聖堂騎士レシア「進んで戦争へゆく気にはなれませんが、数字と睨めっこというのも、これはこれでキツイですね……」
依頼主・聖堂騎士レシア・ケルテス(ヴェルギナ・ノヴァ帝国)
概要・交易
シナリオタイプ・交易
シナリオ難易度・普通
主な味方NPC・ガルシャ聖堂騎士「レシア・ケルテス」
ステータス上限・無し
シナリオ参加条件・シナリオ「聖堂騎士団の輸送隊」を成功以上でクリアしているPCである事
シナリオ中の確定世界線・レシアが前線に戻っていない世界
東歴(東にあるトラシア大陸発祥である光陽歴のゼフリール島における別名)にして1205年の初夏の日の事だ。
「またお会いしましたね」
アドホックに出されていた護衛依頼を受諾し、ルアール城村へ向かった貴方を出迎えたのはぼんやりとした灰瞳の少女だった。
『祈りヶ丘に建つリース聖堂を守護する兄弟姉妹達』に所属するレシア・ケルテスだ。
彼女は武装修道女であり、つまり世間一般でいう『聖騎士』である。
通称して『ガルシャ聖騎士団』と呼ばれる彼女等は、神からの教えと正義と愛に則り人々を守護する為に戦うのだという。
「今回の旅の目的は、ざっくり言うと商売ですね」
しかしそんな彼女が現在行っている任務は、非常に俗な事のようだった。聖騎士と聞いて一般に連想される言葉からは遠い。
「信徒からの寄進だけに頼り切るのはよろしくないので、我々聖騎士団も戦費や領地運営の費用を賄う為に、資産運用を行っているのです」
祈りヶ丘(プレイアーヒル)は山脈と大河のちょうど切れ目を塞ぐようにある丘である。
その山脈からは岩塩を採掘できる。
聖騎士達は手隙な時はこの岩塩を掘る事を訓練がてらの仕事にしているらしい。
そして交易担当の者が荷馬車を用いてルアール城村へと運び、金銭及び食料ほか生活に必要な様々なものと交換しているのだという。
「プレイアーヒルとルアールとの間で行われる交易は、一定の利益を産んでいます。しかし、今は戦費が嵩んでいるので、聖騎士団は今以上にどうにかもう一儲けできないかと考えているようなのです」
どこか虚無めいた瞳の少女騎士は淡々と説明する。
「そういう訳で、私は『ルアールから他の州都へ向かって物資を輸送販売し、さらなる利潤を産み出せ』というオーダーを上官からいただきました、神の名のもとに」
ただ、とレシアは言葉を繋げる。
「私は武僧であり、商人ではないのです。はっきり言って不向きです。しかし上官からの命令とあれば断わる事はできません」
彼女の部下達も皆、聖堂騎士団の団員であり、商売のしょの字も知らないらしい。
命令を発した上官自身も知らない。
昔からの慣例に従い、ルアール城村と取引を続けていた経験を持っているだけに過ぎない。
その一つ前の代の交易担当は聖騎士ながらに手広くやっていたらしいが、河川による輸送を試していた所に難所にて船が転覆して溺れ、帰らぬ人となったらしい。
突然の死に引き継ぎを行う事ができず、他に商売に明るい者もでず――そこまで逼迫した財政でもなかったから――現在の騎士団は商売においてド素人の集まりと化していた。
なんでお前らそんなんで商売拡大しようと思ったの? と思われるところだったが、騎士団はお金が欲しいらしい。
加えて以前の担当が築いた商路と連絡網は縮小されても各地で縁を結んだ信徒達から細々と続いていたので(まともに使われもしないのに)どうせなら有効活用しようと思い立ったのだそうな。
「そこで参考までに貴方にもお尋ねしたいのです」
護衛という名目の依頼で請け負った貴方に対しレシアは言った。
「ルアールで何を買って、どこの州都に運び売って、引き換えに何を買ってルアールへと持ち帰ってきて売れば、利益をあげられると思いますか?」
どうやら今回は護衛だけでなく交易商人の真似事も行う必要があるらしい。
「一応、私も読み書き計算の教育は受けていますから、相場の報告書は読むこと自体は出来ます」
その相場報告書というのは、前々任の交易担当が、各地の商会の信徒達と繋いだパイプからあがってきている情報群で、精度は確かなものらしい。
「ルアール城村で麦を荷馬車に積めるだけ積んで、北西のミーティア・スノウへと運び、情報をくれたリース派信徒の商会で麦を売り捌く。
そしてそこで鉄鉱石を荷馬車に積めるだけ積んで、またこのルーアル城村へと帰ってきて、鉄鉱石を売る」
そうすればまず失敗はないように思えます、とレシア。
「ですが、麦や鉄鉱石だけでなく他にも適切な商品を、適切な量で売買すれば、もっと利益だせるような気がするんですよね。
具体的にどの商品をどの程度の数買えば良いのかまでは私ではわからないのですが……
そもそもミーティア・スノウへ向かうので本当に良いのか……
あるいは、皇都ルアノール・ノヴァへと向かった方が良いのかもしれません」
灰瞳の少女聖騎士は、宿の個室の卓上に散乱している、数字と文字が羅列されたビブロス紙(比較的安価な紙)を眺めつつ「むぅ」と唸ったのだった。
■依頼目標
1.相場情報が書かれた報告書(詳しい内容は後ほど記述)から読み取った内容をもとに、レシアに交易品の売買をアドバイスしてより多くの利益を発生させよう!
