プレイヤーキャラクター(PC)に設定可能な種族は、
「アンスロポス」
「エルフ」
「ドワーフ」
「セリアンスロープ」
の四種族です。
この四種は総じて「人間」という分類で呼称されます。
トラシア文化圏の「人間」はもともと「ヒューマン」という一つの種族でしたが、およそ720年前『異貌の神々』が次元を割ってテルス・マーテルに大挙して侵入してきた時に、世界には『瘴気』というものが撒き散らされました。
『瘴気』に抵抗力を持たない「ヒューマン」は次々に肉体を壊死させて死んでゆきましたが(不思議な事に『瘴気』は「ヒューマン」以外のテルス・マーテルの生物にとって無毒でした)そのうちに古の大魔導を筆頭に「ヒューマン」達は自己の肉体を魔導改造して『瘴気』に対抗し始めます。
『抗瘴体』と呼ばれるものを自己に取り込み肉体を変質させて『瘴気』に対抗したのですが、この際用いられた『抗瘴体』の副作用として外見上にも大きな変化が出てしまう場合がありました。
用いられた『抗瘴体』の種類や本人の体質によって差異を発生させながら起こったその変化は主に四種類に大別されました。
そうして四パターンの肉体変化によって誕生した四種族が「アンスロポス」「エルフ」「ドワーフ」「セリアンスロープ」の四種です。
故にトラシア文化圏において「種族」というのは「肉体的特徴の分類」であり、それ以上のものではありません。
エルフ文化やドワーフ文化といった「種族独特の文化」というものは存在せず、文化は主に「民族」という区分で発生しています。
人々の意識としても「種族」の事にはあまり関心を払っておらず、もっぱら話す言語や風習などによって形成される「民族」の方に敏感です。
例・「我々はガルシャ人である!」という自負や「あいつガルシャ人だぜ!」という差別意識等はあっても「我々はエルフである!」という自負や「あいつエルフだぜ!」という差別意識等は形成されていない。
ただし「ハイエルフ」だけは別です。
彼等は「ヒューマン」から分化した種族ではなく「人間」ではありません。「亜人」となります。
彼等こそが元々は「エルフ」と呼ばれていて「人間」とは異なる(しかし近しい)種族でしたが、変化した「ヒューマン」の一種が姿が似た為にあやかって自らを「エルフ」と呼称するようになり、元々「エルフ」と呼ばれていた彼等は「ハイエルフ」と呼ばれるようになりました。
(要するに、レッサーパンダみたいなもの、レトロニウム現象です)
ハイエルフは種族独自の文化を持ちます。
ただし、トラシア文化圏に存在するその数はごく少数であり、またそのごく少数も人里離れた秘境等で生活している事が多く、多くの人間は基本的にはハイエルフに遭遇する事はありません。
(非常に稀有な例外的な性格のハイエルフが極めて少数、人間の国家組織に所属している例はあります)
またハイエルフは不老として有名ですが、トラシア文化圏の「人間」達もまた『抗瘴体』を取り込んで以降、共通の特徴として、
『老化が一定の段階で止まり、寿命近くになると一気に急激に老ける』
という体質を持っている者が多く生まれるようになりました。
中には肉体的にはまだ幼いままで成長が止まってしまう者も存在します(メティスなど)。
そうでない人間(通常通りに成長して普通に老ける)も多く存在していますが(イスクラやピュロス、ジシュカなど)、成長停止体質を得ていた人間が「急激に老化し始めたらその人間は寿命が近い」と言われています。
古の「ヒューマン」ともっとも外見上の身体的差異が見られない種族です。
『地球』に住んでいる「人間」にとてもよく似ています。
トラシア文化圏に存在する「人間」では最も多くの比率を占めており、およそ40%は「アンスロポス」であると言われています。
ハイエルフと同様に耳が長く身体の線が細く美形が多い、などの特徴を持つ種族です。
ただハイエルフのように暗視能力などは持っておらず、身体能力的には「アンスロポス」と差異がないか、あるいは華奢な為、筋力で劣る事が多いです。
トラシア文化圏に存在する「人間」では「アンスロポス」に次いで多くおよそ25%は「エルフ」であると言われています。
男性は「酒樽のような」と形容される、短躯で筋肉質なずんぐりむっくりとした体型と豊かな髭が特徴です。
女性には髭は無く、背が低いのは共通ですが、ずんぐりむっくりというよりは肉感的な体型をしている事が多いようです。
ただ、中には男のように髭もじゃで筋肉質でずんぐりむっくりな女ドワーフも存在するようです。そういう女性は他種族には人気がありませんが、一般的な男ドワーフからは魅力的に映るようです。
ドワーフにも暗視能力などの特殊能力は存在しません。
トラシア文化圏に存在する「人間」では最も比率の少ない種族であり「ドワーフ」はおよそ15%程度しか存在していないと言われています。
人型であり二本の腕と二本の足を持ちますが、獣の耳や尾を備えているのが特徴です。
顔が完全に獣であり、体毛も生えていて「二足歩行している犬そのもの」といった外見になっているセリアンスロープも存在しています。
獣の種類は多様であり、犬、猫、鳥、様々です。
翼がある場合、背中から生えますが、例外無く飛ぶことはできないようです。
物理法則的にどうあがいても無理なようで、完全に無用の長物と化しており、戦闘などでは不利に働く事が多いので、自ら翼を切除してしまう者も多いそうです。
