老眼鏡で望遠鏡
かんたんな工作で作る天体望遠鏡で月を見よう
かんたんな工作で作る天体望遠鏡で月を見よう
2025年は、8月7日が立秋でした。暦の上では「秋」のようですが、残暑は厳しく、まだまだ秋の気配は感じないですね。秋と言えば、中秋の名月です。月見団子も食べれますし。満月は毎月見れますが、大気の状況や月の見える高度など、昔から秋が月を見るには適した季節とされているようです。中秋は、旧暦の8月15日にあたり、この前後での満月を中秋の名月として「観月の宴」が開かれたそうです。2025年は10月6日が中秋の名月にあたります。
<参考>月の朔望のページ<こよみのページ
月は地球から最も近く、肉眼での観察でも表面の模様が見える唯一の天体です。月の模様、日本では「餅をつくウサギ」が定番ですが、世界ではいろんな見做しがあるようです。
月は大きく明るく見えるので、小さな望遠鏡で見ても感激できる数少ない観察対象です。学校やご家庭に双眼鏡や天体望遠鏡があれば、月の観察はぜひしてほしいなと思います。
▼ケプラー式望遠鏡を作る
100円ショップで入手できる老眼鏡やルーペのレンズ。
ルーペの代わりに、小さめの虫めがねのレンズを2~3枚使う方法もあります。
100円のオペラグラスの対物レンズを2枚使った接眼レンズもまあまあ使えました。
対物レンズに焦点距離の長い老眼鏡レンズ、接眼レンズに10~15倍程度のルーペを使って作れます。
老眼鏡レンズの焦点距離は、1000mm÷度数で計算できます。度数1.5の場合は、1000÷1.5≒667mmになります。接眼レンズの焦点距離は、250mm÷倍率で計算できます。倍率が15倍の場合は、250÷15≒16.7mmになります。望遠鏡の観察倍率は、対物レンズの焦点距離÷接眼レンズの焦点距離になります。上の例では、667÷16.7≒39.9倍となります。
以下の作例は、教育研究所2階ロビーに展示しています。
作例写真。対物レンズ側から
作例写真。接眼レンズ側から
<工夫したポイント>
接眼レンズと対物レンズは一直線に並ぶように調整します。ラップの芯の内部には、黒い画用紙を丸めて入れて、余分な光の乱反射を押さえています。木材のレールの上をスライドさせてピントを合わせるようにしています。目標物を導入しやすいように、ヒートンを対物レンズ側と接眼レンズ側に付けて、簡易な照準器(照星:しょうせい)として追加しました。望遠鏡の重心付近にW1/4インチのインサートナットを付けて、カメラ三脚に取り付けできるようにしました。
▼ガリレオ式望遠鏡を作る
接眼レンズに凹レンズを用いる「ガリレオ式望遠鏡」を作ってみました。
凹レンズの入手が案外難しいのですが、100円ショップで売られているオペラグラスの接眼レンズのパーツを利用する方法が最も簡単かなと思います。でも、今回は理科室でプランクトンなどの顕微鏡観察する際に利用するホールスライドグラスの凹んだ部分を凹レンズとして利用してみました。
望遠鏡の対物レンズは、+2.5度の老眼鏡のレンズ(焦点距離は400mm)。
鏡筒には、ラップ芯の紙筒を利用しました。
レンズを紙筒に固定する方法は、工夫してみてください。下記は一例です。
上記の作例では、倍率が約2.5倍のガリレオ式望遠鏡になりました。接眼レンズに使った凹レンズ部分の焦点距離は、400mm÷2.5くらい=約160mm(凹レンズなので-160mm)になるようです。ガリレオ式望遠鏡は視野が狭いのですが、案外シャープに見えます。もっと焦点距離の長い対物レンズを使えば、倍率は上げられます(ただし長くなるし、さらに視野が狭くなります。倍率の2乗に反比例して視野が狭くなるそうです)。お手軽にガリレオが作ったような望遠鏡での観察体験ができることが良いですね。
いろいろ工夫して、ぜひ自作の天体望遠鏡を作って、月などの観察をしてみてください~。