フユノハナワラビの観察
冬緑性のシダ植物
冬緑性のシダ植物
フユノハナワラビ
冬の花蕨。野山や道ばたの草地などに普通に生育するハナヤスリ科のシダ植物で、秋から冬にかけて地上に現れます。夏には地上に姿は無く、冬が近づくと地上に顔を出すので「冬緑性(とうりょくせい)」のシダと言われます。
光合成を行う栄養葉(えいようよう)と、丸いツブツブが多数付いた胞子葉(ほうしよう)があって、2枚の別々の葉に見えますが、地中にある「担葉体(たんようたい)」と呼ばれる部分で繋がっています。
胞子葉の先は細かく枝分かれし、丸いツブツブ状の胞子嚢(ほうしのう)がびっしりと並んでいます。
すでに胞子が出た後の胞子嚢。
胞子嚢は成熟すると褐色になり、横に裂けて開き、胞子を飛ばします。
胞子を飛ばし終えた胞子葉は、すぐに枯れてしまいます。
フユノハナワラビの胞子。落射照明100倍での観察です。胞子の表面は平滑です。オオハナワラビには小突起があるのだそうです。
オオハナワラビ
フユノハナワラビと混じって生えていたオオハナワラビ。ぱっと見た感じはフユノハナワラビにとてもよく似ているが、葉の縁のギザギザした鋸歯の形が異なるし、胞子の表面の様子も違っているのだそうだ。
シダ植物では種間雑種ができることも多く、オオハナワラビとフユノハナワラビの雑種(=アイフユノハナワラビ)が混じっていることがあるそうだ。似た種類が多く、分類はなかなか難しいらしい。
<参考>