日本の新鉱物(ケイ酸塩)

プロトマンガノ鉄直閃石(栃木県日瓢鉱山)

栃木県の日瓢鉱山、福島県川俣町の水晶山で見出された含マンガン角閃石で、日瓢鉱山のものは強変成を受けたマンガン鉱床に、石英や他のマンガンケイ酸塩を伴って、繊維状の集合体になります。 このタイプの、空間群 Pnmn の構造を持つ角閃石類をプロト角閃石と呼びます。

神津閃石(岩手県田野畑鉱山)

マンガンを含むアルカリ角閃石の一種で、記載産地は岩手県田野畑鉱山田野畑坑。記載は故南部先生です。

岩鉱。 Mineralogical study on manganese silicate minerals from northeastern Japan. VI. Kozulite from Tanohata mine, Iwate Prefecture. Manbu, Matsuo; Tanida, Katsutoshi; Kitamura, Tsuyoshi. Ganseki Kobutsu Kosho Gakkaishi (1969), 62(6), 311-28.

熱変成を受けた堆積性のマンガン鉱床に産出し、ブラウン鉱やバラ輝石とともに産します。黒赤褐色の結晶になります。 この標本ですと、ほとんど黒に見える層状の部分が、柱状の神津閃石の集合体です。 石英に散っている部分をうまく撮影すると、こんな感じになります。

神津閃石(kozulite), NaNa2[Mn42+(Fe3+,Al)]Si8O22(OH)2, mon., C2/m.

岩手県下閉伊郡田野畑村田野畑 田野畑鉱山田野畑鉱床

国立科学博物館蔵.標本番号:NSM-M26398

標本幅 : 15 cm

松林に車を止め、畑を通って沢に下りると、昔々にマンガンを掘りぬいた大きな坑道があり、坑道の中にはいっぱいコウモリが住んでたりするんですが、そこにいっぱい転がっています。 いっぱいありすぎてありがたみの無い新鉱物でもあります。

結晶構造は、去年アリゾナ大のグループが再精密解析しました。 これでとどめでしょう。

Kozulite, an Mn-rich alkali amphibole. Barkley, Madison C.; Yang, Hexiong; Downs, Robert T. Department of Geosciences, University of Arizona, Tucson, AZ, USA. Acta Crystallographica, Section E: Structure Reports Online (2010), E66(12), i83.

http://journals.iucr.org/e/issues/2010/12/00/pk2265/pk2265.pdf

昔の選研彙では、含亜鉛含マグネシウム神津閃石という話が出てくるらしいんですが、松前沢坑産で、その後まったく話が出ません。 選研彙までウェブで読める世の中になりましたか。すごいね!

Watanabe, Takeo; Kato, Akira; Nambu, Matsuo; Tanida, Katsutoshi; Kitamura, Tsuyoshi. 東北地方産ケイ酸マンガン鉱の鉱物学的研究(第19報) : 岩手県田野畑鉱山産セラン石について、東北大学選鉱精錬研究所彙報、(1976), 32, (1), 1-13.

http://ci.nii.ac.jp/naid/110000202698

神津閃石は、東北大の実験鉱物学の流れを作った神津俶祐(1880-1955)先生の名前を戴いています。 日本の地質学にX線結晶学を駆使した高温高圧の物質科学を導入した、偉大な先生であります。 何でも、炉で実験をやり始めると家に帰れなくなり、モロブタの標本箱を並べてベッドにし、その上で仮眠しながらデータを取ったとか。いろいろな逸話があります。 大学教授がじっくりと実験科学に向かい合えた時代でもありました。

津波で大被害にあった田野畑村の復興を心より祈っています。

苦土フォイト電気石(宮崎県乙ヶ淵鉱山)

山梨県の山奥で発見された電気石の一種で、その後世界中のあちこちから産出が報告されました。

先端の非常に鋭い六角柱状結晶が、水晶の上に多数成長しています。

色の濃い部分は、鉄分の多いフォイト電気石です。

原田石(鹿児島県大和鉱山)

