イチョウの葉が黄葉して、葉が落ちる季節になりました。イチョウの葉は独特の扇形で葉脈の様子も特徴的です。逆さになったトーナメント表のような感じで、葉先に向かって二又分枝しながら伸びています。
公園や校庭などに植えられることも多いイチョウですが、約3億年前のペルム紀から中生代にかけて繁栄した起源の古い植物の仲間で、現在生き残っているのはイチョウただ1種という、いわゆる「生きた化石」と呼ばれる生き物です。
先日、大阪市の公園に訪れた際に、イチョウの木が歩道沿いに植えられていました。何となく落ち葉を見ていると、イチョウの種子(銀杏:ぎんなん)がなる木が混じっていることに気づきました。
イチョウの木は、雌雄異株(しゆういかぶ)で、実(=種子)がなるのは雌株のみです。イチョウの種子は、種皮(しゅひ)の部分に酪酸(らくさん)という成分が含まれていて、多くの人にとって不快な臭いがします(タヌキにとっては魅力的な薫りらしい)。このため、街路樹では実のならない雄株の木が選ばれて植えられることが多いようです。
どうやって雄株と雌株を区別しているのでしょうか。
厳密には生殖器官(胚珠のある雌花)を確認する必要があるのですが、未熟な苗木では確認できません。ある程度見分ける方法として、幹に対する側枝の出る角度が参考になるのだそうです。雄株では枝が斜め上方に伸び、雌株では枝が水平に伸び先端が垂れる傾向が強いとのことです。
ちなみに京都市左京区の街路樹30本(上の写真)を観察したところ、実のなる雌株はありませんでした。皆さんの身近にあるイチョウ並木ではどうでしょうか?
面白いことに、雄株のイチョウの枝に種子が実るようになった例も知られており、枝変わりで性転換することもあるのだそうです。植物の性は複雑ですね。