ゼフリールの覇王ピュロス「島と世界の平和秩序を取り戻さねばならん」
トラシア大陸からの移民達が六百年以上前に建てた都市国家連合王国。
世界帝国ヴェルギナの権威と力を後ろ盾に、長らくゼフリール島の覇国として君臨、諸国の利害・足並みを調整し、島内の平和秩序を概ね保ってきた。
抑えつけていたとも言う。
トラペゾイドは都市国家の連合体であり、現在では七人の王がいる。
連合内の王達をまとめる立場にある王の事を『上王』という。
このトラペゾイド上王に対しヴェルギナ帝国の皇帝は『ゼフリールのハイロード』の称号を贈り、皇帝の代理として、ゼフリール島全体を統率する許可と権威を与えた。
諸王を従える王故に『覇王』とも呼ばれる。
トラペゾイドの歴代のハイロード達の統治はゼフリール島の土着国家に対して概ね寛容であり、融和的であった(中には苛烈なハイロードもいたが)。
しかし、上層部はそのように務めていたが、トラペゾイドの一般民衆には「自分達の方が上等だ」という特権階級の意識があり、ゼフリール土着の民族を見下していて、差別的意識を持っている。
その為、直接国境を接さず一般市民達と触れる事が少なかったガルシャ王国の人間は、歴代ハイロードの寛容な統治政策から、トラペゾイドに対して悪感情が少なく比較的好意的であるが、直接国境を接し見下され続けて来たユグドヴァリア大公国の人間達からは伝統的に悪感情を抱かれている。
フェニキシアはゼフリール島民族の中でも我等こそが歴史深い伝統ある最古の国家という自負がある為、ガルシャともユグドヴァリアとも違う軸に存在している。
フェニキシア人はトラペゾイドから蛮人だと見下されているのは知っているが、フェニキシア人の方でも『海外からやってきた蛮人達の末裔』とトラペゾイド人を見下しているので「だからどうした」とあんまり気にしてない。
なお典型的なフェニキシア人はガルシャ人やユグドヴァリア人に対しても『そう』である為、典型的なフェニキシア人は典型的なガルシャ人とは伝統的に仲が悪い。
典型的なユグドヴァリア人からは、性質が違い過ぎて(ユグドは武闘派、フェニキシアは文治派)
「あいつらはああいうものだから」
「それに実際、自分達の文化の起源だし」
と一定の諦念と共に一定の敬意を受けている。
トラペゾイド連合王国はゲームスタート時点では、島内統一戦争に対しては中立を宣言している。
専らエスペランザ島に出現した世界の脅威たる異界勢力をなんとかするべく、そちらへと注力している。
(ゲームスタート時点では)総合力・軍事力共に島内最強国家。
●トラペゾイド連合王国を構成する都市国家群
ケンヌリオス・ヘリオン
デルタポリス
デュシスペディオン
スィデロヴノ
アネモニカ・ヒュリオン
タラサリカ
リムニ・リマニィ
の七つの都市国家から成る。
以下にその詳細を記す。
(なお都市国家の周辺には記述はされないが都市と経済・政治的に密接に結びついた大小の村や町が存在している)
○6 光の都ケンヌリオス・ヘリオン
トラシア大陸との交易によりゼフリール島内において最も栄えていた超巨大都市国家。
トラペゾイド連合王国の上王(ハイロード)ピュロスが領有する。
市民登録されている人間の数はゼフリール島第一位。
古の時代にトラシア大陸人が海を渡って入植し築いた港湾都市。
エスペランザ諸島が異界勢力に制圧されるまでは、エスペランザを中継として大陸との交易を盛んに行い莫大な富を産み出していた。
その富によって強大な軍事力を整備出来ていた事が、トラペゾイドが覇国としての地位を長らく保てていた理由の一つである。
ゼフリール島の島外窓口である為、島各地の特産品はこの都市に集積され、島外へと輸出されていた。
逆に、島外からの輸入品はこのケンヌリオス・ヘリオンから島に入って来て、各地へと運ばれる形である。
島内の物流としては、
ケンヌリオス・ヘリオン←→アヴリオン←→島の各地へ
というラインが太い。
その為、ケンヌリオス・ヘリオンの特産品としては都市独自の生産品というよりも島内外の交易品が占めていた割合が大きかった。
つまり、大陸との交易があってこそ栄えていた巨大都市である。
その為、大陸との交易が滞る事はケンヌリオス・ヘリオンにとって極めて致命的な問題となる。
独自の特産品としては水産業が多少あるくらいなので、ゲームスタート地点ではこれまでの蓄えがあるとはいえ、未来に翳りが差している状況にある。
領主 覇王ピュロス(主君 ヴェルギナ皇帝(しかし今は空位――とうか大陸も含めると自称皇帝が乱立している))
統治者 ヘリオタイの鉄槌・パルメニオン(主君 覇王ピュロス)
○7 大河の交差点大都デルタポリス
ゼフリール島の東部を流れる二本の大河の交わる所に立つ巨大都市国家。