マンガン鉱石に脈状に入り込んだ、バナジウムとストロンチウムを含むケイ酸塩です。

鮮やかな緑色で、存在するとはっきりわかります。

原田石(haradaite) Sr4V4Si8O28, orth., Ama2

鹿児島県大島郡大和村 大和鉱山(TL)

東京大学総合研究博物館蔵

標本幅: 4.8 cm

Nikon Micro Nikkor 60mmF2.8G ED/Nikon D3

原田石(野田玉川鉱山)

野田玉川鉱山の原田石。熱変成を受けた堆積性のマンガン鉱床に見つかる、バナジウムを含んだ鮮緑色の鉱物です。

鈴木石と同様に、細長い板状結晶が石英―ロードナイトの中に埋没します。

横から見た形です。

原田石(haradaite)

Sr4V4Si8O28, orth., Ama2 岩手県九戸郡野田村玉川 野田玉川鉱山(TL)

東京大学総合研究博物館蔵

写真幅: 1.6 cm

Leitz Photar 50mm F4 (F = 8)/Nikon PB-4/Nikon D3

鈴木石(長野県浜横川鉱山)

上記原田石のストロンチウムをバリウムで置換した鉱物です。

若干変成を受けたマンガン鉱床に見いだされ、よく目立つ鉱物です。

このものは、東大の渡辺先生らによって岩手県田野畑鉱山より発見され、すぐ後に群馬県桐生市の茂倉沢鉱山からも見つかり、記載されました。

写真は珍しい、長野県浜横川鉱山のものです。

鈴木石(suzukiite) Ba4V4Si8O28, orth., Ama2

長野県上伊那郡辰野町 浜横川鉱山 65mサブレベル

東京大学総合研究博物館蔵

標本幅: 4.8 cm

Nikon Micro Nikkor 60mmF2.8G ED/Nikon D3

こちらは記載産地のひとつ、茂倉沢鉱山産。マンガン鉱石中に鮮やかなグリーンの集合体で、ちょっとでもいるとよくわかります。

湯河原沸石(神奈川県湯河原町不動滝)

大隅石(隼人)

大隅石(咲花平)

千葉石(千葉県南房総)

これについては、千葉石のページがあります。

そちらにどうぞ。

吉村石(岩手県野田玉川鉱山)

野田玉川鉱山で見出された新鉱物、吉村石です。

野田玉川鉱山は北三陸にある大きなマンガン鉱山で、吉村石、原田石、木下雲母などの新鉱物をいくつも産し、主に東大グループによって相次いで記載されました。

地質は堆積性の層状マンガン鉱床で、南側の花崗岩接触によって熱変成を受けています。チャートに挟まったレンズ状の鉱体が、膨縮を繰り返しながら、切れ切れながらも2km近く延長しています。

現在は、宝飾用のバラ輝石を細々と掘っています。この間見に行ってみたら、坑道をワインセラーとして使ってました。

吉村石はバリウム、マンガンおよびチタンを主成分とするかなり複雑な組成の鉱物で、一方向に完全なへき開がある、褐色の雲母のような外見を示します。

命名は、日本のマンガン鉱床研究の大家、吉村豊文先生の名前から。

ケイ酸塩シート構造((A. M. McDonald, J. D. Grice, and G. Y. Chao, The Canadian Mineralogist, 38, 649-656 (2000).))があり、これが一方向のへき開の原因のようです。

この標本は、吉村石を研究記載した東大収蔵のもので、多くの立派な標本が残されています。大きなものでは3cm近い結晶が埋没しているようなものも。

右側の白い長石に埋まっている、褐色の部分がそれです。

ピンクはバラ輝石。濃い灰緑はテフロ石でしょう。

吉村石(Yoshimuraite) (Ba,Sr)2Mn2(Ti,Fe)Si2O7(S,P,Si)O4(OH,Cl)2, tric., P-1.

