焔陽星系概要
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焔陽星系とは
レーゲン語が話されている惑星、太球が存在する恒星系のこと。焔陽(えんよう)という1つの恒星を主星とし、9つの惑星が焔陽を回っている。
場所は太球宇宙(地球の存在する宇宙の兄弟宇宙)、エミスペンジェ銀河系の端の方である。
ゼ=エミスペンジェ(太球銀河系)
前述の通り、焔陽星系が存在する銀河。直径11-14万光年の巨大な渦巻き銀河と推測されている。中央付近には老いた恒星の集まりであるバルジがあり、銀河の中心には極めて強大なブラックホールが存在する。玄歴1541年、ウケーアゼルヴァのネーケにより初めて存在が提唱され、1552年にバレデーのミスーマンにより発見された。
エミスペンジェ(銀河)の名はヴァークェイム教神話に登場する、天を司る神であるエミスペンジュ(Emispenjy)に由来している。
焔陽星系の天体
焔陽星系のすべての天体には日本語の漢字名称とレーゲン語による本名称が与えられている。ここでは解説をわかりやすくするため、単位は全て地球のものを用いる。
注意:焔陽と太球以外の公転周期は精密な計算を行っていないので、信用しないこと。
・焔陽(えんよう)
・概要
麗名Sont。
焔陽星系主星。焔陽星系全質量のうちの99パーセント以上を占める主系列星で、年齢は42億歳程度と推測される。
直径約152万km、表面温度約7000度。平均密度は1.45g/cm^3で太陽より少しだけ大きい。質量は地球の約45万倍。太球からの目視で-27.01等級である。
・内部構造
中心から中心核、放射層、対流層、輝層、彩層、大気である。焔陽の光はほとんどが輝層から出ている。中心核は1500万度以上、2600億気圧で、焔陽の重量の2割以上を占めているとみられる。
これらの内部構造は全て「焔陽推測型」という推測に基づいている。
・文化的関わり
焔陽は太球に大きな恵みをもたらしている。古来から宗教では至る所で敬意をもって太陽神が神話に登場する。レイトガイジェンなど、ルザーユ教を信仰している地域では男性である。いっぽうで、紋令などでは女性である。
・熱星(ねっせい)
麗名Vaslum。
焔陽星系第一惑星。主成分が岩石の地球型惑星。見た目は水星と思ってもらえればよい。
半径は3480kmで、月とほぼ同じである。平均密度は5.91g/cm^3とやや重い。これは核の構成成分が鉛などの重金属を含んでいるためである。
自転周期は10.1日。公転周期は72日。
焔陽からの距離はわずか2490kmであり、これはわずか、太陽ー水星間の約半分の距離である。それにより焔陽からの放射線で大気がほとんど吹き飛ばされてしまっている。
大気がない上に焔陽に近いため、焔陽側の平均気温は600度を超え、夜側は-145度となる。きわめて過酷な環境を持つ星である。
内惑星でありかつ太球からの距離が大きいので、太球からは視認できない。昼間は空にあるのだが、焔陽の方がもっと明るいので見えない。
そのため発見は1611年と、とても遅かった。
・彩星(さいせい)
麗名Xarge。
焔陽星系第二惑星。地球型惑星。衛星を2つもつ。
半径は6600kmで、地球より僅かに大きい。日本名が「いろどりの星」、麗名も華やかさの神シャルゲから来ていることからわかるように、太球からの目視で-4等級という、非常に明るい惑星である。
自転周期が非常に長く、82日もある。その割には公転周期が短く、192日。つまり、1年が2日強しかないというわけである。
焔陽星系の惑星で2番目に大きく楕円軌道を描いて公転しており、離心率は0.192である。そのうえ、公転軌道が黄道面から4度ずれている。
焔陽からの距離は約9100万km。かなり遠いように思えるが、焔陽が太陽よりも活発な恒星であるためと後述の理由により、とうてい人が住める環境ではない。
