テールべルト(緑土、グリーンオーカー)

テールベルト(緑土、グリーンオーカー)の露頭。

鉱物としては、テールベルトは海緑石 (glauconite) とセラドン石 (celadonite) の二種類があり、いずれも顔料として古くから用いられた。

両者ともフィロケイ酸塩で、前者は海成層に含まれた脆い土壌質のもの、後者は熱水の関与した堆積岩〜火成岩に産出する。

どちらかというと、前者は色の薄いくすんだ灰緑、後者は抹茶色~青緑っぽいかな。

ただし、日本では、分析により後者の使用が非常に多く、前者はほとんど使われていないようだ。

次の写真はセラドン石をふくむハイアロクラスタイトで、伊豆の沸石の有名産地にあるもの。

独特の青みがかった緑色がわかる。場所によっては非常に濃縮している。

これを使って、簡単に顔料としてどんな色を示すかをチェック。

まずはセラドン石を掘ってくる。

ひとかけら、乳鉢にとって

ゴリゴリすりつぶす。混じっている石英質の硬い石は、時折はじき出す方がいい。

だいぶ粉にしたもの。これではまだ粗すぎて絵具には向かないのだけれども

乾質油で練るとこうなる。おおお、テールベルトの色だ。

神奈川県西部の丹沢山地一帯には、凝灰岩が変成を受けてセラドン石が生じているところがあり、川の転石に多量のセラドン石が混じっている。濡れていると非常にきれいな青緑色だが、乾燥すると色が薄くなる。厚木から海老名にかけての縄文~弥生時代の遺跡を発掘すると、時折このセラドン石を含んだ石を加工研磨して装飾具にしているものが出てくるようで、有史以前からこの緑が好まれていたのがわかる。

写真は厚木市七沢温泉付近の七沢川に多数転がるもの。

これは純粋なセラドン石ではなく、著量の石英を含み、硬く締まっているが、加工するにはむしろこのようなもののほうがいいのかもしれない(ただし、顔料には不適だと思う。色が薄くなってしまうし、石英を含む石は粉末にするのに難儀する)。

たまに、いわゆる「ブルーム」っぽいのができているものもある。