教育研究所の構内や周辺で見かけたキノコを紹介します(それほど多くはないが)。
菫埃茸。別名ムラサキチドメ、スミレノウタケ。田の畔や畑地、池の土手などイネ科の草の枯れたものが堆積するような場所に多いキノコ。9月のヒガンバナが花茎を伸ばしだす頃によく見かける。成長途中ではソフトボール大の白っぽい塊状のキノコで、成熟すると紫褐色の胞子を出すようになる。
薄歯茸。シワタケ科のキノコで、広葉樹の枯木に発生する。写真のキノコはカワヅザクラ(河津桜)の枝に発生していた。背着生~半背着生で、傘はあまり発達しない。下面の子実層は薄歯状になる。
粉吹猿腰掛。マンネンタケ科のキノコで、広葉樹の生木、切株、枯木に発生する。褐色~赤褐色の胞子を放出し、それが傘の上や周辺の草木にも堆積して「粉をまぶしたよう」になっていることがある。広義としたのは、肉眼的には区別しづらい複数種があるらしいから。
大白唐傘茸。ハラタケ科のキノコで、元々は熱帯から亜熱帯に分布する種。温暖化の影響で分布域を広げている。1990年代に関西でも見つかるようになった。公園の芝生や河川敷の草地などに群生することもある。傘の直径は普通10cmくらいだが、大きなものでは20cmを超えることがある。
緋色茸。タマチョレイタケ科。南方系のキノコで、広葉樹(まれに針葉樹)の枯れ枝に発生している。鮮やかな緋色をしたキノコで、傘下面も濃紅色の細かい管孔状。
比較的大きな子実体を作るキノコの仲間ですが、日本に何種類あるのか?はっきりしていません。種子植物や哺乳動物など研究が進んだ分類群では、図鑑を調べたら種名が分かる場合が多いのですが、キノコはそう簡単ではありません。ましてやカビの範疇の小さな菌類や地衣類も名前調べは大変です。無理に種名を付けないことも大切です。
近年の出版業界の苦境で、書籍としての図鑑の刊行はなかなか難しいようで、本格的な新しいキノコ図鑑は当分出版されそうにないですし、出ても非常に高価になると思います。
Webでキノコの情報を発信されている研究者の方もおられるので、いくつか紹介しておきましょう。
<キノコ調べの参考になるサイトなど>