実験で使ったゼリーの残りをシャーレに入れたまま放置していたら、いろいろなカビのコロニーが生えてきた。空中に漂っていた胞子がゼリー上に落ちて発生したコロニー達。色合いもカラフルだ。
カビの仲間の見分けは難しいので、これかな?程度の分類しかできないが、顕微鏡での観察対象として面白いもののひとつだろう。いくつか観察してみた。(ただし、免疫力が低下していたりすると日和見感染するカビもあるし、強い毒を生産するカビもあるので、シャーレに蓋をしたり、換気したり、マスクを着用したり、胞子を多量に吸わないように注意が必要だろう。)
顕微鏡で見るには、カビの生えたゼリーの一部を先の細いピンセットでつまんで、スライドグラスに載せ、封入液は使わずにカバーグラスをそっと被せただけで見た方が良い。水などの封入液を入れると、胞子が流されてしまって、本来の形が分からなくなる。40~200倍程度の倍率では、カバーグラスも不要だろう。
黒い胞子を作るカビ
肉眼的にはケカビの仲間かクモノスカビの仲間かとも思ったが、顕微鏡で見ると、胞子を付ける分生子柄の先にフィアライドと呼ばれる紡錘形の細胞があるので、クロコウジカビの仲間かなと思う。
淡い緑色のカビ
アオカビ類の1種。胞子を付ける分生子柄の先に多数の胞子が連なって付き、ホウキのような形になっている。落射照明や暗視野照明で観察すると、ガラス細工のように見えて美しい。
菌糸が黒っぽいカビ
種類は分からなかった。コロニーは濃い緑褐色でビロード状。黒っぽいコロニーになるカビの候補として、クロカワカビや黒カビと呼ばれるクラドスポリウム属(Cladosporium)、オーレオバシヂウム属(Aureobasidium)などがあるらしい。菌糸から直接胞子が形成されているように見えること、胞子自体が分裂して増えているように見えることから、オーレオバシヂウム属かな?とも思う。
白いカビ
種類は分からなかった。透明な菌糸が伸びていたが、胞子らしいものは、まだできていなかった。
位相差顕微鏡を使うと、染色せずに透明なものの内部構造を生きたまま見ることができる。位相差観察法には、専用のコンデンサーレンズと専用の対物レンズが必要になるが、透明なものにコントラストを付けることができる。