花粉とは、種子植物の繁殖で花の雄しべから出る粉状の粒。一般的に花粉は細胞壁が厚くて、形は種によって異なり、とても多様な姿を見せてくれる。
花粉は20~50μm程度の大きさのものが多く、小中学校の理科室にある学習用顕微鏡での観察対象としても適している。花粉の形は、丸に近いもの(球形と卵形)が多く、約8割を占めるが、特徴的な形のものや大きな見やすい花粉を持つ種類を知っておくと、より顕微鏡での観察が楽しくなるだろう。
花粉の大きさや形の違いと、それぞれの植物の受粉方法等を考察するのも良いだろう。
2つの気嚢が付いている
4つの粒がくっついている
三角形でネバネバした糸がついている
(キク科)コセンダングサの頭花
コセンダングサの雌しべと花粉
(キク科)セイタカアワダチソウの花
セイタカアワダチソウの花粉(落射照明)
(アカバナ科)ユウゲショウの花
ユウゲショウの花粉(400倍)
ハクチョウソウ(ガウラ)の花
(アカバナ科)ハクチョウソウ(ガウラ)の花粉、100倍
(アカバナ科)メマツヨイグサの花粉(100倍)
(アカバナ科)コマツヨイグサの花粉(100倍)
(アオイ科)ハイビスカスの花
ハイビスカスの花粉(400倍)
(アオイ科)ワタの花
ワタの花粉(落射照明、100倍)
(アオイ科)オクラ(アメリカネリ)の花
オクラの花粉(落射照明、100倍)
(アオイ科)ヤノネボンテンカの花
ヤノネボンテンカの花粉(400倍)
(オシロイバナ科)オシロイバナの花
オシロイバナの花粉(400倍)
(スミレ科)パンジーの花
パンジーの花粉
ススキの花(小穂)
ススキの雌しべと花粉
シンテッポウユリの花
シンテッポウユリの花粉(落射照明、100倍)
シンテッポウユリの花粉(透過照明、100倍)
ユリ(カサブランカ)の花粉(落射照明、100倍)
ユリ(カサブランカ)の花粉、透過照明400倍
(アヤメ科)カンザキアヤメの花
カンザキアヤメの花粉
<参考>
文一総合出版>BuNa(ブナ)>保存版! 顕微鏡で花粉の形を観察するコツ
花粉の観察でプレパラートを作る際、封入液には質量パーセント濃度で13%の砂糖水(水20mLとスティックシュガー3gを溶かす、0.4mol/Lのスクロース溶液)を用いると良いそうだ。この濃度の砂糖水は、多くの花粉に対して等張液で、花粉の中の液体と同じ濃度であるため、花粉が凹んだり破裂したりすることを防ぐことができる。
いろいろな花粉の観察<お茶の水女子大学・理科教材データベース
顕微鏡<安全安心ドキュメント<公益社団法人日本理科教育振興協会(JAPSE)