岩手県九戸郡野田村玉川 野田玉川鉱山 ミサゴ鉱床 -30 mL

東京大学総合研究博物館蔵

幅 12 cm

Nikon Micro Nikkor 60mm F2.8G ED/Nikon D3

渡辺先生のラベル。

Yoshimuraite bearing pegmatite (P) with rhodonite and K-feldspar

Misago ore body, Nida-Tamagawa Mine

これは別の標本の拡大撮影で、茶色い部分です。へき開のキラキラ感と褐色が見えるかと思います。色が出ないので撮りなおします。はい。

吉村石(Yoshimuraite) (Ba,Sr)2Mn2(Ti,Fe)Si2O7(S,P,Si)O4(OH,Cl)2, tric., P-1.

岩手県九戸郡野田村玉川 野田玉川鉱山 ミサゴ鉱床 -30 mL

東京大学総合研究博物館蔵

上下撮影範囲 4 cm

Nikon Micro Nikkor 60mm F2.8G ED/Nikon D3

これは別の標本のラベルなんですけど、「New Mineral?(新鉱物?)」と書かれた、渡辺先生のラベル。命名前のラベルですね。昭和29年。

おそらくその後に加藤先生が該当標本に新しくラベル付けをした、吉村石のラベル。

加納輝石(北海道館平鉱山)

記載者である小林先生が科博に送られた、タイプ標本の切断標本の片割れ。

加納輝石は熱変成を受けた層状マンガン鉱床に産する、マンガンを含んだ輝石の一種で、北海道のはずれの海岸で見出されました。記載産地は北海道爾志郡熊石町館平。

加納輝石(kanoite),

(Mn, Mg)2Si2O6, mon., P21/c.

北海道爾志郡熊石町館平

国立科学博物館蔵.標本番号:NSM-M21331 (type specimen)

幅 : 4.5 cm

上の標本で鮮やかなピンク色なのはパイロクスマンガン石。その左側に標本の断裂した割れ目があって、先のパイマンとの間に、ちょっと色の明るい部分が層状になってます。

ここの部分が色の薄いカミントン閃石を多く含み、この中にやや色の濃い加納輝石の粒がバラバラ入り込んでいます。大きさは 0.2 mm 以下。

加納輝石自身の写真がうまく撮影できなかったので、タイプ標本の雰囲気だけでも。

こっちが上野本館に置いてある模式標本です。同じブロックのスライスを撮っているのですが、ずいぶん色が違ってしまいました。

産地はこんなところです。私も行ったのですが、波が高くて、なかなか手が出ません。

今となっては採集は至難の業。海の中の岩礁に出ているらしいんですが、大潮の引き潮のときに海に潜って、転がっている石を探しても厳しいかも。

とりあえず、濡れるのが嫌いな人はダメかも。

森本柘榴石(岡山県布賀鉱山)

森本柘榴石(Morimotoite), Ca3TiFeSi3O12, cub., Ia3d

岡山県高梁市布賀 布賀鉱山

高さ : 8 cm

カルシウムとチタンと鉄をガーネットのABサイトに置いた、不思議なガーネット。

灰チタン柘榴石(schorlomite)とまったく見分けが付きません。

サイトの原子占有率が違えば、回折パターンは違うわけですから、回折実験すれば違いは見えてくるとは思うんですが、自分ではX線かけてないので、よくわかりません。

こっちが灰チタン柘榴石。ほぼ同産地。

布賀(岡山)の高温スカルンで出てくる、不思議な鉱物です。

長島石(群馬県茂倉沢鉱山)

長島石です。この緑が出ないんですよね・・・。

ピンクはバラ輝石、無色は石英です。

長島石(Nagashimalite), Ba4(V, Ti)4Si8B2O27(O, OH)2, mon., Pmmn.

