聖堂騎士レシア「私は前に進んで、この戦いの意味を見定めたいと思います」
依頼主・ガルシャ聖堂騎士団(ヴェルギナ・ノヴァ帝国)
概要・小砦の籠城戦
シナリオタイプ・戦闘
シナリオ難易度・普通
主な味方NPC・ガルシャ聖堂騎士「レシア・ケルテス」
ステータス上限・無し
シナリオ参加条件・実績「聖堂騎士レシアの悩みを晴らした」をPCが所持
シナリオ中の確定世界線・ユグドヴァリアの交易路を脅かしてる盗賊団が討伐されていない世界
「上手くは言えないが……言葉にするならば、そう、未来を創りたい、望まれた未来を」
望まれた未来、誰が望んだ未来?
「黒い煙と炎、闘争の瓦礫の中に埋もれていった子達……――彼等から私に望まれた世界を、彼等にくれてやりたいと望んだ、あの日の私の望みだ」
戦勝の祝いとそして戦死者の弔いの為に城塞都市を訪れた皇帝を見つめ、レシア・ケルテスは問いかけた。
「つまり、貴方は己が望むように世界を変える為にこの戦争を始めたのですね」
「そうなる」
薄紫の髪の皇帝は頷いた。
「あんな風に幼い子供が死に、あんな風に幼い子供がたった独りで戦火の大陸を彷徨わなければならない世の中なんてのはおかしい。変えなければならない」
アテーナニカはその紫色の瞳で真っ直ぐにレシアを見つめ返して来て言った。
「レシア・ケルテス、もし嫌でなければ貴方も力を貸して欲しい。その刃を振るう意味を、未来へと求めてくれはすまいか、より良い未来だ」
聖堂騎士の少女は少し悩んでから、考えておきます、と答えた。
皇帝が去った後、同輩や上官達が何かを言っていたが、レシアは皇帝に約束した通り考え事をしていたので、あまり耳に残らなかった。
●
真っ青に晴れた夏の空に太陽が燦々と輝いている。
「皇帝陛下はそのような事をおっしゃっておいででした」
荒野に立つ小さな砦の壁上で、彼方を見張りながら灰瞳の少女は貴方へと語った。
なんでも皇帝と会う機会があったので折角なので尋ねてみたそうだ。
レシアが思い切りが良いのか、ヴェルギナ・ノヴァの皇帝が割とフランクなのか、恐らく両方なのだろう。
現在、貴方はアドホックで帝国からの依頼を受諾し、傭兵として期間決めでガルシャ聖堂騎士団へと参加していた。
顔見知りである事が考慮されたのか、レシアの隊に配属されている。
レシアは前線へと戻されていた。輸送任務を終えた後、上官から「悩みは晴れたようだな」とか言われて、それからすぐの事だったらしい。
今は城塞都市プレイアーヒルの前衛に築かれている砦群のうち一つの守備についていた。
簡素な逆茂木と堀、そして魔術文字が刻まれてはいるが雑な造りの木壁で築かれた小さな砦だ。他にも似たような砦が幾つか築かれているらしい。
帝国側はこの砦群を足がかりとして、さらに前方へと陣地を築ければ、大公国側のアヴリオンへの交易路や、フェニキシアへの連絡路を断てる範囲にまで、勢力圏を広げられるのだという。
そうなれば、今後の戦況がグッと有利になるのだそうだ。
「私にはこの戦いが正義なのか、今はよく解りません。陛下の動機は正義かもしれませんが、その為に帝国を復活させて世を変えようとする事は、血が流れ過ぎるような気がするのです。ただ、誰かがこの世の中を変えなければならない、というのも確かなのでしょう」
灰瞳の少女は以前とは少し様子が違ったが、相変わらずこの戦いの是非については考え続けている様子だった。
「ですから、私は前に進んで、この戦いの意味を見定めたいと思います。なんで私達が血を流して、とも思いましたが、イスクラ王やジシュカ総長が賛同しているからには、ガルシャ王国にとっても、戦うべき理由があるのでしょうから」
彼女としては今はひとまず、そういう結論に落ち着いたらしかった。
この戦いが終わった時、あるいはその途中で、何がしかの答えを出せるのだろうか。
●
貴方が塁壁上で見張りを続けていると、北の地平に人影が現れた。
武装した男女の集団だった。
スパンゲンヘルムを被り、チェインメイルに身を包み、左手には円盾を、右手には槍を持ち、腰に戦斧を吊っていた。
隊列を組み、密集して砦の方へと迫り来ている。
――あれは。
貴方は身構え、急ぎ味方の周波領域へと念話を飛ばした。
ユグドヴァリア軍襲来の報を。
<<……盾に描かれた紋章を見るに恐らくは、ゲイルスコグル戦祈団の一隊ですね>>
レシアが緊張を孕んだ念を個人周波数で貴方へと向けてきた。
ゲイルスコグル戦祈団とはグルヴェイグヴィズリル州を拠点とする極めて勇猛な軍団である。手強い連中だ。
数は五十人程度だろうか。
恐らく、全員が祈士だろう。
現在、この小砦に詰めている祈士は、貴方を含め三十人程であったので、数の上ではかなり不利であった。
しかし、砦を落とすとなると微妙な数でもある。基本的に防御側の方が有利だからだ。
――威力偵察だろうか?
