異形葉の話
-みんな違ってみんないい-
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「同じ大きさ、同じ形の葉っぱは無い」と言ったら、どう思いますか?
身近な木の葉を10枚もらってきて、見比べてみたら分かるでしょうか。同じ大きさ、同じ形の葉っぱは見つからないのではないでしょうか。
どの葉も微妙に大きさや形が違っていますし、色も虫食いの跡も違っていることでしょう。
それでも、アジサイの葉はアジサイの葉と分かるし、マツの葉はマツの葉と区別はできますよね。教室の皆を見ても、一人一人は背丈も体重も顔つきも違っていますが、ヒトである点では共通していると分かるのと同じことです。
でも、同じ木の葉っぱが、まるで別種のように違った形(=異形葉性)になることもあるんです。いくつか例を挙げてみます。
若い木や萌芽の枝の葉はトゲが多い。
老木の葉はトゲが少なくなる傾向がある。それでも葉先のトゲだけは残ることが多い。
桑の木の葉は、大きく切れ込みがあったり無かったり、1本の枝の葉でも形が違っているのが特徴だ。
生け垣や庭木などに使われるカイヅカイブキ。一部の枝が鋭い針状の葉を付けることがある。
カイヅカイブキの異形葉。
左側が針葉(しんよう)で、右側が通常の鱗片葉(りんぺんよう)。全く違ったタイプの葉に変化する。
みんな違ってみんないい、金子みすゞの詩「私と小鳥と鈴と」の最後のフレーズです。多様性や個性を尊重する意味で広く知られています。
同じように見えてしまう葉っぱの観察でも「同じ大きさ、同じ形の葉っぱは無い」ことを知っておくと、この大きさ・形の葉は、世界に1枚しか無いと思えて、見え方が少し違ってきませんか?
<参考>