群馬県桐生市菱町 茂倉沢鉱山

撮影幅 : 25 mm

Nikon Macro Nikkor 65mm F4.5/Nikon PB-6/Nikon D3

長島石は群馬県桐生市菱町茂倉沢鉱山(もぐらざわ)で発見されたバリウム、バナジウムとホウ素を含む不思議な組成のケイ酸塩鉱物で、未だにここでしか見つかっておりません。

私は群馬大工学部にいたことがあるんですが、工学部キャンパスから鉱山跡までバイクで10分で到着できます。

昼休みに、バイクで飛ばして石叩き、1時までに戻ってくることもできます。

植林の杉林の中に眠る、小さな小さなマンガン鉱山です。

資料では、わずか3300tの鉱石しか出鉱していない小さな鉱床で、最終権利者は鉄興社。今の東ソーです。

で、坑口から林道の終点まで木橇で鉱石をおろしていたらしく、これが沢にこぼれて、これの中に鈴木石や長島石などの希産バナジウム鉱物がたまーに出てきます。

一番近くの花崗岩体は足利の奥のもので、かなり距離があるにもかかわらず、ここのマンガン鉱石はかなり強い熱変成を受けています。おそらく潜頭の岩体が地下にあるのでしょうね。この熱によりバナジウム分が絞り出されているのだろうと思います。

布賀石 (岡山県布賀鉱山)

高温スカルンとして著名な岡山県布賀の名前を頂いた、新鉱物の一つです。

記載は1977年。

スカルン鉱物の裂罅に成長した、白色のカルシウムの含炭酸ケイ酸塩で、炭酸イオンおよび水酸基の存在から、母鉱物に比べかなり低温でできたものと思われます。

これ、ほとんどすべての標本は、実物の写真では白っぽい鉱物ではっきりしないものなのですが、この標本では恐ろしいことに、裂罅に絹糸状の集合体が成長しているのがわかります。

分析による同定のきちんとなされた本鉱物の標本では、超一級品でしょう。

布賀石(Fukalite)(表面平面研磨)

Ca4Si2O6(CO3)(OH,F)2, mon., lattice P, laue group 2/m.

岡山県高梁市布賀 布賀鉱山

写真幅 1.8 cm

Nikon Macro Nikkor 65mm F4.5 (sp. = 3)/Nikon PB-6/Nikon D3

何度もスカルン鉱物に裂罅が生じ、それを種々の鉱物が充填し、最末期に布賀石が生成しているのがよくわかります。

桃井柘榴石(愛媛県鞍瀬鉱山)

愛媛県西条市丹原町鞍瀬鉱山など、数ヶ所の産地で発見記載された、桃井柘榴石です。

柘榴石のAサイトを2価のマンガン、Bサイトを三価のバナジウムで占めた、鮮緑色の柘榴石で、Aサイトがカルシウムである灰バナジン柘榴石とほとんど肉眼で区別が付けられません。

この二者はいずれももともとは、大和鉱山(奄美大島)で吉村先生が発見研究され、灰バナジン柘榴石のほうはタッチの差で外国の記載が先になってしまったということのようです。

こちらのサイトに、大変詳しく、読んで楽しめる詳細な説明がございます。

鞍瀬鉱山のものは、バナジウムスピネル (Vuorelainenite) の黒い粒に伴うのが桃井柘榴石の可能性が非常に高いようです。

こちらは研磨面。

自然破断面

桃井柘榴石(momoiite),Mn3V2(SiO4)3, cub., Ia3d 愛媛県西条市丹原町鞍瀬鉱山

撮影幅 : 16 mm

Nikon Macro Nikkor 65mm F4.5/Nikon

PB-6/Nikon D3

大和鉱山の「大和石」とされたバナジウム含有柘榴石は非常に目立ち、東大の渡辺教授らも60年代に気づいたようで、原田石のラベルにその記述が見られます。

これは、原田石命名前のラベルですが

A new Sr-V-silicate with rhodonite, rhodochrosite and vanadiferous garnet (6 pieces)

とあります。

「ロードナイト(バラ輝石)、菱マンガン鉱、含バナジウム柘榴石と新しいストロンチウム-バナジウム-ケイ酸塩」ということです。

ストロンチウムとバナジウムのケイ酸塩が原田石に相当します。

標本は東大博物館にそのまま残っていますが、これが灰バナジン柘榴石なのか、桃井柘榴石なのかは、私の目ではわかりません。

日本の多くの研究者を悩ませた、マンガン鉱床に産する含バナジウム柘榴石は、去年、名古屋大、北大、愛媛大のグループによって正式に記載論文が受理され、研究に尽力された故・桃井斉(ももいひとし)先生の名を頂き、ようやく落ち着くことができました。

微量サンプルの元素分析は奥が深く、きちんとしたデータは今でも取るのが大変です。

半世紀前は、一仕事だったのです。

愛媛閃石(赤石山)

クロムを含む角閃石です。

南部石(岩手県舟子沢鉱山)

南部石(nambulite), (Li,Na)Mn4Si5O14(OH), tric., P-1.

