身近な顕微鏡観察ということで、自分の髪の毛を顕微鏡で見てみました。髪の毛の表面には、角質化し鱗状になった細胞が重なっていて、独特の模様を作っている。英語でキューティクル(Cuticle)、日本語で角皮と呼ばれるものだ。実際に自身の髪の毛で見えると、ちょっと感激します。
スライドグラスに髪の毛を貼り付けて、透過光で観察したが、黒い色素が光を遮って、表面の模様はよく見えなかった・・・。
これは、レプリカ法で表面を転写した方が良さそうだ。
ネイルマニュキュアの樹脂で、髪の毛表面のレプリカを作成する。
今回は、ガラスのスライドグラスは片付けが面倒そうなので、ラミネートフィルムの切れ端をスライドグラス代わりに使ってみた。
ラミネートフィルムにネイルマニュキュアを薄く塗り、短く切った髪の毛をそっと載せて、軽く押しつける。
マニュキュアが十分乾くまで、しばらく放置する。
じゅうぶん乾燥したら、髪の毛をそっと剥がす。
(見え方の比較用に、1本だけ剥がさずに残した)
樹脂に髪の毛の表面模様が転写されているので、顕微鏡で拡大して観察する。
ピント調整をして、うまく表面模様が見えるようにしてみよう。
400倍くらいに拡大すると、表面のキューティクルの模様がよく見える。
顕微鏡の光源の位置や、絞りの大きさなどをうまく調整すると見やすくなります。
色素のできていない白髪が手には入ったら、レプリカ法を使わなくても表面の模様が観察できます。
<参考サイト>
毛髪の表面を解析しよう<おもしろ科学実験室<国立大学56工学系学部
https://www.mirai-kougaku.jp/laboratory/pages/160829.php
髪の毛のキューティクルを顕微鏡観察<顕微鏡ナビ
https://bestidea4u.com/hair-cuticle/
毛皮素材判定のための毛の顕微鏡写真集
https://orist.jp/technicalsheet/8001.PDF
哺乳類の毛<MicrolabNW Photomicrograph Gallerysharing our knowledge(英語)
http://www.microlabgallery.com/hair.aspx
動物の種類によって、毛の表面模様や断面の構造などに違いがあるそうです。いろいろな動物の毛を顕微鏡で見てみたくなりますね。ということで、いろんな獣の毛を集めて、観察してみました。
獣の毛集め(1)
塗装用の刷毛には、いろんな動物の毛が使われています。100円ショップで、ブタ毛の刷毛と、山羊毛の刷毛が入手できました。
馬の尻尾の毛は、バイオリンの弓の交換用の毛が安価に入手できます。タヌキの毛は、ネットの手芸用皮屋さんなどからも調達できます。
動物園などでお願いしたら、いろんな動物の毛を少しなら分けてもらえるかもしれません。
塗装用の刷毛やヘアブラシなどの材質表示を見ると、何の動物の毛が使われているかが分かります。
ブタの毛の表面のキューティクル。細かいシワ状の模様が観察できた。ヒトのような鱗状の模様は、今回のサンプルでは見られなかった。
ヒトの毛に似たキューティクルの模様が観察できた
馬の尻尾の毛の表面。かなり細かい波状の模様が見えた。
バイオリンなどの擦弦楽器の弦を鳴らすには、この毛の束に松ヤニを塗って、さらに摩擦力をアップさせているそうだ。
タヌキの毛表面のアップ。きれいに並んだキューティクルが観察できた。
獣の毛集め(2)
100円ショップの手芸コーナーで羊毛フェルト、文具コーナーで馬毛の絵筆も見つけた。また、綿花を栽培されている方から、実った綿を少し分けてもらえたので、顕微鏡で観察してみた。
白っぽい羊毛だったので、スライドグラスに張り付けて、そのまま観察した。
400倍では、表面の模様がよく見える
色の濃い馬毛は、ネイルマニュキュアでのレプリカ法で観察した。
白い綿の繊維は、そのまま観察。扁平な繊維がねじれた様子が観察できた。動物の体毛とは、かなり違っている。
奈良県川上村にて、早春の林道沿いで拾ったシカの毛。冬毛が抜け替わる季節には、野山で獣の毛を拾う機会もある。