創業者たる企業家は、「何をしたいか」から考える。あるいは「自らは何に向いているか」を考えるのがせいぜいである。
しかし問うべき正しい問いは、「客観的に見て、今後事業にとって重要なことは何か」である。創業者たる企業家は、事業が大きく伸びたとき、さらには製品、サービス、市場、あるいは必要とする人材が大きく変わったとき、必ず自問しなければならない。
次に問うべき問いが、「自らの強みは何か」「事業にとって必要なことのうち自らが貢献できるもの、他に抜きん出て貢献できるものは何か」である。
ベンチャーが必要とすること、創業者たる企業家が強みとすること、その企業家がしたいと考えることは、まさに千差万別である。(p239)
このセクションでは、たくさんの事例を挙げて実際に千差万別であることを示しています。
ポラロイドカメラの発明者が、会社が急成長を始めるや会社のマネジメントを他に任せ、自らは基礎研究担当の相談役となった
マクドナルドの創業者は、日常業務はトップマネジメントチームに任せ、自らには「マーケティングの良心」を任じた
事業をスタートすることを得意とするある企業家は、事業が軌道に乗ると自らの貢献できることがないとして、1年半をかけて後継者を育て、事業を引き継ぎ辞任した
自らは研究者や臨床医であることを望んでいたある医療機関の創業者は、自分自身の強みが資金調達やマネジメントであることを知り、自らの希望を抑え、CEOに徹した
最初は「自分のしたいことはこれだ」からはじめたとしても、事業が伸びてきたら「事業が必要とすることはなにか」を最上位の問いに据え代える必要があるということなのです。
考えるべきことの優先順を改めて整理すると、第一に事業が必要とすること、第二に創業者自身の強みを生かした事業への役割、第三に創業者がやりたいこと、の順です。
相当ストイックであることが求められています。
Every founder-entrepreneur tend to begin by asking: “What do I like to do?” Or at best, “Where do I fit in?”
The right question to start with is: “What will the venture need objectively by way of management from here on out?” And in a growing new venture, the founder has to ask this question whenever the business (or the public-service institution) grows significantly or changes direction or character, that is, changes its products, services, markets, or the kind of people it needs.
The next question the founder must ask is: “What am I good at? What, of all these needs of the venture, could I supply, and supply with distinction?”
The questions of what a venture needs, what the strengths of the founder-entrepreneur are, and what he or she wants to do, might be answered quite differently.
2014/5/5