ここで最も重要かつ興味があるのは、これらの企業よりもはるかに小さな企業の例である。ボルボ、BMW、ポルシェという三つの小さな企業がこの自動車市場の変化をイノベーションの機会としてとらえた。
世界の自動車市場が急激に変化しつつあった1960年頃、これら3社は来るべき生存競争の中で完全に姿を消すものと見られていた。
ところが3社はいずれも危機をしのぎ、今日では自ら創造したニッチ市場においてトップの地位を占めている。これが可能だったのは自らの事業そのものを大きく変えたイノベーションのおかげだった。(p78)
本書に記載されている上記3社の戦略を簡単に要約します。
ボルボは「流行を追わない代わりにしっかりしたつくりの車」として攻撃的なマーケティングを行い、自由業の人たちをターゲットにしました。
BMWは「仕事ではかなりの成功を収めているものの、まだ若いと思われたい「これからの」人たち」をターゲットとしてイタリアやフランスで成功しました。
ポルシェは「唯一のスポーツカーのメーカー」として自らを位置づけ、自動車を輸送手段ではなく、心躍るものとする人たちをターゲットとして成功したということです。
いずれも、今では「ブランド戦略」と呼ばれるものだと思います。
MBA用語集では、ブランドについて次のような解説がありました。
「強いブランドとは、個々の顧客の関心領域において圧倒的な価値的優位を確立しているものであり、またその顧客の期待を常に裏切らないことを約束する製品や企業の象徴のことを指す。」
The most interesting and important examples are those of much smaller companies. Three small and quite marginal companies saw in this a major opportunity to innovate: Volvo, BMW, and Porsche.
Around 1960, when the automobile industry market suddenly changed, the informed betting was heavily on the disappearance of these three companies during the coming “shakeout.”
Instead, all three have done well and have created for themselves market niches in which they are the leaders. They have done so through an innovative strategy which, in effect, has reshaped them into different businesses.
2014/3/19