という旨の事を問うと、
<<恐らくは。ただ、こちらの抵抗力が弱ければ、そのまま本気で攻め落としにかかる可能性は高いと思います。彼等はとても勇猛ですから>>
レシアからそんな念話が返って来る。
敵の一団が迫り来る中、この砦の守備隊長を務めている百祈長からの念話が味方の全体周波領域で響いた。
士気をあげる為か演説めいた語り口だったが、内容を要約すると、
『壁を活かし籠城する。総員持ち場につけ』
との事だった。
守砦戦が始まった。
■目標
敵の撃退
■PCの持ち場
PCは遊撃にあてられている
他NPCの指揮等は出来ないが、自己判断で自由に動いて良い
■PCの初期配置と壁の上下への移動手段
砦の壁の上にいる
壁上の通路の幅は二人が並んですれ違える程度
砦の内部へ向かっては階段が設けられている箇所があるので、そこから登り降り可能
壁上からならば砦の外へと飛び降りて出る事も一応可能
(壁の高さは7m程度)
■天候と地形
晴れ
簡素な逆茂木と堀、そして木壁で築かれた小さな砦
砦の周囲は平坦な荒野
■狭間胸壁(城壁上の凹凸状の壁)について
砦の壁上に存在している
射撃等に対し胸壁を上手く盾に使えた場合、防御力に大幅なボーナスが得られる
ただし胸壁は魔術文字で強化されてはいるが木製な為、数発攻撃を受けると破壊されてしまう
■ゲイルスコグル戦祈団の動きの予定
破神剣の射程に入ると戦祈団の祈士達は半数程が四角形の密集方陣を組む
この密集方陣は、前と横の最前列の祈士が前方へと盾を構え、その後ろに続く祈士達は斜め上、あるいは頭上へと盾を翳す
そのようにして集団密集して構えた盾の群れでほぼ全方向を覆う
そして破神盾を発動して盾を中心に超防御を展開しながら前進してくる
盾と盾の間に隙間は存在するが、彼等も射撃に反応して盾の位置を微妙に動かすので、隙間を抜いて射撃を撃ち込む事はかなり困難
戦祈団のうち密集方陣に参加しなかった祈士達は、破神剣で壁上のヴェルギナ・ノヴァ軍の祈士を射撃し、密集方陣の前進を援護する
密集方陣が砦門前へと辿り着くと最前列の祈士達が戦斧を振るって砦門を攻撃し始める
砦門も簡素な造りの為、大勢の祈士から攻撃されれば数秒で破壊されてしまう見込み
砦門が破られると戦祈団は砦内に侵入して来る
射撃していた祈士達も突撃に続く他、一部はフック付きロープ(霊鋼の糸が織り込まれていてとても頑丈)などを用いて壁上にひっかけ、門からではなく壁を直接登ってこようとする
原則、味方は砦門が破られそうになると一部は壁上に留まるが、大多数は砦内部の門前に集合して戦祈団の侵入を迎撃する
上記の流れは厳密にはPL情報だが、ユグドヴァリア軍の基本戦法なので、PCも「彼等はこうしてくるだろうな」と予想がついている扱いにして良い
■敵戦力
●ゲイルスコグル戦祈団 × 50
スパンゲンヘルム
チェインメイル
ラウンドシールド
ショートスピア
ブロードアックス
で武装した屈強な北方民族の男女。
フック付きロープ(霊鋼の糸が織り込まれていてとても頑丈)を持っている者もいる。
・PL情報
攻撃レート+15
防御レート+20
最大行動力1
使用ダイス1D50
■味方戦力
●ガルシャ聖堂騎士団
砦の壁上に展開している
最大行動力1
使用ダイスは1D50
○テンプルナイト × 14
攻撃レート+5
防御レート+25
長剣と円盾、プレートアーマー、グレートヘルム、サーコートで武装
防御力が高い
○マスケッティア × 14
攻撃レート+25
防御レート+15
銃剣付きマスケット銃とチェンメイル、ケトルハット、サーコートで武装
攻撃力が高い
○レシア・ケルテス
十六歳の銀髪少女
長剣と円盾で武装
攻防レート共に0
最大行動力1
攻撃よりは防御が得意
セットしているスキルは「流水」「神眼」「癒しの光」
守砦戦へようこそ、望月誠司です。
こちらレシアの迷いが晴れて、早期に前線に戻った世界線のシナリオとなります。
ご参加にはPCが「聖堂騎士レシアの悩みを晴らした」の実績を獲得している必要があります。
シナリオの内容はというと、砦に押し寄せて来たユグドヴァリア軍を籠城して迎え撃つ戦いですね。
30VS50と数の上ではかなり不利ですが、砦に陣取っているので地形的にはかなり有利な他、敵は戦局が不利へと大きく傾くと退却を開始します。
さらにPCは他のNPC達よりもとても強いので、そこまで難易度が高いシナリオではありません。
ただし、敵は数が多いですので、いかにPCといえども単騎で突出すると酷い目にあう可能性が高いです、ご注意ください。
ご興味惹かれましたらご発注いただけましたら幸いです。