尾も力が弱く、動かす程度ならできますが、例外無く何かを握ったり絡め取ったりする事は出来ません。
嗅覚や聴覚も他種族と同レベルです。
セリアンスロープだけに使える獣じみた有利な特殊能力や優れた身体能力、というのは存在しません。
「犬型セリアンスロープ」「猫型セリアンスロープ」と細分化するとごく少数になるのですが「セリアンスロープ」はまとめて分類されている為、トラシア文化圏に存在する「人間」では「エルフ」に次いで多く、全人類のおよそ20%程が「セリアンスロープ」であると言われています。
プレイヤーキャラクターはゲームスタート時、
1.「『祈刃(オラシオン)』を所持しており、それを使用可能な『祈士(カサドール)』である」
2.「一般のカサドールよりも既にかなり強い」
3.「ゼフリール島のアヴリオン共和国に滞在している(宿暮らしでもアヴリオンに自宅があっても良い)」
4.「アヴリオンの祈装傭兵組織アドホックに所属している傭兵であり、現在は他の職業には就いていない(過去に違う職業だった、はOK)」
5.「共通語を話せる、またその文字の読み書きが出来る」
6.「戦闘や冒険が十分に可能な肉体の持ち主である(両目が見えなかったり、四肢が欠損していて両手で物を持てなかったり素早く走れなかったりするのはNG。隻眼で片目はしっかり見えていたり、義手や義足などで遜色ないように補えている場合もOK)」
この六つを満たしていれば生い立ちや経歴などは「自由設定」として設定可能です。
ただし、禁止事項が幾つかあり、NGとして代表的なものは以下があります。
「伯爵以上の高位者と血族である、あるいはコネがある」
「過去に伯爵以上の高位にある諸侯、あるいは王族等に仕えており、要職についていた(面識も無い下っ端一兵卒などなら問題ありません)」
「世界のパワーバランスを崩すような影響力の強いオリジナル組織を設定する」
「常識外れた大量の金銭を自由に使える身であるとする事」
「従者や家来など自由に使役出来るNPC、あるいは常に共に行動している仲間NPCなどを設定する事(共に行動しておらず、その行動をPCがコントロールできない状態にある存在であるなら元仲間などのNPCを設定していても問題ありません。要するに自由設定によって作ったNPCを依頼に連れて来て戦力増やすのとかが駄目な行為になります)」
「自身、あるいは家族が子爵以上の貴族であり領地を所有している事」
「実は異世界の出身」
「転生者である」
「前世の記憶がある」
「体重がその身長に対して異様に重い、もしくは軽い」
「シナリオで邂逅する前から公式のネームドNPC達と知り合いであったり親しい関係であるとする事(ただし、アドホック傭兵として既に活動している、という経歴のキャラクターの場合は、傭兵ギルド長のアルスランや受付員のルルノリアやドナテロなどアドホックギルド関係の公式NPCに限り、既に面識があったりそれなりに気安い関係であると設定する事は可能です)」
等々です。
基本的に「自由設定によって最初からあまりにも特別に有利になる」ものや「あきらかに異常」「世界観から反する」ものはNGとなります。
NGの設定はリプレイには反映されません。
あるいは余裕があれば直接「それはNGです」と直接コメントがなされ修正が求められる場合もあります。
ゼフリールはパラレルワールド方式で進みますが、原則、そこに住む人々の記憶は世界線ごとに独立しており、別の世界線での出来事をキャラクター達は記憶していません。
ただし、プレイヤーキャラクターは自らが別の世界線で体験した事を、別の世界線でも記憶しておく事が可能です。
別の世界線の記憶のうち覚えておける事は自分自身が参加したシナリオ中で知りえた情報に限ります(自由設定に設定した内容によってあれも別の世界線で体験していたこれも体験していたとする事は出来ません。持ち越せる記憶はシナリオに参加して得た記憶に限ります)
これによって可能な事は例えば、一度シナリオに参加してそこで戦った敵味方の戦闘方法などを記憶しておき、一度目は敗北したが二度目は前回の記憶を元に動いて打ち破ったり、事件シナリオで真犯人をつきとめたものの捕縛する前に惜しくも毒殺されてしまった時などに二回目はいきなり真犯人が誰かを把握した上で立ち回ったりする事が可能です。
また他のゼフリールの多くの人々のように別の世界線の記憶を覚えていないタイプのPCであると設定する事も可能です。
なおプレイングに以前の事を覚えているという事の明記(仔細に書きだす必要はありません「〇〇(シナリオ名)での出来事は覚えている」程度のざっくりした記述でOK)が無い限りは別の世界線での記憶は覚えていないものとして扱われます。
これは別の世界線の記憶というのは、それを覚えておけるPCといえども忘れやすい移ろいやすい儚いものであり、すべてを記憶し続ける事は非常に困難な為です。
ただ、一時は忘れていても、ふっと何かの際に思い出す事も(プレイングで指定すれば)可能です。
なお極めて例外的な事象ですが、同一PC間の世界線は距離が近い為、PCと関りが深かったNPC及び一部の特殊なNPCに限り、AというPCの世界線での出来事を、AというPCの別の世界線でおぼろげに、微かに覚えている時もあります。(基本的には忘れています)