Tominon Macro

もともとはこのレンズはポラロイド社が生産した接写専用ランドカメラ MP-4 の組レンズです。

MP-4 は複写および接写をメインとしたカメラであり、ニコンのマルチフォトやライツのアリストフォトよりもリプロ色が強く、値段も安価であったことから、生産数としてはそれらよりも多いようです。

ただし、日本ポラロイドはあまりマジメに日本国内で売ったわけでは無いようで、日本ではあまり出土しません。

トミノンを採用する前は、ポラロイドではローデンストック社のユリゴンを使っていたのですが、これが出来があまりに悪くて、富岡光学に切り替えたとのもっぱらの噂です。

トミノン組レンズのラインナップとしては、135mm, 105mm, 75mm, 50mm, 35mm, 17mm の6本で、テッサー(135mm, 105mm)、逆テッサー (75mm)、ダブルガウス(50mm, 35mm)、逆テッサー (17mm) の構成になっています。

絞りは、短いほうから 50mm までは六角、75mm は丸っこい六角、105mm, 135mm は円形です。

バラバラに出てくることは多いのですが、フルセットってけっこう珍しく、私も何セットか欠品のあるセットを購入し、組み合わせてやっとフルセットにしました。

見かけ上若干チープに見えますが、腐っても(腐ってないけど)富岡光学、コバ塗りなどの肝はきちんと押さえてあり、かなりよく写るのにびっくりします。

特に、75mm, 50mm, 35mm はいいですね。

私としては、高倍率マクロレンズ沼の試金石レンズとしてお勧めしたいです。

ニコンの「マクロニッコール」、ツァイスの「ルミナー」「ミクロター」、ライツの「フォター(フォタール)」のような高倍率マクロレンズはものすごく高価 で、かつ操作や撮影が非常に難しく、10万円近くつぎ込んで購入しても、技術が伴わずにもてあまし、結局ほとんど使われずに売却してしまうケースが多いか らです。

トミノンが使いこなせれば、これらのレンズも問題なく使用でき、もとが取れます。

トミノンがだめなら、あきらめたほうがいいでしょう。

引き伸ばしレンズをリバースにして光軸の部分を使うやり方もいいのですが、引き伸ばしレンズはやはり広大なイメージサークル全体に対して良好な収差補正を重要視した理念で設計されており、やはり「ホンモノの」マクロレンズとはだいぶ違います。

トミノンはコストパフォーマンスが高く、しゃきっと写る優れたレンズなのです。

零戦の練習機(九三式中間練習機、いわゆる赤トンボ)って言っちゃレンズに失礼かな。実力はかなり高いです。

このレンズは基本的にはベローズの使用を前提としております。

ピント合わせ用のヘリコイドを持ちません。

一番厄介なのはマウントで、ライツアリストフォトと同様に、M40P0.75 という特殊マウントを使っています。

お金がなくて手先が器用な方は、レンズのリアキャップが M40P0.75のプラスチックキャップで、割合しっかり作ってあるので、これに穴を開けて適当なカメラマウントにアラルダイトのような接着剤で貼り付け てください。かなりいい出来で自作アダプターができます。