(なお交易品の売買指定が面倒な場合は、レシアがOPで言っている通りにルアールで麦を買えるだけ買って、ミーティア・スノウで売って、買えるだけの鉄鉱石を買ってルーアルへと帰ってきて売ればそれなりの儲けは出す事ができます)
2.ルアール城村と交易しに向かう都市との往復の道中、荷馬車を護衛しよう!
(PL情報:ちなみに今回は「ガルシャは治安が良い」の風評通り戦闘は発生しません。街道をゆく荷馬車護衛中のPCの様子のロールを回す、情景を描写する、的なものになります)
片道はいずれも一週間程度の道程です(只人かつ地形が悪ければ一ヵ月ほどかかる距離だが、軍用の荷馬車かつガルシャ国内は街道が整備されているので早い)
街に到着したら休息&交易所での取引の為1~2日宿で滞在するので、プレイングで希望あれば街の観光や探索などもできます。
■ケルテス交易隊
五祈長のレシア・ケルテスに率いられた交易隊。
今回はお試しという事らしく規模はごく小さい。
大型の軍用荷馬車二台とそれを引く四頭の馬。
レシア及び四人の非祈士の一般兵、そして今回傭兵としてスポット参加中のPCの計六名で編成されている。
御者は一般兵が行える。
●運べる交易品の量
1000ファジル(ファジルは重量の単位、1ファジルは10キログラム。つまり1000ファジル=10トン)まで。
大型馬車の最大積載量は一台600ファジルだが、野営道具や兵達の食料、馬の食料なども積み込むので交易品の積載に割り当てられる重量は二台合計で1000ファジル(10トン)ほどとなっている。
なお交易品の購入は個数ではなく重量(ファジル)単位で行う。
●使用可能な資金
元手は5000000(500万)デナリオンほど。
道中、増えた分も交易に使って良い。
(例・ルアール城村から麦を満載して出発してミーティア・スノウで麦を売って儲かったら、その儲かった分も使ってミーティア・スノウで鉄鉱石を購入して良い)
■交易ルート
●出発地点
ルアール城村
●向かえる場所
北西の鉱山都市ミーティア・スノウ
or
南西の皇都ルアノール・ノヴァ
どちらか一つを選択。
■今回のシナリオの流れ
「ルアール」で交易品を購入
→
「ミーティア・スノウ」か「ルアノール・ノヴァ」のいずれかの街で交易品を売り、その街で新たな交易品を購入
→
交易品を積んで「ルアール」へと帰り、その交易品を売る
→
今回の依頼は終了
■売買可能な交易品
現在の聖堂騎士団が取り扱える交易品は、各街でそれぞれ以下の「グーグルスプレッドシート」に記述されている内容になります。
(ルアール、ルアノール・ノヴァ、ミーティア・スノウの3枚のシートがあります)
交易品は一種類だけでなく、複数の種類を同時に購入可能です。
ただし、その時の手持ちの資金を超える金額の購入はできません。(最初のルアール城村の時点では500万デナリオン)
また、限界積載量(1000ファジル)を超えて交易品を積む事はできません。
■グーグルスプレッドシートの使い方
●動画
実際にどう操作するのか、動画で見るのが解りやすいだろうと思い、動画を作ってみました。
↓クリックすると動画による交易シートの使用方法の解説を視聴できます。
●テキストによる説明(動画よりも文字が良いという場合はこちら)
「グーグルスプレッドシート」はカーソルを合わせると右上の端に灰色の四角のマークがでます。
その四角のマークを左クリックするとシートを開く事ができます。
各街での交易品の1ファジルあたりでの購入額や売却額が表示されています。
「販売価格」がPC達が交易所から交易品を購入する際に支払う金額(1ファジルあたりの価格)です。
「買取価格」はPC達が交易所へと交易品を売却する際に貰える金額(1ファジルあたりの価格)です。
シートの「購入予定重量」と「売却予定重量」の数字の部分には半角で数字を入力する事が可能です。
半角で数字を入力すると表示されている数字(交易品の購入価格や販売価格)が変動します。
スプレッドシートの各項目は一部分がそれぞれのシートと連動しています。
――――
例)