二本の大河が運ぶ土により土壌が非常に肥沃で農業が盛ん。
トラペゾイド連合王国の食糧庫的な存在。
光の都ケンヌリオス・ヘリオンに住む人々が食す食料の大半はこのデルタポリスで生産されていて、大河を利用してケンヌリオス・ヘリオンへと運び込まれている。
人口はケンヌリオス・ヘリオンに次ぐ、アヴリオンと同等である。
また北のユグドヴァリアへ睨みを効かせる前線の軍事都市国家でもある。
領主・統治者 黄金の戦秤王アガメムノオン(主君 覇王ピュロス)
○8 平原城都デュシスペディオン
トラペゾイド連合王国内では辺境にあたる。
ここもデルタポリス程ではないが土壌が豊かで農業が盛ん。
特に茶が風味高く生産量も多い為、デュシス茶として島内のあちこちで好まれ高値で取引されている。
辺境の田舎だが北のユウグドヴァリアに睨みを効かせ、西南のアヴリオンにも睨みを効かせる軍事的には要衝にあたる都市。
王は先の異貌の神々との大戦で『千神殺し』として剛勇を轟かせたヴァイデント。
朴訥ながら質実剛健な人間が多い。
反面、頑固でプライドが高い人間も多い。
領主・統治者 冥神の戦槍王ヴァイデント(主君 覇王ピュロス)
○9 銀鉱都市スィデロヴノ
ゼフリール島内で最大の生産量を誇る銀山を保有する鉱山系都市国家。
付近の山岳から豊富に採掘されている銀鉱石や霊鉄鉱石、石材等が特産品。
河を利用して下流にあるアネモニカへと運ばれ銀細工品や霊鋼、建材等に加工されている。
強国トラペゾイドの経済力・軍事力を支える要の一つ。
食料の自給率は極めて低く、もっぱらデルタポリスやアネモニカ・ヒュリオンからの輸入に頼っている。
また、酒が高値で売れる地域としても有名。
沢山輸入されているが、消費量も半端ない。
トラペゾイド一の酒飲み達が集まる地域である。
鍛冶もそれなりに盛んだが、量産というよりは品質の高い品物を少数生産する形である。
領主・統治者 黒鉄王ヘパイストス(主君 覇王ピュロス)
○10 湖畔の霧都アネモニカ・ヒュリオン
年中霧に包まれている湖畔の森林都市。
豊富な森林資源とスィデロヴノから運ばれてくる鉱石を元にして鍛冶が盛ん。
日夜大量の霊鉄製品が生産されている。
また製鉄以上に銀細工でこそ有名。
アネモニカの銀細工品はデザインが優れていると評判で上流階級で人気があり、島の内外で高値で取引されている。
アネモニカは優れた芸術家を多く輩出していて、スィデロヴノから運ばれてきた豊富な石材を用いて作られた街並みは、洒落ている事でも有名。
なお森林資源が豊富なので木材の家々も多い。
分類としては、街の中心など富裕な地区は石造りで、貧乏な地区は地元で豊富に取れる木造の傾向がある。
そんなアネモニカ市民の気質は「洗練されている」とも「気取ってる」とも他都市の人間達からは評されている。
領主・統治者 霧の女王ナーイアス(主君 覇王ピュロス)
○11 山海都市タラサリカ
木材や燃料を北のケンヌリオス・ヘリオンへ、食料品を西のアネモニカ・ヒュリオンへと供給している。
一応、エスペランザ島を中継とした大陸との交易も行っていたが、ケンヌリオス・ヘリオンに比べると交易量はかなり劣る。
交易以外の事業も尖ったものは無く、都市自体も田舎でもなく大都会でもなく地味。
山も海も平地も森も全部あるのだが、いずれも突出したものがなく、パッとしないのが特徴。
そういう都市はゼフリール島内においてかなり珍しいのだが、人々からの印象としては「フツーなところ」となっている。
王スタテロスもコレといって突出したものは持たないが、文武をそこそこにこなせる万能的人物。
陸海文武内政外交軍事どの分野でもとりあえず困ったら彼に任せとけばベターである、とピュロスら諸王からの評価と信頼はすこぶる篤いが、トラペゾイド全体の大衆からの知名度は低い。
「あぁいたね、七人の中にはそんな王も」
という具合である。
領主・統治者 タラサリカ王スタテロス(主君 覇王ピュロス)
○12 水軍港都リムニ・リマニィ
西のアヴリオン共和国やフェニキシア王国の海軍を牽制する為に強大な海軍を有する軍事都市。
リムニ・リマニィの艦隊はゼフリール最強と名高い。
湖を通じてアネモニカ・ヒュリオンから霊鋼を多く運送・供給されている為、祈士や兵の装備の質が良い。
リムニからアネモニカへは主に海産物や中継した交易品を輸出している。
アヴリオン共和国との交易の最前線でもある。
アネモニカ銀細工は湖を通じてリムニ・リマニィに集積され、船に積まれてアヴリオンやフェニキシア、ケンヌリスオス・ヘリオン等の各地へ出荷されてゆくのが大きな流れとなっている。
ガルシャ王国のルアノール・ノヴァからの海運での取引が盛んな都市の一つでもあった。
領主・統治者 双翼船の白銀王クレステミスト(主君 覇王ピュロス)