そしていよいよ、いくつかの「べからず」がある。
第一に、凝りすぎてはならない。イノベーションの成果は普通の人間が利用できるものでなければならない。組み立て方や使い方のいずれについても、凝りすぎたイノベーションはほとんど確実に失敗する。
第二に、多角化してはならない。散漫になってはならない。一度に多くのことを行おうとしてはならない。
第三に、イノベーションを未来のために行ってはならない。現在のために行わなければならない。「25年後には大勢の高齢者がこれを必要とするようになる」と言うのでは十分ではない。「これを必要とする高齢者は既に大勢いる。25年後にはもっと大勢いる」と言えなければならない。(p160)
五つの「行うべきこと(THE DO’S)」に続いては、三つの「行うべきでないこと(THE DONT’S)」です。
二つ目に上げられている「多角化するべからず」というのは、言い換えると「集中せよ」ということです。関係する人たち皆がイノベーションの核となるものに集中して互いに理解し合っていないと、それぞれ違う方向を向いているのに気づかず、力が分散してイノベーションは雲散してしまうと警告しているのです。
リスクへの対応は考えておかねばなりませんが、行動は集中する、よそ見をしないということが大事だということです。
And now the few important “dont’s.”
The first is simply not to try to be clever. Innovations have to be handled by ordinary human beings. Anything too clever, whether in design or execution, is almost bound to fail.
Don’t diversify, don’t splinter, don’t try to do too many things at once.
Finally, don’t try to innovate for the future. Innovate for the present! It is not good enough to be able to say, “In twenty-five years there will be so many very old people that they will need this.” One has to be able to say, “There are enough old people around today for this to make a difference to them. Of course, time is with us—in twenty-five years there will be many more.”
2014/4/9