スベリヒユ(滑りヒユ)は、畑や路傍、荒れ地や庭などの日当たりの良い場所によく生えるスベリヒユ科の野草で、夏から初秋にかけて小さな黄色い花を咲かせる。熱帯から温帯に広く分布し、日本でも全土で見られる。
地域によって食用に栽培されており、栄養豊富なスーパーフードとも言われる(癖もなく美味しいですよ)。教育研究所の周辺の農地でも、旺盛に葉茎を茂らせているのを見かける。
さて、教育研究所の周辺の農地で、隣り合って生えているスベリヒユの株を見ていて、ふと疑問に思った。
写真上の株は葉が大きく植物体自体も大きく育っているが花は開いておらず、写真下の株は葉は色濃く小さめで植物体自体も小さめだが黄色い花を咲かせている。
同じ場所に生育しているのに、何が違うのだろう?
少し調べてみたら、スベリヒユには開放花と閉鎖花があり、開放花のみの個体(開放花型)と閉鎖花のみの個体(閉鎖花型)があるのだそうだ。なるほど、写真上の株が閉鎖花型で、写真下の株が開放花型なのだろう。
ある農村部のスベリヒユでは、開放花型が23%になるらしい。さらに、東京都市部の乾燥した過酷な環境では、閉鎖花型が大半(94%)になるのだとか。
<参考>
これが、閉鎖花かな?
果実(蓋果、がいか)。
実の上部が蓋のように取れる。
スベリヒユの実は蓋果(がいか)と呼ばれるタイプで、果実が横に割れて上半分が蓋のように開く。下半分はカップ状になっていて内部に種子がある。このカップに雨滴が当たると種子が飛び散る、雨滴散布といわれる。
でも上半分の蓋の中にも種子が入っていて、こちらは重力散布になるのかな?
種子を拡大して見ると、なんか種枕(しゅちん、エライオソーム?)っぽい白い小さな付属体があるけれど、アリ散布はしないのだろうか?(ちょっと調べたが不明だ・・・)
夏の暑さに負けずに咲いていたスベリヒユ。身近な野草だが、案外知られていない謎が多いのかもしれないなと改めて思った次第。誰か夏休みの自由研究で調べてくれないかな?