方位磁石が指す北の方向は「磁北:じほく」と呼ばれています。
ほとんどの地図は「真北:しんぼく」が上側になるように作られています。真北とは地球の自転軸の北極点(地理的な北極)を指します。
磁北は、地図上の「真北」とはずれがあります。このずれは「偏角:へんかく」と呼ばれ、場所や時間によって変化します。磁北が真北より東側にある場合を「東偏:とうへん」、西側にある場合を「西偏:せいへん」と呼び、現在日本ではほぼすべての地域で西偏となっています。
<参考>
ちなみに奈良県では、約7.5度西にずれています(2025年時点)。このずれを知っていないと、方位磁石の指す方向と、地図の真北の方向が少し違うため、地図を読み誤ってしまう原因にもなります。
方位磁石のN極側が北を指します。
このことは古くから知られていましたが、16世紀のイギリスの物理学者によって地球そのものが大きな磁石と示されました。地球の磁場は、北極側にS極、南極側にN極があることが分かったのです。
さらに、1634年には地球の磁場の方向が年月と共にゆっくりと変化していることをイギリスの天文学者が発見しました。
磁北は少しずつ移動している
方位磁石の指す磁北は、局所的な地球磁場の影響を受けるので、 地磁気北極と磁北極の向きのどちらとも異なるそうです(実はかなりややこしい・・・)。日本付近では、10年で0.1~0.5度くらい西へと移動しているらしいです。
地磁気は逆にもなっていた
さらに、1929年に日本の地球物理学者が地磁気の向きが南北逆になる現象があったことを発見しました。過去に何回も反転したことが分かっていますが、最後の地磁気の反転は約78万年前に起こっていて、現在は方位磁石のN極側が北を指しています。
<参考>地磁気逆転
地磁気のバリア
地磁気が地球の周りに作る「磁気のバリア」は、宇宙空間から飛来する高エネルギーの粒子(宇宙線や太陽風)が地球の大気や水を拡散させるのを防いでいます。また、地球上の生命を危険な宇宙線や太陽からの紫外線から保護する役割もしてくれています。