花外蜜腺の観察
~花以外でも甘い蜜でアリを集める植物~
~花以外でも甘い蜜でアリを集める植物~
梅雨明け7月、暑い夏の時期での自然観察は、熱中症対策が必須になりました。
この時期、サクラやアカメガシワの葉っぱを見ていると、小さなアリが盛んにやってきている様子が観察されます。アリは何をしに木の枝を登ってきているのでしょう?
この膨らみ(orくぼみ)は表面から蜜を出していて、花外蜜腺(かがいみつせん)と呼ばれる器官です。植物は花以外でも蜜を出すことがあるのですね。蜜でアリを集めて、何か良いことがあるのでしょうか?
アリをよく見ていると、サクラやアカメガシワの葉っぱの葉柄などにある膨らみに集まって、何やら食べているように見えます。
(アリは、アミメアリ)
葉身の基部や葉の縁にある
葉身の基部や葉柄の上のほうにある
アリは、葉や茎を食べる他の昆虫を追い払う役割をしてくれることがありますので、植物にとっても有益なのです。その報酬として甘い蜜を提供していると考えられています。
(2025/8/5追記)先日、教員研修で「花の蜜と花外蜜腺の蜜では成分は違っているのか?」との質問をもらいました。少し調べたら、あまり例は見つかりませんでしたが、いくつかの植物で研究されていて、成分には違いがあることが知られているようです。
葉身の基部にある
葉の基部の下側にある
小中学校の校庭などで見つけやすい花外蜜腺を持つ植物としては、サクラ類の葉、ナンキンハゼの葉、アカメガシワの葉、ヤハズエンドウの托葉(たくよう)、イタドリ(葉柄の基部のくぼみ)、センダン(葉柄の基部など)、ホウセンカ(葉柄の突起)、オクラ(萼の基部)、ワタ(萼や副萼の基部・葉の裏の主脈)、ソラマメの托葉、ヤブツルアズキ(花序の節部)、観葉植物のパキラ(カイエンナッツ、Pachira glabra、葉や茎)などがあります。
山に行かないとですが、イイギリ(葉柄)、オオアブラギリ(葉身の基部)なども見やすい花外蜜腺を持つ植物です。