表面温度は710度で、地表の気圧は18気圧もある。なお、太陽系で灼熱の惑星として名高い金星の平均温度は約460度である。
彩星がこれほどまでに苛酷な環境になっている理由として大気の構成成分が挙げられる。彩星の大気の約四分の一はCO₂の25倍も温室効果が強いメタンで、焔陽との距離の近さも相まって極めて熱い地獄のような惑星となったということである。
地球と同じくらいの質量があるので、その分大気も濃厚になる。もし彩星に大気がなければ、もっと寒い惑星になっていたはずだ。
地球よりも遥かに火山活動が活発である。このおかげで、彩星にはとても豊かな地形を見ることができる。
太球の人間には昔からXarge(レーゲン語)、Bixutaana(セケシヤムス語)、宵明星(紋令語)などと呼ばれ、古代から親しまれてきた。
・宵星(しょうせい)
麗名Zend。
焔陽星系第三惑星。地球型惑星。衛星を1つもつ。
半径は6120km、平均密度4.2g/cm³、平均気温32度で、大気に酸素が含まれる。さらに、少量ながら液体の水が存在する……と、これらの性質のみを観ればかなり地球に似通った構造をしている。
しかし、磁気圏が地球より弱く、有害な放射線が地表に多く降り注ぐために人類は居住不可能である。なぜ磁気圏が弱いかについては、いくつかの説があるが、核が小さく、潮汐力による影響力が弱いから、という説が支持されている。
自転周期は2.1日、公転周期は415.1日。赤道傾斜角度は32度。
焔陽からの距離は1億3210万km。公転軌道の全域がハビタブルゾーン内に位置している。
前述の理由がありながらも、太球以外の惑星の中では最も生命が存在する可能性が高いため、何度も探査機が送られてきた。
生命の調査は幾度も失敗したが、玄暦1639年、遂に生命の存在が確認された。水中に住む微生物で、知的生命体ではないものの、これは世界中を歓喜の渦に巻き込んだ。
この生命体はZ-haitess 1(ザイル・ハイテス 1)と名付けられ、これらを滅さないように2113年に「太球外生命体保護条約」が発効された。今後は条約の下に少しずつ調査を行っていく予定である。
・太球(たいきゅう)
麗名Deewi。
焔陽星系第四惑星。地球型惑星。衛星を2つもつ。
半径は7111km。平均密度5.2g/cm³、平均気温20.9度。ハビタブルゾーン内に位置し、液体の水がふんだんに存在する。宵星と違って、磁気圏が強く広がっているため、宇宙線が地表に降り注がない。また、紫外線を遮断するオゾン層が上空100~130kmに存在している。
まさに生命が生まれるのに適切な環境を取りそろえた惑星と言っても過言ではない。
大気成分は窒素約77パーセント、酸素約21.4パーセントの2つが主であり、人類の生存が可能な大気構成である。
自転周期は23.6時間、公転周期は507.3日。公転半径は約1.7892×10⁸km。地球より少し一日が短い代わりに、一年はかなり長い。
赤道傾斜角度が24.36度であるため、地球と同様に中緯度地域では四季が存在する。2137年までの赤道傾斜角度は24.35度であったが、2137年にハシュビレ彗星の一部が紋令の水鐵市に衝突したことにより僅かに大きくなった。
内部構造は地球と大体同じだが、核の割合が少しだけ小さいと推測される。磁気圏が地球より強くないのはこのためであろう。
陸と海の比率は整数値で3:7である。地球よりも海の面積が大きい。大陸はロイムス大陸、レチャメン大陸、ナッセ大陸、紋令大陸、南極大陸の計5つある。レイトガイジェンはロイムス大陸にあり、地球に無理矢理あてはめるとドイツ~フランス間に位置している。
大洋はナカシュレン洋、穏広洋、大中洋の3つ。大中洋が最も広い。
・太球月(たいきゅうげつ/たいきゅうづき)
麗名Xrait。太球の二つの衛星のうちの一つである。
太球の衛星の中で最も大きい。もう一つの衛星ニームシュテウス(Nimuxteus)は直径が43kmと小さいため、現代まで発見されなかった。
