ルルノリア「アドホックへようこそ!
アドホックはプレイヤーキャラクターがゲームスタート時に所属している組織です。
『要するに』で説明するとつまり『傭兵ギルド』ですね。
色々と良い噂も悪い噂もありますが、傭兵にとってはとっても良い組織ですよ。
常に何らかの仕事が入ってきますから、真面目に契約して働く限り、喰いっぱぐれる事はありません」
通称は『アドホック傭兵ギルド』あるいは単に『傭兵ギルド』。
傭兵ギルドは世界にも他に存在しているが、ゼフリール島では唯一の組合的な機能を持つ巨大傭兵組織であるので(幾つかの傭兵『団』なら他にも存在しているが)、ゼフリール島で人々が「傭兵ギルド」と言った場合は十中八九このアドホックの事を指す。
いかなる国家に対しても永世中立を宣言する独立自由都市国家共和国アヴリオンに拠点を置く、祈士による広域傭兵互助組織。(広くギルドと呼ばれているしギルドのようなものだが正式にはギルドではない)
所属する傭兵に対して依頼の斡旋の他、様々なサービスを良心的な代金と引き換えに行っている。
祈刃の貸与やそのメンテナンス、祈霊石の交換など祈士として活動する上で必要不可欠なものの他、飲食や宿の提供、預金や出金、配達や配送受取代行など、その支援は幅が広い。
アドホックはアヴリオン共和国と方針を同じくし、あらゆる勢力に対して中立――つまり「どのような相手だろうが金さえ出せば平等に戦力を出す」と言われている。
アドホックの広報は「それは事実ではない」と評判を否定しているが、しかし、少なくともゼフリール島内のすべての国家に対して契約下にある傭兵団を契約に基づき送っているのは確かである。
故に戦場によってはアドホックに所属している傭兵同士で祈刃を交え合う事も起こっている。
潮風吹く港湾都市アヴリオンの中心街よりもやや外れた位置にアドホックの本部は建っている。
石造りの三階建ての大きな建物だ。
看板に描かれているマークは渡り鳥『翼を広げたハヤブサ』である。
鋭く、素早く、季節と共に何処からともなくやってきて、季節と共にまた何処かへと去ってゆく、その自由に空を渡り飛ぶ様からつけられたものらしい。
一階は依頼受付所兼酒場となっており多くの傭兵で賑わっている。
プレイヤーキャラクターもまたアドホックから依頼を受ける場合、少なくとも初めのうちは、この一階の受付を利用する事が多くなる事だろう。
看板の受付員は受付嬢のルルノリア。
他にも黒い眼帯を嵌めた初老の大男ドナテロなども受付に入っている。
二階は宿になっており、一階の酒場で呑み過ぎて酩酊した客が二階の部屋へとよく放り込まれている。
三階は一般に関係者以外は立ち入り禁止となっているスペースだ。
組織の長であるアルスランらの執務室や客人用の応接スペース等がある。
アドホックは「傭兵ギルド」と通称されているが、正確にはギルドではないので、その長であるアルスランも正しくは「アドホック組織長」と呼ぶべきであるのだが、だいたいが皆「ギルド長」と呼んでいる。
組織員達ですらアルスランを「ギルド長」と呼び、自らの事を「ギルド員」と名乗ったりもしているのでアルスランは訂正を諦めている。
地下も存在しているが、こちらの立ち入りはより厳しく、三階へは行った事があるという者はそれなりに存在しているが、地下の話は表だっては話されていない。
アドホック傭兵ギルドに所属することが正式に認められた正規の傭兵にはギルドからアドホック傭兵としての身分証が与えられる(試用期間中の見習い傭兵などには与えられない)
この身分証は金属製のチェーンに円型の金属がつけられた「メダリオン」と呼ばれる形状だ。
この身分証は霊鋼製であり、魔術的な付与がなされており、波紋障壁で防御する事が可能であり、次元回廊内においても破壊されない。
祈士による広域傭兵互助組織であるアドホックは所属する傭兵に対して金融機関的サービスを行っている。
アドホック傭兵ギルドの身分証を持つ所属傭兵は、アドホックのギルド本部及び支部の窓口で、金銭を預金したり引き出ししたりする事が可能だ。
(ギルドに預けている金額は、身分証に魔術的な文字で記されている。この文字は預金や出金をする時にギルド職員によって魔術的に書き換えられる)
通常、波紋障壁で防御できるもの(祈士用に特殊加工された物品以外だと、半月以上所持して自分の霊力を馴染ませるなどしたもの)以外は次元回廊を通ろうとすると破壊されてしまう。
これは金銭も例外ではない。
なので、もしも遠隔の地方らに赴いている時に現地で手渡しで金銭報酬などを得た場合でかつ、すぐに次元回廊を通りたい場合は、最寄りのアドホックギルドに赴いて、窓口で金銭を預けてから次元回廊を通るようにすると良いだろう。
そうしないと金銭が次元回廊内で消えてしまってタダ働きになってしまう。
(なお基本的にギルドから受けた依頼の場合、報酬の受取はギルド本部でも支部でもいずれの場所でも可能だ。
依頼達成後にすぐに窓口から受け取る事も可能だし、しばらく期間をおいてから受け取る事も可能である。
ただしあまりにも長い間、報酬を受け取らないでいるとギルドの裁定により受取資格が失効とされてしまう事もある。遅くとも一年以内には受け取るようにした方が良いだろう)
波紋障壁で防御できないものは次元回廊を通ろうとすると破壊されてしまう。
なので旅先で購入した品物などは霊力を馴染ませる前に、すぐに次元回廊を通った場合は破壊されてしまい、持ち帰る事ができない。
そのため基本的には、半月以上待って自分の霊力を馴染ませたり、のんびり陸路や海路で持ち帰る事になる。
しかし急ぎで次元回廊を通る必要が発生する場合などもあるだろう。
その際には購入した品物の輸送をアドホックに依頼する、というのがアドホック傭兵としては一般的な対処法となる。
ギルドに品物の運送を依頼すれば、自分自身は次元回廊を通って急ぎで移動しつつ、品物は輸送依頼を請け負った他の傭兵や業者の手で陸路や海路により運んで貰う、といった事が可能だ。
勿論、品物の運送を依頼するには相応の料金がかかる(所属傭兵に対しては手数料が抑えられているので他の運送業者に依頼するよりも安くはなっているが、それでもそれなりにかかる)し、品物が運ばれて来るまでにも相応の日数が必要となる。
目安としては陸路はアヴリオンからプレイアーヒルまでの距離で大体一週間程度となる。水運を使える地域の場合はもっと速い。
またこの時代ゼフリールは色々と物騒だ。
各種トラブル(ゲノスや野盗、魔獣による被害の他、嵐などで船が沈没するなど)で品物が届かなくなるリスクは常にあるので、時間的余裕があるなら自分で運んだ方が安心ではあるだろう。
(より高い料金を支払って信用できる腕利き傭兵を指名して輸送を頼む、という手もあるが)