酸化チタンたち

ルチル(rutile, 金紅石)

アナテース(anatase, 鋭錐石、アナターゼ)

ブルッカイト(brookite, 板チタン石)

晶出時のチタン濃度、温度、圧力、pH などのわずかな条件によって、二酸化チタンはいろいろな結晶構造を取ります。

まったく同時に、二つの多形が成長しているとしか思えない状況もあり、けっこう謎に包まれています。

結晶形状は、ルチルは四角柱状で、低い頭があり、柱面のエッジは削げています。

アナテースは四角両錐。錐面先端はまったいらな端面で切られていることも多いです。

ブルッカイトは板状で、剃刀の刃のようにエッジが鋭く削げています。ホントに手が切れそう。

以前から、究極の白色顔料として多用されてきました。

白いウルシは、これがないとできません。

女性の化粧品にも多く加えられ、チタンの超微量分析をやってるところに化粧した女性が入るとデータがぐちゃぐちゃになるという話は前にちょっと書きました。

この10年ぐらい、光触媒としてよく名前が出てきます。

いずれの酸化物も、光で言うと紫外域長端に相当するぐらいのエネルギーのバンドギャップを持ちます。

合成で簡単なのはアナテース。加熱するとルチルに相の転移を起こします。

ルチルも作れます。高温相はルチルの方がはるかに安定域が広いので、単結晶ものですとルチルが多いです。

ブルッカイトは合成的には厄介なので、バンドギャップという点からは有利なんですが、あまり光触媒として利用されることはなさそう。

なお、合成では無色透明です。天然の色は不純物によるカラーセンターです。