教育研究所構内や周辺で見かけた動物(順不同、写真を撮れたものだけです)。街中の学校環境なら普通に見かけることができそうな生き物を中心に紹介します。
別館南の草地でカヤネズミの巣を見つけた。ネズミ自体は見れていないが、巣が作られていることから、教育研究所構内や周辺に生息していることが確認できた。カヤネズミ(茅鼠)は、ススキ、オギ、チガヤなどイネ科の草の葉を編み込み、直径10cmくらいの球形の巣を作って繁殖する体重7~8グラムの日本で一番小さなネズミです。カヤネズミの生息には、休耕田や河川敷、草原の環境が大切なんですね。
後日、センサーカメラでカヤネズミの巣を撮影してみました。
<参考>全国カヤネズミ・ネットワーク
先日、年配の昆虫学者の方やベテランの理科教員達の集まりで聞いた話。
子どもが最初に触れあう動物の代表?がこのオカダンゴムシかもしれないと言う。庭の隅などにいることが多いダンゴムシ。興味を持った子どもはじっと集中して観察したりします。親御さんは、邪魔せずじっと見守ってやってくださいね。飼いやすいので、しばらく(期間を決めて)飼育しても良いでしょう。
ダンゴムシが水を摂取するのはどこからか?とか、ダンゴムシのウンチの形は?とか、迷路を作ってダンゴムシの行動を観察したりとか、いろんな話題がありました。よく観察してる子らはこんな質問にも答えられるそうです。ダンゴムシは奥深い。
日本蜥蜴。有鱗目トカゲ科。日本固有種で西日本(近畿から大隅諸島)に分布する。幼体は体色が黒っぽく、白い縦しま模様が目立ち、尻尾が青く光って美しい。大きくなると体長25cmくらいになる。大きくなると地味な印象になるが、オスの方が黄色みが強い体色になる。オスは春先の繁殖期にのどの辺りがオレンジ色になる(婚姻色)。
日本金蛇。トカゲの一種でカナヘビ科。日本固有種(北海道~屋久島)。黄土色の体色で表面はザラザラして乾いた感じ。耳穴はニホントカゲに比べて大きくて黒っぽい。昆虫やクモなど小動物を食べる。
磯鵯。スズメ目ヒタキ科で、名に「ヒヨドリ」と付くがヒヨドリの仲間ではない。全長約23cm。オスは頭から翼が暗青色で腹側がレンガ色だが、メスは地味な色合い。もともとは海岸の崖地で繁殖する野鳥だったが、近年は都市部のビルなどにも営巣し、見かけることが多くなった。
白鶺鴒。スズメ目セキレイ科の野鳥で、世界中に広く分布するタイリクハクセキレイの一亜種。全長約21cm。歩く時に尾を振る特徴から英語ではJapanese wagtailと呼ばれる。顔は白く、黒い過眼線が入る。主に低地の水辺に棲むが、近年では都市部などの乾燥した環境にも適応し、分布が広がっている。
雲雀。スズメ目ヒバリ科の鳥。草原や河原、農耕地などに生息し、主に種子や昆虫などを食べる。春の繁殖期にオスが上空を飛翔して、けたたましくさえずって縄張り宣言する。
草原環境の減少に伴い、いくつかの都府県で絶滅危惧に指定されている。
鵯。スズメ目ヒヨドリ科。朝鮮半島南部~フィリピンの北部に分布。全長約28cm。灰色の羽毛に覆われ、頬に褐色の模様がある。嘴は黒い。「ヒーヨ! ヒーヨ!」などと甲高く鳴き、この鳴き声が和名の由来とする説がある。飛び方も特徴があり、羽ばたきと滑空を繰り返して波型の軌道で飛ぶ。果実や花の蜜、昆虫類を食べ、ツバキやサクラなどの花の蜜を好む。甘い物が好きで、集団で畑のキャベツやブロッコリー、イチゴ、ミカンなどの農作物を食い荒らすこともある。
椋鳥。スズメ目ムクドリ科。全長約24cm。嘴と足は黄色く、全体茶褐色~灰黒色で頸から頭部と腰部に白い部分がある。植物の種子や果物、虫の幼虫などを好んで食べる。都市部でも大きな群を作り、糞や鳴き声騒音の被害が社会問題化している。
雀。スズメ目スズメ科の野鳥で、ポルトガルから日本までユーラシア大陸の広い範囲に分布する。全長約14.5cm。成鳥の頬にある黒い斑が目立つ。人家の近くに生息し、主に植物の種子や虫を食べる。
身近な野鳥だが個体数は減少する傾向で、2024年10月報道の環境省と日本自然保護協会の調査では、1年あたり3.6%も減少していたそうで、これは、絶滅危惧種の基準に相当する年3.5%以上のペースらしい。
ものさし鳥を覚えよう
「スズメと同じくらい」「スズメより大きく、ムクドリよりも小さい」など、大きさの基準となる鳥のことを「ものさし鳥」と呼びます。バードウォッチングで、鳥の名前を図鑑で調べる際には、ものさし鳥との比較で大きさの見当をつけると便利です。
