教育研究所の玄関前の植え込みの隅にツメクサの仲間が生えていた。よ~く見ると葉の厚いタイプと葉が細く茎もひょろ長いタイプの2種があるようだった。調べてみたら、葉の厚いのは「ハマツメクサ」か「ツメクサ」で、細いのは「イトツメクサ」か「キヌイトツメクサ」のようだった。きちんと区別したい場合は、種子の表面の様子を顕微鏡で観察したら良いらしい。さっそく見てみることにした。
<参考>
紙の上で、実のできたツメクサ類をトントンすると、細かいタネ(=種子)が落ちる。紙のヘラを作って、かき集め、プレパラートを作る。
落射照明+100倍でみた種子の様子。目立った突起はなくモコモコした凹凸がある。この種子は、ハマツメクサのものだ。ということで葉の厚いタイプは「ハマツメクサ」と同定できた。
駐車場の隅にも生えていた
ハマツメクサの生えている様子。アスファルトの隙間にも生える。なんてたくましい。
画鋲を刺したような形状の突起が生えていた。色合いも薄い黄褐色で、ハマツメクサとは全然違う。このタイプは「キヌイトツメクサ」と同定できた。
葛城市の當麻寺にある「護念院」さんの庭を拝見する機会があった。ここの住職は虫や自然がお好きな方で、境内林を来園者に気持ちよく見ていただけるよう手入れにも気をつかっていることや、江戸期から残る由緒ある庭であることなど、いろいろ教えていただいた。
ふと足下に生えているツメクサ類に目がとまって、よく見たらハマツメクサでもキヌイトツメクサでもなさそう。おそらくツメクサだ。ということで、1株いただいて来た。
ビンゴ! 表面に円筒状の突起が並んでいた。これは「ツメクサ」と同定できた。お寺で見つけただけに、阿弥陀如来像の頭のツブツブ(螺髪、らほつ)を彷彿とさせる。
ハマツメクサ、ツメクサ、キヌイトツメクサの種子の顕微鏡写真を並べてみた。種子の表面の様子を観察することで、見分けることができた。植物に限らないが、小さな生き物では、顕微鏡で見ないと違いが分からないような場合は多い。また、ルーペや顕微鏡で見ることで新たな発見があったりもするので、積極的に使ったら良いと思う。