後ろのベッドにはこんもり盛り上ったシーツとその中で眠る銀髪の男の顔が覗く。
「また一年よろしくだってばよカカシせんせー」
六時間前。
「やっべ間に合わねーけど!間に合わす!」
矛盾を叫んだナルトが仲間を振り返り、
「なに言ってんだナルトこの距離だぜ?無理だろ」
赤丸に跨がったキバが突っ込む。
「とは言え、カカシさんはとっくに里に戻ってんだろ?」
先に離脱していた二人に後から追い付いたシカマルが口を挟んだ。
彼ら三人はたった今Sランク任務を終えた所だ。
「予定じゃ一時間前に」
「カカシさんなら予定通りに任務終わらせてんだろ。なら急がねーとな」
シカマルの合意にキバがギョッとする。
「げっ!せっかく任務終わったのにこれ以上疲れるよーなことを」
「キバには悪ぃが報告の時間も定められてる。何しろ今日はどの忍も仕事納めだからな」
「ナニィ!?」
「諦めろってば。あと三十分で今年が終わっちまうんだから!」
事務員も引き上げて除夜の鐘か花火の会場へ行ってしまう。
「へーへー。そう言うんならっオレが一番乗りだぜ!」
今までより頭ひとつ飛び出して二人を振り切る。
「出たキバの本気!」
「オレ達も負けてらんねーだろ」
親指を立てたシカマルが笑いナルトもスピードアップした。
里の門をくぐった所でキバがナルトの背を叩きシカマルと共に別の道へ分かれた。
ナルトは背を押された勢いのままにいつもは眠っている人々がいる大通りを走り空を見上げた。
今夜はライトアップされた木ノ葉代々の顔岩と修練の洞窟の入口が見える。
ナルトは父ミナトが修業する以前のように修復された場所でカカシと待ち合わせていた。
その場所へ駆け上がりながらカウントする。
5・4・3・2・・・。
滑り込み一番上に立つ。
「いーちっ!」
同時に里の外れの川で花火が上がった。新年を祝う歓声がここまで聞こえてくる。
「ナルト」
空の花灯りに照らされたカカシが微笑んで手を伸ばした。
「ギリギリセーフだってばよ!」
「な~に言ってんのお前は」
カカシはナルトの額当てに唇を押し当て、口付けを掠め取った。
大人になってもその顔に幼い頃の面影を残してナルトがはにかむ。照れ隠しさり気ない素振りで花火を指さすのをカカシは密かに笑う。
この子は本当に分かりやすい。
「ま、とにかく今年もよろしく」
トンッと肩をぶつけて隣に並ぶと、見上げたナルトがほんの少し背伸びをして、先程の仕返しにキスをした。
「こちらこそ!だってばよ」
不意打ちを受けたカカシは左手をポケットに突っ込んだまま一瞬止まり、ナルトはその腕に手をかけて笑った。
「よろしくな、カカシ先生!」
カカシの手がするりと抜けて二人の手が繋がる。
新年の幕開けだった。
END