奈良県立教育研究所の周辺で、2025年6月に見かけた虫(蟲)たち(写真を撮れた種類)。
網目蟻。体長約2.5mmの小さなアリ、腹部が丸く光沢がある。アカメガシワの葉の花外蜜腺に集まっていた。アリ科の昆虫で、東南アジアから東アジアに広く分布する種。巣を持たず、餌を求めて集団移動し、働きアリだけで産卵し繁殖するそうだ。
塩屋虻。ムシヒキアブ科の昆虫で、日本各地に分布。肉食性でいろいろな昆虫を獲る。オスの腹部先端には白い毛がある。
赤羽根背負飛蝗。日本・中国・韓国・台湾・ハワイに分布。日本ではもともと南西諸島にのみ生息していたが、2008年に大阪府で確認されて以来、近畿地方を中心に分布が広がっている。奈良盆地の市街地では、普通のオンブバッタよりもよく見られるようになった。
腹広蜻蛉。トンボ科の昆虫で北海道南部~種子島に分布する。腹部が太く扁平なのが名の由来。未熟な成虫は全身が黄色いが、雄は成熟すると全身が黒化し、青白い粉をつけたようになる。
塵蜘蛛。コガネグモ科の蜘蛛。日本、韓国、中国に分布。円い網を垂直に張り、網の中央の縦糸に沿って、食べかすなどのゴミを集めてゴミに紛れるようにじっとしている。矢印の先あたりにクモがいるのが分かるかな?
露虫。キリギリスの仲間で触覚が長い。キリギリスの仲間だが肉食ではなく、草食性。後翅が長く、半分近くが前翅から飛び出ている。
星笹切。キリギリスの仲間で触覚が長い。横から見ると翅に黒い点が並んでいる。日本のササキリの仲間では最も小型の種類。
雛飛蝗。乾燥した草地に棲むが、乾燥に弱く、十分に水分が摂れないと半日程度、時には数時間で死んでしまうそうな。
精霊飛蝗。バッタ科の昆虫で、ユーラシア大陸の熱帯から温帯の背の低いイネ科植物が生えた明るい草原に広く分布する。
赤花雷葉虫。別名アカバナトビハムシ。アカバナ科に集まるカミナリハムシの一種。
メマツヨイグサの葉を食べていた。
黄金蜘蛛。腹部の黄色と黒の横しま模様が特徴的。コガネグモ科の蜘蛛で、日本、台湾、朝鮮、中国に分布。大きくなるのはメスの個体で、きれいな円形の網を作って、頭を下に向けて中心で獲物が掛かるのを待っている。8本の脚を2本ずつそろえて伸ばし、X字状の姿勢で居ることが多い。オスは網を作らず、5mmほどと小さい。
鹿の子蛾。ヒトリガ科の昆虫。黒い翅に白い斑紋が特徴的。蛾っぽくなく、一見蜂に見えたりするが、フタオビドロバチ類に擬態していると言われている。
菜亀。中国~日本に分布するカメムシ科の昆虫で、アブラナ科の植物に集まる。写真もマメグンバイナズナの果序に群がっていた様子。観察した道沿いには同じようなマメグンバイナズナがたくさん生えていたが、ナガメはいくつかの株に集まっていた。集合フェロモンとかあるのかもしれない。
腹広蟷螂。関東以南に分布するカマキリ科の昆虫。この卵嚢は、昨年産まれたもの。成虫は樹上にいることが多い。
星三條。タテハチョウ科の昆虫で、後翅の裏面付け根に黒点があるのが特徴。このアングルで写真が撮れたので、すぐに分かった。幼虫は、コデマリ・ユキヤナギ・カエデ・シモツケなどを食草とする。教育研究所の植え込みにはユキヤナギもあるので、そこで発生した個体かもしれない。
気になったのは、水路の壁面にびっしりと付いていた白い抜け殻様のもの、よく見ると生き物ではない。どうやら稲作で使われるプラスチック被覆肥料の被膜殻らしい。この殻、河川を流下して海洋へ流出するため、問題となっているようだ。
兜海老。幅40cmくらいの用水路にいた。たぶんアメリカカブトエビ。水田に水が張られてしばらくすると発生するが、田植え前なのに、もうかなり大きくなっている個体もいた。
