【性質と製法】

新鮮、できたてホヤホヤの鉛樹。

鉛イオン溶液を電気分解すると、簡単に育ちます。

溶液に吊るして成長している状態のショットです。

溶液から引き上げるとグチャグチャになってしまうので、成長させながらその場撮影するしかありません。

鉛は酸化皮膜を被りやすく、あっという間にくすんだ灰色になってしまいますが、新鮮なものはギラギラしたキレイな金属光沢です。

鉛色ってよく言われます。「鉛色の空」とか

違うよそれはヤツを見損なっているよ。

【資源】

資源としては、主に硫化物の方鉛鉱が多く利用されます。

方鉛鉱も鉛色です。

元素と硫化物の見た目の色ってのは何の相関もあろうはずがないんですが、鉛と硫化鉛は面白いことに色はそっくりサン。硫化鉛の方は3方向に完全なへき開があり、砕くとすぐにわかります。

化合物半導体で、鉱石ラジオなどにも広く用いられました。

阿仁鉱山の方鉛鉱と黄銅鉱の結晶です。明治期の標本です。

【利用】

耐食性が高いので、古くから鉛管などに多く用いられました。

化学実験室の水道のシンクも、ついこの間まで鉛張りでした。

レンズの光学ガラスにも(フリントが多い)酸化物が使われます。

比重の大きさを活かして、銃弾とか、エクスパックに詰めたりとか。

酸化還元反応に伴う起電力を利用して、二次電池とか。

使い道の多い元素です。

大昔から利用され、銀精錬にはなくてはならない金属元素でした。

今は規制がかかって、鉛をガラスに入れるのはあまり好まれないんですが、かつては光学ガラス(特にフリントガラス)や、カット用のクリスタルガラスに多用されました。

屈折率が上がり、分散が増すので、キラキラになります。

放射線を通しづらいことから、放射線遮蔽材料にしばしば用いられます。

次の写真は電子線照射施設の鉛ガラス窓、厚さが約2mあります。