虹を見るコツ
~大気光学現象のいろいろ~
~大気光学現象のいろいろ~
虹などの出現頻度を10年間調査した研究があって、虹は平均して年に6.4回観察できたそうです。毎日、空を気にして見ている人でさえ、年に6.4回しか出会えないのが「虹」なんですね。普通に生活していると年に1~2度見れるくらいかもしれません。人生で何回きれいな虹に出会えるでしょうか。
きれいな虹を見ると幸せになると縁起を担ぐことも多いようです。もっと虹に出会ってみたいと思いませんか?
虹のよく見られる季節は夏と言う方が多いと思います。俳句でも虹は夏の季語なので、一般的な感覚として虹は夏をイメージする現象なのでしょう。少し調べると、虹は日本では夏と晩秋から初冬にかけてよく見られるのだそうです。虹が見られる条件を考えると、季節はあまり関係ないようにも思います。
現代はスマートフォンでいつでも雨雲の動きを見ることができる時代です。虹に出会うには、「太陽を背にして」雨が降り止んだ直後の太陽と反対側の空を見ることがコツです。
(1)太陽の光があること。虹は、太陽の白色光が雨粒によって色に分かれてできるため
(2)空気中に雨粒があること。空気中に多くの水滴(雨粒など)が存在することが必要
(3)太陽と反対側の空を向いていること。太陽を背にして、雨が降っている方向を向くと虹が見えます。
虹が見えやすい条件
(1)太陽の高度が低い時。太陽が高い位置にあると、虹が出現する角度(約42°)ができにくいため、午前や午後の太陽が低い位置にある時間帯に見やすくなります。
(2)天気雨の時。晴れている場所に太陽がある一方で、太陽と反対方向で雨が降っている「天気雨」の時は虹が出やすいです。
(3)澄んだ空気のきれいな空。太陽と自分の間に澄んだ空気が広がっているほど、虹は濃く鮮やかに見えます。
<参考>
動画【サイエンスラボ】虹はなぜできる?(Canon Official) ←すごくわかりやすい動画です!
「虹はどうしてできるの?」子どもと一緒に虹を作って学んじゃおう!
懐中電灯の白色光を透明なガラスのプリズムで屈折させると、壁面に虹色に分かれた帯状になって投影されました。
光の波長(色)によって空気とガラスの境界面で屈折する角度が変わるためで、大気中の雨粒や氷粒もプリズムと同じような働きをします。
虹に似た現象
空が七色に色づくのは、虹だけではありません(虹の色数、日本では7色と表現しますが世界では違っていたりします)。虹かな?と思っていた現象も実は違った大気光学現象(たいきこうがくげんしょう)だったかもしれません。
太陽の横(同じ高度)に現れる虹色の光のこと。太陽高度が低い時(朝や夕方)に、太陽の横(左右約22度)に現れます。太陽の右側に現れるものを「右幻日」、左側のものを「左幻日」と呼びます。英語では、sun dogs(太陽に付きまとう犬)と呼ばれるそうです。
幻日環(げんじつかん)という太陽を通る光の輪が同時に見られることもあります。
幻日やハロー現象は、虹と違って太陽と同じ方向に出ます。
知人の撮影した写真を提供いただきました(幻日・彩雲・環天頂アーク)。
寒くなってくると、大気中の水滴が氷晶になって、大気光学現象が見られやすくなるのかな。
日暈(ひがさ・にちうん)やハロー現象とも呼ばれます。太陽に薄い雲がかかった際にその周囲に光の輪が現れる大気光学現象。内暈のさらに外側に外暈(がいうん、46度ハロ)の輪が出ることもあります。満月前後の明るい月でも同じようにハロー現象の輪が見られることがあり、月暈(つきがさ・げつうん)と呼ばれます。
太陽の近くを通った雲が虹色に輝いて見える現象。上層雲や中層雲、晴れた日の積雲の縁(ふち)などに見られることがあります。昔から良いことの前触れとされ、「瑞雲(ずいうん)」「慶雲(けいうん)」「景雲(けいうん)」といった呼び名もあります。太陽との位置関係を観察しましょう。彩雲?と思っても幻日や環水平アークだったりすることもあります。
太陽の高度が58度以上の時に、太陽の下46度の水平線上の薄雲に虹色の光の帯が見えるもの。大気中の氷晶で太陽光が屈折して起こります。太陽と同じ方向に水平の帯の形状で現れるので、虹とは異なる現象です。
太陽高度が32度より低い時に、太陽の上46度の薄雲に虹のような弧状の光の帯が見えるもので、大気中の氷晶で太陽光が屈折して起こります。逆さ虹(さかさにじ)とも呼ばれます。
この他にも大気光学現象(たいきこうがくげんしょう)にはいろいろな種類があります。(そもそも昼間の空が青く見えることだって、考えてみれば不思議ですよね?)
朝焼けや夕焼けなど大気そのものによる光の屈折や散乱による現象、虹のように大気中の水滴による現象、ハロや環水平アークのように大気中の氷晶による現象などがあります。
めったに見られない大気光学現象もありますが、幻日などは薄曇りの夕方などに気にしていると案外よく見かけます。私は飛行機に乗っている際に窓から見えた幻日やハロに感激したことがあります。
太陽高度が低い冬の薄曇りで冷えた日には、幻日や多種のアークが同時に観察されることがあります。気にして観察してみてください。観察や撮影の方法は、「空の輝き」サイトに詳しい説明がされています。
<参考>