野のマメを観察
植物のヘソを見る
植物のヘソを見る
5月中旬になると、春先に花を咲かせていた草木の実が実ってくる。晴れた日に教育研究所の周辺を散策していると「パチッ・・・パチッ・・・」と草叢から小さな音が聞こえてきた。何の音か?と、音のしたあたりを見ると、ヤハズエンドウ(=カラスノエンドウ)の黒くなった果実(=豆果)が枯れた茎に実っていた。
自力散布
ヤハズエンドウやスズメノエンドウなどの果実は、熟すと鞘が弾けて、その反動で中の種子(=マメ)を飛ばして散布する。こういう種子散布の方法を自力散布や自動散布と呼ぶ。
先のパチッ・・・という音は、豆鞘が弾ける時の音だった。
<参考>
野豌豆(マメ科ソラマメ属)の仲間では、ヤハズエンドウやスズメノエンドウ、カスマグサが教育研究所の周辺でも見られる。
ナヨクサフジ(弱草藤)はマメ科ソラマメ属、ヨーロッパ原産の野草で、1943年に日本での記録がある。ヘアリーベッチ(hairy vetch)と呼ばれ、農地の緑肥用途などで種子が販売されているそうだ。今では広範囲に蔓延って、土手一面に咲くナヨクサフジを見かけることも多くなった。
花期が長く、5月下旬でも花が旺盛に咲いていた。同時期に大きくなった実も見られる。ヤハズエンドウやスズメノエンドウは花期が終わり実が黒く熟していた。果実や種子を見比べてみた。
大きさは、スズメノエンドウ<ヤハズエンドウ<ナヨクサフジの順。かなり大きさが違う。
種子(=豆)のヘソを見えるようにして撮影。ヘソの色味や形状、種皮の模様など、こうやって見ると違いがあることがわかる。種子のヘソは、親植物と繋がっていた部分で、哺乳類のヘソと同じような部分だ。
<参考>