ホルミウム

ランタニドの隠れ玉、ホルミウム。

レトルトデポジットのブロックの破片です。

希土の歴史は分離の歴史です。

「土類」というのは、酸化物が安定で、精錬に難儀する元素群に付けられた名称です。

アルカリ土類金属が典型ですね。

希土類は、スウェーデン、ストックホルム湾に浮かぶ小島の長石採掘場のペグマタイトから出てきた鉱物にその源があります。

1794年に、この鉱物を調べた J. Gadolin が、ここから取り出した元素を、「イットリウム」と名づけました。

ところが、約五十年後にそれを調べた Mosander が、この「イットリウム」に不純元素があるのを見つけました。

その二つに、「テルビウム」、「エルビウム」という名を当てました。

ところがこの「エルビウム」はさらに混ざりで、ここからイッテルビウムとスカンジウムが単離できたのです。

ところが、この「エルビウム」はまだまだ混合物で、ツリウムと「ホルミウム」が混じっていました。

この「ホルミウム」をよく調べてみると、さらに混じっているものがあり、それがジスプロジウムだったのです。

そこでようやく、純粋に近いホルミウムを得ることができたのだそうです。それが1886年。

そんなこんなで、希土類の新元素発見のドラマは分離技術の研鑽であり、それに伴って、原子の輝線スペクトルなどの、量子力学の基礎となるデータが多く得られました。