キキョウの花の観察
他家受粉をするための工夫
他家受粉をするための工夫
6月下旬。植え込みにキキョウの蕾が膨らんでいた。園芸ではよく植えられる植物だが、本来、日当たりのよい山野に自生する植物だ。しかし自生地は少なくなっており、多くの都道府県で絶滅危惧種に選定されている状況。
キキョウ科の多年生草本で、英名は baloon flower(バルーンフラワー)。膨らんでいく蕾を風船に喩えた名だ。
キキョウの花の開花を時間を追って観察すると、面白い性質に気が付くだろう。
開花直後
雄しべも雌しべも未熟な状態。
まず、雄しべが熟して、花粉を出す 。
(正確には、花粉は雌しべの花柱の周りに生えた毛(集粉毛)に付着する)
雄しべが萎れると、
雌しべが熟して先端(柱頭)が開く。
このように、雄しべが先に成熟してから、雌しべが後に熟する性質は、雄性先熟(ゆうせいせんじゅく)と呼ばれて、多くの植物で観察できる。
自家受粉を避け、遺伝子組合せの多様性を増やす他家受粉の可能性を上げるための植物の工夫と考えられている。
逆に雌しべが先に成熟する雌性先熟(しせいせんじゅく)の植物(オオバコ、キツネノボタン 、クスノキ、モクレン、ロウバイ、アボカドなど)も知られている。