温泉に行きたい~。と思ったことはありますか? 奈良県にはたくさんの温泉がありますので、ちょっと足を伸ばせば、すぐに温泉に行くことができます。よい所ですね。
奈良県には、活火山と関わる火山性温泉はありませんが、十津川村の温泉は、約1400万年前の火山活動の熱いマグマの名残の花崗岩(=巨大マグマ岩体)が地下にあって、その熱で温められた温水と考えられています。上湯温泉の源泉温度は85℃にもなるそうです。
<参考>
熱源の種類によって、火山性温泉と非火山性温泉とに大きく分けられるそうです。
非火山性温泉は、火山とは直接関係がない温泉ですが、地下深くから地下水をくみ出すと温度が高いことを利用しています。地温勾配や地下増温率といって、地下100m深くなるごとに温度が約3℃ずつ上昇するそうで、地下1000mまで掘ることができれば、約30℃高い温度の地下水が出ると考えられるのですね。
昭和23年にできた温泉法では、25℃以上の水が出たら温泉とされていますので、30℃もあれば温泉と言えます。
約1400万年前の熊野カルデラの噴火規模は火山爆発指数が最大規模の VEI-8クラスで、噴出し堆積した火山灰の厚さは2000m以上になったらしいです。地球全体の気温を10℃以上も低下させ、生物の大量絶滅が起こった原因とされています。
大峯・大台コールドロン
さて、1400万年~1500万年くらい前の火山活動とは、どんなものだったのでしょうか。中新世中期で哺乳類が多様化する時代ですが、ユーラシア大陸から日本列島が分かれ、日本海が拡大した時期だそうです。
この時期の活発な火山活動の中で、紀伊半島付近でも巨大な火山があったそうです。その火山噴火で作られた巨大な窪地がカルデラです(九州の阿蘇山の地形や鹿児島の姶良カルデラ(あいらカルデラ)や箱根山などが有名ですね)。
紀伊半島の巨大カルデラは古くて、浸食され尽くして、カルデラ地形としては残っていませんが、カルデラ跡(=コールドロン。カルデラの地下構造 )として現在でもその痕跡が見られます。
4つの巨大なコールドロン、大峯コールドロン、大台コールドロン、熊野北コールドロン、熊野コールドロン(=熊野カルデラ)として知られています。
お隣の和歌山県では、南紀熊野ジオパークとして、地球の歴史や地質・そこに暮らす生き物や人の文化を含めて、教育活動やツーリズムなどに取り組まれています。見どころとなる「ジオサイト」は100カ所以上もあります。国の天然記念物にもなっている橋杭岩 (はしぐいいわ)とか一見の価値ありですよ。
温泉に浸かりながら、悠久の地史に思いをはせるのはいかがでしょうか。
日本は火山大国です。富士山や阿蘇山が噴火したら、たいへんなことになるという知識はあったほうがよいでしょう。