奈良県立教育研究所の周辺で、2025年4月に見かけた虫(蟲)たち(写真を撮れた種類)。
並揚羽。3月末くらいから越冬した蛹が羽化し、春型の成虫が見られるようになる。
日本、台湾、中国、朝鮮半島、沿海地方に分布する。幼虫はミカン、カラタチ、サンショウなどのミカン科植物の葉を食べて育つ。
青条揚羽。別名クロタイマイ。黒地に青緑色の帯模様が美しい揚羽蝶。青緑模様の部分には鱗粉がない。幼虫はクスノキ科のクスノキ、タブノキ、シロダモ、ヤブニッケイなどの葉を食べて育つ。蛹で越冬し、成虫は5~10月頃に見られるが、最近は暖かいので、4月に成虫を見ることもあるようだ。
紋白蝶。北半球の温帯、亜寒帯に広く分布する。日本でも全国で見られ、小学校3年生が昆虫の飼育を通して、生き物の観察をする基本を学ぶための教材として取り上げられる。
日本には、奈良時代に大根の栽培に伴って移入してきた外来種。幼虫は、キャベツや大根などのアブラナ科植物の葉を食べて育ち、年に4~5回ほど発生する。
紋黄蝶。ユーラシア大陸~亜熱帯に生息する。モンシロチョウなどと同じシロチョウ科のチョウの一種で、幼虫はシロツメクサやウマゴヤシなどマメ科の植物を食べて育ち、年に2回発生する。成虫は5~9月頃に見られるが、最近は暖かいので、4月に成虫を見ることもあるようだ。
褄黄蝶。雄の前翅の先端が橙黄色(雌は灰色)になるため。年に1回発生し、3~5月の間にだけ成虫が見られる。幼虫はタネツケバナ、ナズナなどの花や果実を好んで食べる。夏から冬の間は蛹で過ごす。
紅小灰蝶。ユーラシア大陸と北アメリカ大陸に分布。日本に生息するのは、Lycaena phlaeas daimioという亜種。幼虫はスイバ、ヒメスイバ、ギシギシなどのタデ科植物の葉を食べる。
大和小灰蝶。英名はPale grass blue(淡い草色)。コメツブツメクサの上で交尾していた。
本州から南西諸島まで広く分布。幼虫はカタバミを食べて育ち、年に5~6化、成虫は4~12月に見られる。
外来種であるムラサキカタバミやイモカタバミでは育たない。オッタチカタバミ、アカカタバミ、ミヤマカタバミでの生育についても不明らしい(誰か調べて~)。身近なチョウだが、まだまだ知られていない生態があるようだ。
燕小灰蝶。後翅に尾状の突起があり、これをツバメの尾羽(燕尾)に見立てた名。
広くユーラシア大陸の温帯に分布する。幼虫はシロツメクサやカラスノエンドウなどのマメ科の植物を食べる。
黄立羽。翅表が山吹色で、褐色の縁取りと黒い斑点がある。成虫で越冬する。幼虫はクワ科のカナムグラを食べる。インドシナ半島から中国、台湾、朝鮮半島、日本まで分布する。
ヤガ科の蛾の一種。本州~沖縄、台湾、インド、大平洋地域、オーストラリアに分布。
幼虫の食草は、バラ(バラ科)、ウバメガシ(ブナ科)、トウゴマ(トウダイグサ科)、サルスベリ(ミソハギ科)などとある。私はミモザ類(マメ科)に付いている幼虫を見たことがあるので、かなりいろいろな植物を食べるようだ。成虫は5~10月頃に見られるそうだ。
熊蜂。別名キムネクマバチ、クマンバチ。春、フジの花が咲く頃に雄のクマバチが、「ブーン」という大きな翅音を立てて、縄張りを作って、メスを待つ様子がよく見られる。雄のクマバチは針を持たないので、刺されることはありません。メスのクマバチには針があります。メスは、古い木や木材に細長い巣穴を掘ります。英名はcarpenter bee(大工の蜂)です。
台湾竹熊蜂。台湾、中国南部~インドが原産地の外来種で、日本では2006年に豊田市で初確認され、分布が拡大している。奈良県にも拡がってますね。クマバチに混ざって、ナヨクサフジの花にやってきていました。全身黒色で、翅は褐色で日に当たると光沢があって美しい。枯れた竹等の内部に巣を作る。
七星天道。最も普通に見られるテントウムシで、赤い翅に丸い斑紋が7つあるように見える。アジア、ヨーロッパ、北アフリカに広く分布し、幼虫も成虫もアブラムシ類を食べる。農業害虫のアブラムシ類を食べてくれるため、人にとっては「益虫」とされる。
胸黄瑠璃葉虫。スイバの雌花の上にいたハムシ。クロウリハムシか?と思ったが、よく見ると頭部は黒く、肢は赤いし、触覚も短く、体型もちょっと違う。ハムシは種類が多くて、なかなか調べるのに骨が折れる。
メスは産んだ卵をフンでくるんで保護するそうだ。
梨軍配。グンバイムシ科の昆虫。バラ科の木の葉の汁を吸う。サクラの葉裏に付いていた。
落葉の下や樹皮の下などで越冬した成虫が、5月下旬頃に食草に来るそうだが、4月にすでに見られた。温暖化の影響かな。
マメ科植物に集まるヒゲナガアブラムシの1種。たぶん、ソラマメヒゲナガアブラムシ。下の黒っぽいのはナナホシテントウの幼虫で、アブラムシを餌にしている。
ヒゲナガアブラムシの仲間は、夏の間はメスだけで自らのクローン幼虫を産んで増えます(胎生単為生殖)。秋から冬にオスが現れて有性生殖を行い、卵で越冬する。
飴坊、飴棒。飴のような臭いがする。カメムシ目の昆虫で、足先の毛と油分で水をはじき、水面を滑走することができる。
水面に落ちた小動物やその死骸に針状の口を刺して消化液を注入、溶けて液状になったものを吸って食べる。
肉蝿。ニクバエ科のハエで、胸部の背側に3本の黒い縦縞がある。卵胎生で、動物の死体や糞等に産みつけられた卵は、すぐさま孵化して幼虫(ウジ虫)になる。
壁穴宝壁蝨。体長約1mmのタカラダニ科のダニの一種で主に花粉を食べる。ユーラシア大陸に広く分布する。高温耐性が強く、日当たりの良く熱くなるコンクリート面などでも生息できる。春先から梅雨頃までに多く見られる。メスがメスを産む単為生殖で増える。ヒトを刺すことはないが、大量発生し気味悪がられることもある。
最近の研究では、ヨーロッパから移入した外来種とも言われている。