沸石グループ

アルミニウムを含んだ酸化ケイ素のカゴが三次元の網目状構造を作り、アルミニウムの電荷不足を中和するように、陽イオンおよび水をカゴの中に取り込んだ鉱物が沸石(ゼオライト)です。

多くの鉱物種を含みます。

輝沸石(東京都父島)

父島の鉱物の代表といえば、これです。輝沸石。

歴史的には、1700年代に黒船が小笠原諸島に立ち寄ったときに、黄鉄鉱を見出しそれを学術雑誌に報告したのが日本の鉱物が世界に紹介された初めての例だとされているんですが、明治期に国内の学者の耳目を集めたのは、父島の巨大輝沸石でした。

大きいんですよここのは。3cmぐらいある結晶があります。

厚い菱形の結晶で、この菱形の面(現在の軸立てでは b 面)に完璧なへき開があり、これがキラキラ光って、とてもキレイに輝きます。

輝沸石(静岡県河津町浜)

輝沸石(宮城県白石市)

剥沸石(群馬県碓氷峠)

湯河原沸石(神奈川県湯河原町)

エリオン沸石(東京都父島)

x1.9

父島で拾ってきたエリオン沸石です。

方解石と仲良く産するので、端成分はカルシウムでいいでしょう。

円柱状の集合体がさらに集合して、球状の集合体になり、これを割ると放射状の組織が見えます。

母岩は無人岩。充填物は菱沸石です。

エリオン沸石はかなり大きなアルミノシリケートのチューブ状構造(チャネルといいます)を持ち、イオン交換などには良い成績を示しますが、石綿を凌駕する発がん性を持ち、有害性は無機繊維質物質のトップなのだそうです。

慢性症状は中皮種。

カッパドキアあたりの岩には多く含まれており、現地の人はそのヒュームを吸い、中皮種で亡くなる割合が非常に高いのだそうで。

そういった事情があり、多く工業的には用いられづらいゼオライトの一種です。

灰十字沸石(東京都父島)

特徴的な十字型の双晶をなすことが多く、これで判別が可能です。国内に数多くの産地があります。

とはいえ、なかなかキレイな十字になることは少なく、これほど美しいものは国内の他の産地で見たことがありません。

ナトリウムやカリウムを空孔に含む種もありますが、ここは方解石を多く産するので、カルシウムが含まれている種である「灰十字沸石」だと思われます。

南の島のサザンクロスですね。

モルデン沸石(岩手県)

モルデン沸石(静岡県浜)

苦土沸石(北海道)

ソーダ沸石(千葉県)

ソーダダキャルディ沸石(新潟県)

束沸石

重土十字沸石

中沸石