「ルアール」のスプレッドシートで「ルアール麦」の「購入予定重量」に「1000」と入力し
「ミーティア・スノウ」のスプレッドシートで「ルアール麦」の「売却予定量」に「1000」と入力すると
「商品別差引額合計」の行に「ミーティア・スノウで売った麦の代金」から「ルアールで買った麦の代金」を引いた金額(つまり儲けの額)が表示されます。
――――
交易品の価格は相場で変動します。
相場は「需要」と「供給」で変動します。
交易品を購入しようとする際は、購入予定の重量分だけ「需要」の数値が高くなります。
交易品を売却しようとする際は、売却予定の重量分だけ「供給」の数値が高くなります。
つまり、購入する場合は量に応じて1ファジルあたりの交易品の価格は高くなり、売却する場合は量に応じて交易品の価格は低下します。
「需要強度」と「供給強度」の数値が大きい商品は、多少の売買で相場が大きく変動する事はありません(全体の取引量が多い麦とかは1000ファジル程度の売買ではビクともしない)
ただし、需要と供給の数値が共に小さい商品、全体の取引量が少ない交易品は大きく変動します。
なので100ファジルの売買ではお買い得でも、大量に購入しようとすると相場が跳ね上がって大損になる商品もありますので、適切な量を売買するようにするのがお勧めです。
シートの使い方は以上です、これらのシートの数値を交易品取引の選択の目安にしていただけましたら幸いです。
●ロールプレイ的には
このスプレッドシートに記述されている数値は、各街のリース派信徒から送られて来た相場情報が書かれた紙と睨めっこしながらPCがレシアから紙とペンを借りるなどして計算して出したものとなります。
(計算の仕方はなんでもOKですが、しかし暗算でだすのは数学の達人のような設定のPCでもない限り不自然な難易度となっています。
また、うちのPC計算得意じゃないので的確に指示するとロール上不自然になってしまう、という場合は「勘などでPCが大まかな方針を指示し、細かい検証計算はレシアがやって、これでいけるかもと判断してGOサインがでた」という形でプレイング内容を反映させる、などという事も可です)
一般兵達は計算できないのでさっぱりわからず、レシアも相場変動による価格変動までは計算しきれないので、最大利益を出す為の売買の仕方がわからない、という形になっています。
なおルアールから他の街にいくまでは1週間ほどかかるので、この計算で出した相場と、到着したころのその街の実際の相場はさらに変動しているのが普通ですが、そこまでやるとゲーム的に複雑になり過ぎます。
なので今回は時間経過による相場変動は無し(他にも売買はあったがPC達が街で売買する頃にはちょうど出発前の予想通りの値に落ち着いた)という形で扱います。
●ゼフリール島簡易MAP
↓各交易拠点のグーグルスプレッドシート
●MAP上2番 古都ルアール城村
●MAP上1番 皇都ルアノール・ノヴァ
●MAP上4番 鉱山都市ミーティア・スノウ
最後までお読みくださり誠に有難うございます、望月誠司です。
こちらレシアが後方勤務を続けた場合の世界線でのシナリオとなります。
「フレーバーだけでなく、実際に数値で交易売買やってみたら面白いのでは?」
と思い、組んでみました。
交易品価格が固定ではなく
「売買予定量によって相場が変動し、変動の度合は商品の需要と供給量によって左右される」
という仕様の為、大変計算が面倒くさい事になっております。
(市場規模が小さい品を沢山買おうとすると買値が高くなって、沢山売ろうとすると売値が安くなる)
人力では計算による予想が無理とおぼしき領域になったのでグーグルスプレッドシートで自動計算組んでみました。
購入予定重量と売却予定重量の行の各商品の数値のセルに半角数字を入力してお使いくださいませ。
面倒過ぎる! という場合はとりあえず出発地点のルアール麦かってミーティア・スノウで売って、鉄鉱石買ってルアールに戻ってきて鉄鉱石売ればOKです。
(成功度が「大成功」にはそれだとなりませんが)
ご興味惹かれましたらご発注いただけましたら幸いです。