水路の底にはカワニナやヒメタニシ、シジミ類やスクミリンゴガイの殻も見られた。
馬蛭。用水路にいた大型の蛭。伸びると10cm以上になる。ウマビルは吸血性ではなく、巻き貝類を捕食する。
小青花潜。コガネムシ科の昆虫。ハナムグリ類の中でもっとも普通で、花に集まって花粉や花蜜を食べる。写真の個体も花粉まみれになっていた。1種類の花を集中して訪れる性質(一貫訪花)があり、花粉媒介者として植物にとって都合のよい虫らしい。
足長蠅。アナベル(アメリカノリノキ)の葉上にいた。小さいが、金属光沢が美しいハエだ。
土稲子。バッタ科の昆虫で、トノサマバッタに似るが、全身が褐色で細かい毛が生えている。眼の下に涙のような黒い線模様があるのも特徴。また、成虫で越冬するので、春でも成虫が見つかる。
殿様飛蝗。バッタ科の昆虫で、アフリカ~ユーラシア大陸北部~日本に分布する。別名ダイミョウバッタ。主にイネ科の植物を食べるが、しばしば昆虫の死骸なども食べる。年に2回発生し、初夏と秋に成虫になる。
蟷螂。草地で獲物を狙っているのを見かけた。幼虫で体色が褐色なのだが、たぶんチョウセンカマキリ。カマキリ目カマキリ科の昆虫。
<参考>カマキリの見分け方
キオビツチバチ
黄帯土蜂。ツチバチ科の昆虫。真っ黒な体に黒い翅。よく見るとわりと毛深く、腹部第3節に薄黄色の帯模様がある。触角が長いので、雄のようだ。雌は土中に潜むコガネムシ類の幼虫を刺して麻痺させ、その横に産卵し、幼虫はそのコガネムシ類の幼虫を食べて育つらしい。
北黄蝶。翅は黄色で、外縁は黒色の縁どりがある。成虫で越冬し、幼虫はマメ科のネムノキやハギ類の葉を食べて育つ。
イチモンジセセリ
一文字せせり。セセリチョウ科の昆虫で、後翅裏に並ぶ4つの銀紋が特徴。幼虫はイネ科やカヤツリグサ科の植物を食べる。里山環境では普通に見られるチョウだが、最近の調査で減少ペースが絶滅危惧種の基準に相当する6.9%と判明したそうだ・・・。
黄揚羽。アゲハチョウ科の昆虫でユーラシア大陸と北米大陸に広く分布。アゲハチョウよりも黄色みが強い。幼虫はセリ、シシウド、パセリなどのセリ科の植物を食べる。
運動場のフェンス沿いなどに多いマツバゼリに付いていました。
鳶頭百足。オオムカデ科のムカデ。頭部が鳶色(とびいろ、赤暗い茶褐色)の大きなムカデ。
教育研究所の枯れたケヤキの幹上にいた。体長は15cmくらいはあった。百足と書くが、脚は21対、つまり42本しかない。肉食性でゴキブリやバッタ、ガなどの昆虫やネズミなどの小動物も捕食する。
糸蜻蛉。用水路上に伸びた草の穂に停まっていた。クロイトトンボ類のメスかな~?
黄斑亀虫。ヒラドツツジの葉裏に卵から孵化した幼虫が集団でいた。赤黒白の縞模様は独特。
↓成虫もいた。
小草蜘蛛。ツツジ類の植え込みに棚状の巣を作るクモ。たぶん、コクサグモ。ヒゲナガアブラムシ類の有翅成虫が巣に掛かった?のに襲いかかろうとしていた。
縞刺亀虫。腹側部と脚の白黒の縞模様が特徴的なサシガメ科のカメムシ。サクラの木の下のツツジ類の植え込みにいた。イモムシ類などの昆虫を捕まえ、ストロー状に尖った口を刺して体液を吸う。
黒蜚●。ゴキブリ科。散水ホースのリール下にいた。最近は屋外でも普通に見かけるようになった。
褄黒豹紋。タテハチョウ科。プランターに植えられたパンジー(三色スミレ)を食べていた。
蛹になっていました。
成虫も飛んでいました。
羽黒蜻蛉。別名ホソホソトンボ。東アジアから北米に分布するカワトンボ科の昆虫。雄は緑色の金属光沢のある体に黒い翅、普通種だが美しいトンボだ。