読者の多くは「それはマーケティングの初歩にすぎない」というかもしれない。そのとおりである。マーケティングの初歩以外の何ものでもない。顧客にとっての効用、顧客にとっての価格、顧客にとっての事情、顧客にとっての価値からスタートすることは、マーケティングのすべてである。
40年もマーケティングが説かれ、教えられ、信奉されながら、それを実行する者があまりに少ない理由は私にも説明ができない。
しかし、企業家戦略の基礎としてマーケティングを行う者だけが、市場におけるリーダーシップを、直ちにしかもほとんどリスクなしに手に入れているという事実は残る。(p307)
19章では「顧客創造戦略」と題して、効用戦略、価格戦略、事情戦略、価値戦略と4つの戦略が紹介されてきましたが、いずれも顧客が何を買っているのかというところからスタートしていました。
「企業の機能はマーケティングとイノベーションである」というドラッカーの有名な言葉があります。上記の文章と合わせて読むと、「マーケティングからスタートすることによって、イノベーションも達成できるのだ」ということも含まれているのだと思います。
さて、本章の最後にはイノベーションのまとめとして次のように記述されています。
「イノベーションとは市場や社会における変化である。それは顧客に対しより大きな利益をもたらし、社会に対しより大きな富の増殖能力、より大きな価値、より大きな満足を生み出す。イノベーションの値打ちは、顧客のために何を行うかによって決まる。」
“But this is nothing but elementary marketing,” most readers will protest, and they are right. It is nothing but elementary marketing. To start out with the customer’s utility, with what the customer buys, with what the realities of the customer are and what the customer’s values are—this is what marketing is all about.
But why, after forty years of preaching Marketing, teaching Marketing, professing Marketing, so few suppliers are willing to follow, I cannot explain.
The fact remains that so far, anyone who is willing to use marketing as the basis for strategy is likely to acquire leadership in an industry or a market fast and almost without risk.
2014/5/24