岩手県九戸郡大野村舟子沢鉱山

国立科学博物館蔵.標本番号:NSM-M18829 (type specimen)

撮影幅 : 3.5 cm

舟子沢の南部石です。タイプ標本。詰まっている黒褐色のビール瓶みたいな色のはネオトス石。

舟子沢鉱山は北上の層状マンガン鉱床でも一番北に位置し、明治末から昭和40年代まで細々と2条の鉱脈を掘った由緒正しい鉱山です。

50度ほどに傾斜した主脈をジワジワと掘っていたのですが、下部に行くと尖滅し、その時点で採鉱を止めました。

この間行ってみましたが、沢沿いの杉林の中で、現在は通洞も崩れてしまい、何も見つかりません。鬱蒼とした杉林の中です。

南部石はここで見つかった新鉱物で、ちょっとオレンジ色をしてますが、いかにも三斜晶で、バラ輝石やパイロクスマンガン石によく似ています。

ですが、分析の結果、これには多くのリチウムが含まれ、新鉱物として認定されました。

今では世界中の産地から見出されている南部石ですが、北上の小さな小さな鉱山から見出された、宝石のような鉱物です。

鉱物名は先日鬼籍入りされた東北大選鉱精錬研の故南部松夫先生 (1917-2009)にちなんでいます。

ストロナルス長石(高知県高知市)

ホリミネラロジーの堀秀道博士が見つけられた新鉱物の一つ、ストロナルス長石です。高知県高知市蓮台産。

タイプ標本。結局、この産地ではこのときの一塊しか見つかってないらしいのです。分析により確定されたものでは。

黒瀬川構造帯中のロジンジャイトに入ってくるレンズ状白色ブロックの質感が、ビミョーに曹長石と違うことに気づき、粉末回折実験でもバナルス長石からビミョーに反射パターンが変わっていることから成分分析をして、ストロンチウムの存在に気づいたのだとか。

まさに目からX線ビーム伝説の逸話でもあります。

オレならこれを野外で見てもわかりませんね。

精進しましょう。目からビームを出せるように。

この、堀さんが気付いたという「独特の質感」を表現すべく、いつもより絞りを開き気味に、立体を出して撮影しましたが、なかなか難しいですね。

ストロナルス長石(Stronalsite), SrNa2Al4Si4O16, orth., Iba2.

高知県高知市蓮台

国立科学博物館蔵.標本番号:NSM-M24394 (type specimen)

幅 : 1.8 cm

鉱物名は、ストロンチウム+ナトリウム+アルミニウム+ケイ素を主成分とすることに基づきますが、それ以前に知られていたバリウムを主成分とする長石(バナルス長石)のストロンチウムアナログですので、その命名を踏襲したものでしょう。

その後、国内でもこの鉱物は3ヶ所で発見され、意外とあるなー、ということになりました。

おそらくもっとあるのでしょうが、気づいたもの勝ちの鉱物であります。

下の写真は中津川の鉱物博物館に収蔵されている、幅10cm近いストロナルス長石です。

高知市円行寺田中オリビン産(同じく蓮台です)

この鉱物は、故長島弘三先生のところに持ち込まれたものですので、おそらく上の模式標本と脈続きのサンプルかな、と予想しています。

緑簾石-(Sr) 、紅簾石-(Sr)(高知県穴内鉱山松株本坑)

ストロンチウムを端成分とする緑簾石グループの鉱物です。なぜか赤い色が付きます。結晶粒の大きなところが紅簾石-(Sr) で、やや細かいところが緑簾石-(Sr) の傾向が高いようです。