電解精錬でできる銀の「樹」です。2.5cmほどある結晶で、多くの結晶の枝が生えています。

銀樹とはその名のとおり、銀の樹で、イオン化傾向のデモ実験でしばしば作られるものです。

銀イオンを含んだ溶液に、イオン化傾向のより高い金属を放り込んで放置しますと、銀イオンは金属銀まで還元され、逆によりイオン化傾向の高い金属はイオン化します。

このときに、銀の樹枝状結晶ができるので、これを「銀樹」と呼びます。

イオン濃度が高くて、液の対流が遅いと、比較的結晶粒がころっとしたのが落ちるのですが

銀イオン濃度が下がってくると、綺麗な銀の枝葉ができます。

新鮮な銀の表面は、空気中の硫黄分によってくすみやすく、この光沢が楽しめるのはせいぜい数日。

市販の銀細工は確かに綺麗なのですが、成長したばかりの銀の結晶はもっともっと美しく、神秘的な形状を示します。

ただし、これ、ものすごく繊細で、ちょっと動かしただけでもグニャグニャ変形してしまいます。

溶液から引き上げることが難しいのです。

溶液中で、その場撮影したのが以下の写真。

青いバックグラウンドは、銅を投入したことによる、硝酸銅由来の青です。

天保一分銀です。江戸期の通貨で、鉛灰吹き法の確立により銀鉱石の精錬が格段に進歩しました。