拓本(たくほん)とか、フロッタージュとか、聞いたことはあるだろうか。
表面がでこぼこした物の上に紙を被せて密着させ、墨をつけたタンポや鉛筆などでこすって、表面のでこぼこ模様を紙に写し取る技法のことだ。この技法で葉っぱの形を写しとったものを「葉拓(ようたく)」という。とても簡単にできるので、葉拓を作ってみよう。
葉拓に向く葉っぱや向かない葉っぱもあるので、いろいろ試してみるといい。
<用意する物>
□ 葉っぱ
□ コピー用紙(葉を貼り付ける台紙にする)
□ 薄い紙(トレーシングペーパーや半紙など、拓本用)
□ 木工ボンド
□ セロハンテープ
□ 色鉛筆や絵コンテなど
□ 葉っぱの図鑑(あれば)
でこぼこしているのは、葉の裏面側なので、裏面が上になるようにボンドなどでコピー用紙に貼り付ける。
トレーシングペーパーなどの薄い紙を被せて、薄紙が動かないように四隅をテープなどで固定する。
色鉛筆や絵コンテなどで、葉の部分を軽くこすると、葉の凹凸が紙に写しとられる。
この時、指で紙をぴんと張りながら、鉛筆を斜めに倒して使うとうまく転写できる。
いろんな葉っぱで試してみるといい。きれいに葉脈が写しとられる葉っぱや、あまりきれいに写しとれない葉っぱもあるだろう。葉柄(ようへい)部分も忘れずに写しとろう。
樹種によって、葉脈の入り方に違いがあることや、葉の縁のギザギザ(鋸歯)のようすなど、葉の形も観察しよう。
写しとった葉拓をハサミで切り抜いて、台紙に貼り、ラミネート加工して、しおりを作ってみた。木の名前や日付などを書いておくと、記念になると思う。
昭和16年、文部省著作・発行の『自然の観察』という小学校教員用の教科書がある。復刻版が農文教から出版されている。その第21課「もみじ」の中で、葉拓が取り上げられている。
児童を野山に連れて行き、木の葉が色づく様子や秋空の美しさ、ススキの穂、野菊の花、小鳥の声などに触れることの大切さを示している。紅葉した葉を日にすかして見たり、いろいろな形の落葉を拾い、どの木から落ちてきたのか探したり、紅葉していない木もあったりと、自然の移り変わりを心に刻むように仕向けるように説かれている。拾った葉は押し葉にして持ち帰り、後日工作や葉拓の材料として使うカリキュラム案となっている。
現在では、デジカメやスキャナで簡単に記録が残せるが、葉拓のような原始的な手法での記録も体験として良いし、印象に残ると思う。
<参考サイト・書籍>
葉脈をうまく出す方法!葉拓を自由研究で作ってみよう<All About
https://allabout.co.jp/gm/gc/72925/
「落葉樹の葉 拓本図譜」、山と溪谷社 (2008)
https://www.yamakei.co.jp/products/2807070240%20.html
おうちでかんたん葉拓で楽しもう!|九電みらい財団
https://www.youtube.com/watch?v=RqUafhsH-gU
「復刊 自然の観察」昭和16年文部省、農文協(2009)p184~191
https://ir.lib.shimane-u.ac.jp/55029/files/13032