ハスの葉の観察
~超撥水、ロータス効果の秘密~
~超撥水、ロータス効果の秘密~
近所にある小さな池には、ハスが植えられている。梅雨明け頃には大きな花を咲かせていたが、9月現在は丸い大きな葉が茂っているだけです。このハスの葉、じつは凄い撥水性(はっすいせい)で知られています。
葉の上で、コロコロと転がるように滑りますよ~
実験してみると、葉の上に注いだ水は丸い水滴となって、素早く流れてしまいます。葉の角度を調整して素早く流れないようにしても、水滴は丸くなって葉の上を転がり、葉の表面が濡れることはありません。
「泥中の蓮」「蓮は泥より出でて泥に染まらず」とはよく言ったもので、泥の中から出てきた蓮の葉や花のように、どんなに酷い環境にあっても清らかさを失わないことを表す諺(ことわざ)があります。
ハスの葉が持つ超撥水効果を英名のロータス(Lotus)から「ロータス効果」と呼ぶそうです。ロータス効果は、葉の表面の微細構造によって効果を発揮しています。
百聞は一見に如かず、葉の表面を顕微鏡で観察してみましょう。
ハスの葉の切れ端を、スライドグラスに貼り付け、落射照明で顕微鏡観察しました。
何かツブツブした突起が密生しているのが分かります。
次に、簡易ミクロトームで薄切りにして、断面のプレパラートを作って観察しました。
突起が並んで、凹凸した様子がよくわかります。
ロータス効果は、微細な凹凸構造と、さらに表面に存在するワックス成分が水分をはじくというダブルの作用で、凄い撥水性を発揮しています。ハスの葉の工夫を真似て作られた、撥水塗料や外壁材や布、ガラス板などもあり、バイオミメティクス(biomimetics=生物模倣技術)の例として有名です。
<ハスの葉の撥水性を真似したバイオミメティックスの例>
一部のヨーグルト製品の蓋には、ロータス効果を真似した撥水加工がされていて、蓋にヨーグルトが付かないように工夫されています。
顕微鏡でも観察してみました。
デジカメのマクロ機能で接写。表面にツブツブが並んでいる様子が分かります。
顕微鏡(落射照明、100倍)で観察。ハスの葉の突起よりも粗いが、これでも水をはじく効果がある。