結晶系
鉱物に限らず結晶は、分子もしくは原子の最小の繰り返し単位があり、これの平行移動・コピーによって成り立っています。
この最小単位を単位格子といいます。
結晶の構造上の特徴としては、この「繰り返し、繰り返し」がもっとも大事なものでしょう。
単位格子には大まかに分けて7種類があります。
立方晶系 (cubic)
六方晶系 (hexagonal)
三方晶系 (trigonal)
正方晶系 (tetragonal)
斜方晶系 (orthorhombic)
単斜晶系 (monoclinic)
三斜晶系 (triclinic)
これらについて、例を挙げながらお示しします。
さらにこの下に、格子の中の対称性を定義した「ラウエ群」があり、正確な原子や分子の立体対称性を記述した「空間群」という分類があります。
空間群は全部で230種あり、すべての結晶はこの230種のどれかに属することになるのですが、それについてはまた別の機会に。
立方晶系 (cubic crystal system)
単純な立方体サイコロの単位格子です。すべての格子の軸の長さが同じ、軸の交差する角度はすべて直交です。
以前は、すべての軸が等価であることから、等軸晶系と言いましたが、現在は立方晶系と呼びます。
原点から六方向に等価ですから、ころっとした、丸っこい結晶になるのが特徴です。
もっとも対称性が高く、鉱物では簡単な組成のものに見られますが、有機化合物ではほとんど見かけることはありません。
有機化合物の分子結晶では、200個に1つぐらいの出現率です。
実際の結晶では、なるべく面指数が小さいものが結晶面として出やすい傾向があります。
蛍石 (a (001) 面よりなる六面体)
磁鉄鉱 (o (111) 面よりなる八面体)
灰クロム柘榴石 (d (011) 面よりなる十二面体)
これは天然物ではありませんが、やはり d(011) 12面体のヘキサメチレンテトラミン。
六方晶系 (hexagonal crystal system)
対称性から、六角柱状結晶もしくは六角板状結晶になります。
氷(雪)もこの対称性に属します。
緑鉛鉱(pyromorphite) Pb5(PO4)3Cl, hexagonal, P63/m
Daoping Mine, Gongcheng Co., Guilin, Guangxi Zhuang, China
写真幅 : 10 mm
Nikon Macro Nikkor 65mm F4.5 (ap. = 4)/Nikon PB-2/Nikon D3