1961年、進歩のための同盟について助言を求めるべくケネディ大統領が招集した学者たちは、ラテンアメリカにおける都市化の波を予測できなかった。
しかし大店舗小売業のシアーズ・ローバックは、既にその数年前に、統計によってではなく、現地へ赴き、メキシコシティ、リマ、サンパウロ、ボゴダなどの街を観察することによってこの変化に気づいた。その結果、同社は1950年代の半ば、決して金持ちではないが立派な中流階級になっていた新しい都市住民のためのアメリカ流百貨店を、ラテンアメリカの主要都市に建設していった。数年後にはラテンアメリカの小売業界において主導的な地位を占めるにいたった。(p97)
本書には、メルビルという別の小売りチェーンの事例も掲載されています。
メルビルは1960年代の始めに、ベビーブーマーの第一陣がティーンエイジャーになるときにこの新しい市場に力を入れ10代をターゲットとする新しい店を作り、最も利益を上げる小売りチェーンになりました。さらにその10年後にはターゲットの成長に合わせて、いち早く若い大人に的を移していき、成長を持続させました。しかし、ほかの小売店はメルビルの成功をみて10代をターゲットとする商売を始めたが、既に人口の重心は20代に移っていたという内容です。
一方は統計によらず、一方は統計を分析して、と手法は違いますが、いずれも人口構造の変化を機会としてとらえて、それに合わせることで成功したとして紹介されています。
The scholars on Latin America whom President Kennedy brought together to advise him on the Alliance for Progress in 1961 did not see Latin America’s urbanization.
But one business, the American retail chain Sears, Roebuck, had seen it several years earlier—not by poring over statistics but by going out and looking at customers in Mexico City and Lima, São Paulo and Bogotá. As a result, Sears in the mid-fifties began to build American-type department stores in major Latin-American cities, designed for a new urban middle class which, while not “rich,” was part of the money economy and had middle-class aspirations. Sears became the leading retailer in Latin America within a few years.
2014/3/24