水晶の形

面の成長の速度差に応じ、水晶はさまざまな形を取ります。

水晶は三方晶系ですから、三角柱に結晶化するのが一番わかりやすいのですが、基本は六角柱になります。

次の水晶(山形県産)は根本は六角柱で、先細りになっていき、頭は三角の水晶です。

こちらは、六角柱状ですが錐面の発達が r と z で異なり、三角頭の紫水晶(宮城県産)です。

条件によっては、柱面の出ない六角両錐のそろばん玉状結晶になることもあります(ロシア産)。

この結晶形は高温石英におなじみなのですが、この産地のものは低温石英です。

同じようなものは、神岡鉱山(岐阜県)でも産出しています。

柱面が出てこないので、例え柱状でも、ギザギザの平行連晶になることもあります。

次のもの(福島県産)は針のように細いものです。熱水性の蛍石の鉱山に産するもので、手に刺さるとひどい目に遭います。

先が太くなった水晶を、松茸水晶と呼びます(山梨県産)。

逆に、先細りのものは、冠水晶と呼ばれます(宮城県産)。

水晶の面の表面には、多くの成長もしくは溶解した模様が見られることがあります。

これを、成長丘もしくは蝕像と呼びます。

この存在によって、研磨した面か自然の面かを見分けることができます。

パキスタンなどの一部では、ファーデン水晶という特殊な水晶を産します。

長手方向に、糸状の組織を含むものです。

これは、母岩のひび割れの間隙に発生した水晶の結晶核が、ひび割れの増大に伴って成長したものだと言われています。

水晶が集まって、花のような模様になることがあります。

結晶の核形成が抑えられると、こういう集合体が出来るようです。

次のものは宮城で見つけた紫水晶の花です。フラワーアメシストと呼ばれることがあります。