タマネギの表皮細胞の観察
理科の実験では定番ですね。
普段あまり気にしていないかも知れませんが、タマネギの食べている部分って植物の葉なのに、白いですよね。園芸では球根(きゅうこん)とも呼ばれますが、養分を蓄えた肉厚の葉(鱗茎葉:りんけいよう)が多数重なって球状になったものです。この鱗茎葉の部分は、光合成をしないので、葉緑体がなく、白く見えます。
スライドグラスに薄い表皮をのせて、水で封入して、顕微鏡で観察した状態です。細胞壁に囲まれた細長い細胞が多数見えます。でも細胞内の器官は何も見えません・・・。
理科の授業では、細胞内の核を見やすくするため、専用の試薬が用いられます。酢酸カーミン(アセトカーミン)や酢酸オルセインが有名ですが、皮膚や目に対する刺激性があったり、少量での入手は難しく、高価でもあります。
普通の家庭でも入手が容易な、代用品はないでしょうか。あるんです。
それが「液体ハミガキ」です。磨き残しを赤く染めるタイプの液体ハミガキは、細胞内の核を染色するのに使えます(おまけにイチゴやミントの香りもします)。成分を見ると、赤105とか赤3という色素が含まれています。赤105は、別名ローズベンガルとも呼ばれる有機塩素系化合物で、食品着色料として使われています。赤3は、エリスロシンというタール色素の一種です。
<参考>タマネギの表皮細胞の観察
細胞の核が染まっていますね。1つの細胞に1つの核。核は染色しないと普通の光学顕微鏡では見にくいです。
位相差顕微鏡では、水で封入しただけの細胞でも核がよく見えます。
染色薬で染めると細胞が死んでしまうため、細胞が生きた状態で細胞内の器官を見やすく観察できないかと考えられたのが、位相差顕微鏡や微分干渉顕微鏡です(口の中の細菌を検査したりする歯医者さんがよく使っている顕微鏡です。大学の生物研究室とか、大きな自然史博物館とかにもあると思います)。