砒酸塩鉱物

ザレシ石(Zálesíite), CaCu6[(AsO4)2(AsO3OH)(OH)6]•3H2O, hex., P63/m

岡山県高梁市備中町布賀 布賀鉱山四番坑天盤

写真幅: 5 mm

Leitz Photar 25mm F2.5 (F = 5.6)/Nikon PB-4/Nikon D3

以前のカルシウムアガード石なんですが、命名がまた変更になり、ザレシ石という名に落ち着きました。

布賀のザレシ石はイットリウム分をほぼ含まず、カルシウムと、モル分率で20%近いビスマスを含んでいる奇妙なものです。

白い集合体は方解石。あとはよくわかりません。

ビスマス端成分ならホンモノの mixite です。

布賀鉱山四番坑のコニカルコ石。もこもこ。

コニカルコ石(conichalcite) CaCu(AsO4)(OH), orth., P212121

12倍。

コニカルコ石はカルシウムと銅の塩基性砒酸塩鉱物で、砒素を含む二次酸化帯に時折見られます。

日本で一番きれいなものを多産したと思われるのは喜多平鉱山(山口県)で、古くから立派な標本が流通しています。

喜多平のものは、基本褐鉄鉱がベースなんですが、布賀ではなんと方解石やホウ酸塩鉱物の白地にコニカルコ石が乗ります。

分析では、ビスマスがかなり入っているようです。三価のビスマスはどこを置き換えてるんでしょうね。

写真をよく見ると、白色針状の鉱物がモコモコを貫通しているものがいっぱいあり、どうもモコモコがそれを足がかりに結晶化してるようです。

ザレシ石(昔のカルシウムアガード石)かオリーブ銅鉱か、そのあたりかと思うんですが。

空間群 P212121 ですから、きちんと単結晶になったら、水晶と同じで、右の結晶と左の結晶が出てくるはずなんですが、そんな結晶質のコニカルコ石って見たことありません。あるのかな?

ピクロファーマコ石(picropharmacolite) [Ca4Mg(AsO4)2(HAsO4)2-11H2O, tric., P-1

大分県佐伯市宇目町木浦鉱山駄積形尾

カルシウムとマグネシウムの含水砒酸塩で、砒酸水素塩でもある不思議な鉱物ですが、けっこう外国では産出が報告されているにもかかわらず、日本国内では今まで報告がありませんでした。

頂いた標本を見るに、坑内や鉱石の上に吹く砒素の華のようです。

ダツガタオのものは、砒鉄鉱の上に吹いてます。

世界の多くの産地で採集されているこの鉱物のツラはよく似ており、一回見ると忘れないので、これから、国内でももっと多数の産地で見つかるのではないかと思われます。

亜砒藍鉄鉱(ダツガタオ)

毒鉄鉱(広島県)