河原鳩。ハト目ハト科。全長は約32cm。別名いえばと、どばと。原産地はヨーロッパ、中央アジア、北アフリカなどの乾燥地帯。食用や伝令用、ペットとして家禽化され、移入種として世界中に広がっている。鳴き声の聞做 (ききなし)は「クックー」「ゴロッポ、ゴロッポ」「ウーウー」など。
嘴細烏。スズメ目カラス科で、全長約50cm。光沢のある黒色の羽で覆われるが、外から見えない羽毛は白いそうだ。農耕地など開けた場所に棲み、昆虫類、鳥類の卵や雛、小動物、動物の死骸、果実、種子などを食べる。
産卵期は4月頃で、教育研究所の玄関南側にあるケヤキの木に巣があり、3階の窓から雛が育つ様子を観察できる。
青鷺。ペリカン目サギ科。学名のArdea cinereaは、灰色のサギという意味。水辺の鳥でヨーロッパからアジア・アフリカ大陸にかけて広く分布する。翼を開くと150cm以上の大きさがある。奈良盆地ではごく普通に見かける。肉食で魚類、両生類、爬虫類、昆虫などを食べる。
飴鷺。ペリカン目サギ科。奈良盆地では夏にやってくる夏鳥。翼を開くと90cm以上の大きさがある。夏季は頭部から頸部、胴体上面にオレンジ~黄色(飴色)の羽根があり、これが和名の由来になっている。
写真は教育研究所のすぐ近くで、足にテグスが絡まって飛べなくなっていた個体。アマサギやコサギ、ゴイサギなどの水辺の野鳥は近年減少傾向にあると言われています。
レッドリスト選定を検討すべき鳥たち全国鳥類繁殖分布調査で減少がわかった鳥<バードリサーチニュース 2021年1月
大鷺。ペリカン目サギ科。国内では冬鳥として見られる最大級のサギで、体長は約90cm。水田や川や池などで、魚、両生類、爬虫類、昆虫、、哺乳類や鳥類などを食べる。口角の切れ込みが眼より後ろまであるのが、チュウサギとの区別点。
軽鴨。カモ目カモ科。中国、朝鮮半島、日本に分布する。本州以南では年中見られる野鳥で、川や水田などで植物の葉や種子、昆虫やタニシなどを食べる。都市部のカルガモの多くがアヒルとの雑種になっているそうだ。
鳧、計里、水札。チドリ目チドリ科。首から頭部は灰色で、体は上面が灰褐色、下面は白く、黒い胸帯がある。足は長くて黄色、嘴は黄色で先端が黒く、赤い眼に黄色のアイリングがある。文字で書くと派手に感じるが、水田などでは目立たない保護色になっている。水田、畑、河原などで、昆虫類やミミズ、カエル、小型の魚類などを食べている。写真は香芝市での撮影だが、教育研究所の周囲でも「ケリケリケリ・・・」と鳴いている。
雉。キジ目キジ科。日本の国鳥とされる(1947年に日本鳥学会が選定)。農地や河川敷、平地の林縁など明るい草地に多く、主に草の種子、芽や葉、昆虫やクモなどを食べる。4から7月の繁殖期には、オスが縄張りを持ち、メスは複数のオスの縄張りに出入りする。狩猟鳥獣に指定されていて、養殖されたキジが毎年大量に放鳥され、亜種間で交雑が進み、亜種消滅を懸念する声もある。写真は御所市での撮影(古いけど)だが、教育研究所の周囲でもオスが縄張りを張って「ケーン、ケーン」と鳴いている。
油蝙蝠。人家の屋根裏などに棲みつくので、別名イエコウモリ(家蝙蝠)とも呼ばれる。
奈良盆地では普通に見かけるコウモリで、写真は教育研究所の廊下に落ちていた死体を展示用に乾燥標本にしたものだ。コウモリの仲間は、哺乳動物の中では唯一、自由に飛翔できるグループで、飛ぶために特殊化した前腕が特徴的だ。この前腕から体側、尻尾までの皮膚が薄く広がり、飛ぶための翼になっていて、翼手(よくしゅ)という。アブラコウモリは翼手を広げると16cmくらいあるが、体重は5~10g程度。昼間はねぐらで休み、日没近くから夜間に飛び出し、蚊などの小型の昆虫を食べている。
口紅蝸牛。近畿地方・中部地方西部・伊豆諸島に分布するカタツムリの一種。ナンバンマイマイ科。貝殻口の赤紫色を口紅に見立てた和名。樹上性で寿命3年~5年。
茶甲羅蛞蝓。ヨーロッパ原産の外来種で、コウラナメクジ科の陸生貝類。人家周辺で最も普通にみられるナメクジの1種で、庭の石や植木鉢の下などで見つかる。日本の侵略的外来種ワースト100に選ばれている。
壁穴宝壁蝨。汎ケダニ目タカラダニ科の体長1mm前後の赤~赤橙色のダニ。5~6月頃、ビルの屋上や住宅のベランダなどコンクリート表面で大量発生する。アナタカラダニ属のダニは、幼虫から成虫まで基本的に花粉食だと考えられている。また、カベアナタカラダニにはオスがいないと言われていて、メスがメスを生む単為生殖で増えるそうだ。