イットリウム

イットリウム。わずかに黄色みを帯びた鋼灰色の金属です。

写真は、蒸留精製したデポジットのワイヤ状の結晶集合体です。

木村石(佐賀県肥前町)

木村石(kimuraite-(Y)), CaY2(CO3)4-6H2O, orth., Imm2.

佐賀県東松浦郡肥前町新木場

国立科学博物館蔵(櫻井鉱物標本).標本番号:NSM-M33522

幅 : 4.2 cm

佐賀の外れのアルカリかんらん石玄武岩の空隙には、特異な希土類の炭酸塩鉱物を多く産し、その道の人にはすごく有名です。

一番バッターがロッカ石でしたが、新鉱物第一番はカルシウムとイットリウムの炭酸塩で、東大の放射化学の権威、故木村健二郎教授(1896-1988)の名前を頂きました。

わずかにピンク色を帯びた白色の結晶集合体です。

理想成分はカルシウムとイットリウムとされていますが、このイットリウム分は他の希土類元素を多く含んでいます。

記載論文における分析値の上位6元素をあげておきますと、イットリウム (77.7%)、ネオジム (5.3%)、ガドリニウム (4.1%)、ジスプロジウム (3.9%)、ユーロピウム (2.6%)、サマリウム (1.6%) です。すべてモル%。

中国に振り回されっぱなしの希土類元素ですが、佐賀県のもお忘れなく。

イットリウムの鉱物ですと、サマルスキー石~イットロタンタル石系の鉱物が代表です。

ペグマタイトに入ってくる、イットリウムとニオブ~タンタルの複酸化物で、黒色のヌメッとした光沢の鉱物です。

これはノルウェイのものですが、ウランを比較的多く含み、やや強い放射性があります。