奈良県立教育研究所の周辺で、2025年5月に見かけた虫(蟲)たち(写真を撮れた種類)。
Ramie髪切。カラムシなどに集まる小型のカミキリムシで初夏に見られる。鮮やかな黒と緑白色に色分けされた独特の模様が特徴的。温暖化で分布域が北上中らしい。
背斑黄金。体長10mm前後の小さなコガネムシで翅にまだら模様がある。
天道虫。黒地の翅に4つの紋があるタイプ。
葉虫。クワハムシかな? エノキの葉上にいた。
黄斑亀虫。東南アジア原産の外来種で、都市部の街路樹や庭木などで普通に見られるようになった。サクラ、カキノキ、フジ、ニセアカシア、クワ、エノキ、ウメなどいろいろな樹の汁を吸う。
泡立草軍配。体長3.5mm~3.7mmの昆虫。北アメリカ原産で2000年に兵庫県で確認されて以来、分布が広がっている。セイタカアワダチソウやヒマワリなど多くのキク科植物の葉裏に付き、吸汁する。
背高泡立草髭長油虫。1991年に日本でも移入が確認された北アメリカ原産の昆虫。体長4mmくらいになり、赤色で脚や触角は黒い。セイタカアワダチソウの茎や葉にびっしり付いているのを見かける。セイタカアワダチソウ自体は1900年頃に日本に持ち込まれた植物なので、90年くらいは日本のセイタカアワダチソウには、このアブラムシはいなかったのだろう。今ではどこでも普通に見かける。
塩辛蜻蛉。田んぼや湿地などに生息するトンボ科の昆虫。オスとメスで体色が違っていて、写真の個体はメス(もしくは未成熟のオス)。この体色のものは、ムギワラトンボ(麦藁蜻蛉)とも呼ばれる。成虫は4月中旬から10月頃に見られる。
細針亀虫。ヘリカメムシ科の昆虫で、イネの害虫としても知られる。
縞黒葉蜂。プリベット(セイヨウイボタノキ)にたくさん飛来していた。後脚の縞模様が特徴的なハバチ。
背黒脚長蜂。越冬から目覚めた女王蜂が巣作りに適した場所を探し回っていた。
蓬葉虫。体長7~8mmくらいのハムシで成虫で越冬し、キク科のヨモギやヤマシロギクなどの葉を食べる。写真の個体はヨモギにいた。
黒星筒葉虫。八重桜の葉上にとまっていた。赤地に黒い斑点模様で、ナナホシテントウ風に見える。
並天道。普通のテントウムシ。ケヤキの葉上にいた。黒地に赤い斑点のあるタイプ。ケヤキの幹の樹皮には、卵が産みつけられていた。
段斑天道虫。ケヤキの葉上にいた。ナミテントウと同じように、個体毎の模様の変化が大きい。南西諸島など南方に行くほど変わった模様の個体が多いそうだ。ナミテントウに似ているが、羽の縁の方の反り具合や触角の先の形などで見分けると良い。
禿玉虫。ケヤキの葉裏にいた。おそらくヤノナミガタチビタマムシ。体長3~4mmの小さなタマムシ。幼虫は、葉の内部に潜りこんで内側を食べる「リーフマイナー(潜葉虫)」。
鶉亀虫。イネ科の草の穂にいた。模様がウズラ卵に似ているのが名の由来。長細い三角形になった頭部と縦筋模様が特徴的だ。
南青亀虫。アオカメムシ類の一つで、イネ科の害虫。亜熱帯地域に分布していたが、温暖化の影響で生息地域を広げつつある。
玉堅介殻虫?。ウメの木の枝にいた。バラ科樹木に集団で寄生、多発すると枝を枯死させる害虫だそうだ。アカホシテントウが天敵のひとつ。
広縁青毒棘蛾。中国からインドが原産の蛾で、1920年頃に移入したらしい。イラガ科なので、幼虫や繭には毒毛があり、刺さると皮膚炎になります。
花蜘蛛。カニグモ科のクモの1種。花の近くによく見られ、花に集まる虫を捕えて食べる。写真の個体は雌のようだ。頭胸部および脚は緑色で腹部は白っぽい。腹部の斑紋は変異が多いそうだ。
小型瑠璃葉虫。ギシギシの葉が穴だらけになっているところにいた。「ギシギシ、ハムシ」で検索したら、あっさりと該当の昆虫にたどり着いた。体長5-6mmほどの小さな甲虫で、幼虫・成虫ともにタデ科のギシギシ類、スイバ、イタドリなどの葉を食べるそうだ。スイバやギシギシは、シュウ酸を多く含むので、とても酸っぱい。「蓼食う虫も好きずき(=人の好みは、その人ごとにさまざまであること)」を地でゆく虫である。
<参考>ボロボロギシギシ
姫丸鰹節虫。カツオブシムシ科の甲虫で、体長3mm。初夏に花に群れ、花粉を食べる。特にハルジオンやマーガレットなど白い花に多い。
幼虫は動物質の繊維・角質を食べるため、毛や絹製の衣服、毛皮、剥製や昆虫標本などを食害する。
黒糸蜻蛉類。用水路に生えていた枯草の上で雄雌が繋がって止まっていた。前のが雄で後ろが雌。胸部や尾部の模様から、ムスジイトトンボかな?
蜜蜂。ニホンミツバチかな。ナヨクサフジの花にやってきていた。後ろ脚に花粉をたくさんつけている。
花薊馬。花粉を観察しようとユウゲショウの花を採ってきたら、花に小さなアザミウマ類が付いていた。ピンピンと跳ねて動き回る。顕微鏡で見ると、触覚の中程の色が薄く、たぶんヒラズハナアザミウマ。
アザミウマ目の昆虫の翅は、棒状の軸に房状の細かい毛が羽毛のように生えている。花粉などの細胞壁に穴をあけて、中身を吸うそうだ。