シダの芽生え
ハート型した前葉体
ハート型した前葉体
お正月の鏡餅の飾り付けに使うウラジロの葉は見たことがあるでしょうか?
夫婦円満(対になった葉)や長寿(白髪になるまで)の象徴、また清廉潔白(葉の裏が白い)な心を表す縁起物として使われるそうです。
ウラジロ(裏白、ウラジロ科)は、アジアの温帯から熱帯に分布し、日本では本州中部以南に広く生育するシダ植物の代表的な存在です。大きな二回羽状複葉(にかいうじょうふくよう)で、葉の上面は緑色で裏面は粉っぽい白色をしています。日当たりのよい斜面に大群落を作っているのを見かけることもあります。
シダ植物は、根・茎・葉の区別があって、維管束(水や養分を運ぶ管)を持ちますが、種子は作らず、胞子で増える植物であることは中学校の理科で習います。
日本には多くのシダ植物が自生していて、700種以上が知られていますが、中学校で紹介されるのは、イヌワラビやゼンマイ、スギナ(土筆:つくし)くらいでしょうか。
日本では、土筆(スギナの胞子茎)、ワラビやゼンマイやコゴミ(クサソテツ)などの若芽を山菜として利用する文化がありますね。シダ植物を食べる文化も世界中にあるのだそうです(調べてみてね)。
前葉体は配偶体(はいぐうたい)とも言われ、卵を作る造卵器(ぞうらんき)と精子を作る造精器(ぞうせいき)ができて、有性生殖が行われる生活環(ライフサイクル)での大切なステージになります。
先日、五條市大塔町の山道沿いで、シダ植物の前葉体を見かけたので少し紹介したいと思います。
多くのシダ植物では、胞子が飛んでいって、条件のよい場所に落ちると、胞子が発芽して小さな「前葉体(ぜんようたい)」と呼ばれる姿になります。
前葉体、教科書にはイラストや写真が載っていますが、実物を見たことある方はいますか?
小さく目立たないので、よほど関心のある方でないと観察したことはないのではないかと思います。
ハート型で薄くて平べったい。この前葉体の地面側に造卵器と造精器が作られます。
受精した卵が育つと、胞子体が育ってきます。胞子体が大きくなる頃には、前葉体は役目を終えて枯れてしまいます。
前葉体が生えた場所では、胞子体の芽生えもちらほら見つかりました。
前葉体から胞子体が芽生えている状態。胞子体の芽生え以外にも芽が出ていましたが、いわゆる無性芽(むせいが)にあたるものでしょうか?
小さく目立たないシダ植物の前葉体(=配偶体)ですが、最近の研究では、DNAの情報を調べることで日本では胞子体が見つかっていないシダ植物が見つかる例もあるのだそうです。まだまだ、知られていない事は多いのでしょうね。
今回は野外で見つけた前葉体(種類は不明)の写真を掲載しましたが、スギナの胞子を育てて前葉体を作ることもできるそうですので、機会があればチャレンジしたいなと思いました。
<参考>
DNA 情報を活用したシダ植物の配偶体フロラの調査~日本でも,まだまだ新産種は見つかる~植物科学最前線 12:159 (2021)