半径は1831kmであり、衛星としては月と同じく、破格の大きさである。これ以上に惑星:衛星の質量比が小さい衛星は焔陽星系に存在しない。
公転周期は38.9日であり、公転半径は482000km。
・太球小月(たいきゅうしょうげつ)
麗名Nimuxteus。太球のもう一つの衛星。ニームシュテウスとも。
直径わずか43kmの極めて小さい衛星である。
・鈍星(どんせい)
麗名Haadners。
焔陽星系第五惑星。地球型惑星。衛星を2つもつ。
半径4712km、平均密度4.9g/cm³、平均気温-81度。大気圧0.001気圧。赤道傾斜角71.4度。
自転周期1.2日、公転周期6.2年。
火成岩が地表を覆いつくしているため、反射能が低く、あまり明るく見えない。Haadnersの名はルザーユ教の、面倒くさがりの神であるハードン(Haadn)から来ているが、これは鈍星があまり明るくない=鈍星は光るのを面倒くさがっている、という連想による。
プレートの活動が活発であったので、頂上13kmのロワ山脈などの大山脈が多数存在する。谷も同じくらい多い。浸食作用が少ないので、太球や宵星と比べて地形がはっきりと残っているのだ。
昔は液体の水も存在していたとみられるが、現在では極の部分に幾ばくかの氷があるに留まっている。そのため、今は生物は存在しないと考えられているが、鈍星人はSFでよく題材にされる。
・シュルケン小惑星帯
太球と金星の間に位置する小惑星帯。シュルケン=ロイリイェス=マルガット(Xulken=Roliyes=Margat)により小惑星が初めて命名されたことからこの名がある。
・金星(きんせい)
麗名Xain。太陽系第二惑星と訳語がかぶっているが、関係はない。
焔陽星系第六惑星。木星型惑星。衛星は見つかっている分で78個ある。最も大きいものは火星に匹敵するサイズである。
半径は10万2130kmで、焔陽星系最大である。ただしガス惑星であるので、質量は大きさの割に小さい。
非常に大きいため、焔陽の光を多く反射する。このため見かけの等級は-1.2等星ととても明るい。金星の名はここから来ている。
密度は低いが、気圧は極めて巨大で、表層のガス部分で12気圧程度であり、中心に近い部分では100気圧を超える。
公転周期は47.9年。自転周期は8時間50分と非常に短く、遠心力により金星を扁平にしている。赤道傾斜角は9.2度。
金星の表面は彩り豊かな雲で覆いつくされている。雲は水やアンモニアでできているとみられ、高速の自転により発生した強風で絶えず表面を流れ続けている。
雲には時折雷が起こることもあるが、この雷は太球のそれの数千倍の規模である。また、嵐が発生することもしばしばある。これも太球のものとは桁外れに強い。
北緯21度と南緯12度には同程度の巨大嵐が渦を巻いている。これは極褐嵐(きょっかつらん)や極褐斑(きょっかつはん)と呼ばれる。極褐嵐は太球が4~5個入るほど大きく、その中では風速2400km/hという、焔陽星系で最強の暴風が吹き荒れている。極褐嵐は今後も成長し続けると予測されている。
・環大星(かんだいせい)
麗名Beus。
焔陽星系第七惑星。木星型惑星。衛星は66個ある。
半径7万1000km、平均密度0.11g/cm³。密度が最も低い惑星。見かけの等級は0等星(いくらか変動する)。赤道傾斜角は163.4度。つまり、自転軸に倒立して公転している。
自転周期は1日半。公転周期は81年。自転が速いため、金星ほどではないがやや扁平である。
なんといってもこの惑星の最大の特徴は環である。環大星の環は地球ー火星間ほどの大きさで、土星の環よりも圧倒的に大きい。
主成分は氷と岩で、厚みは数km。分厚いように思えるかもしれないが、環の規模に比べれば紙ほどの薄さである。
太球から見るとこの環は20年に1度消失したように見える。消失した際には明るさはやや落ちる。一方で、最も環が大きく見える時期には、肉眼でもわずかに楕円形に見えることすらある。
焔陽星系の「土星」といえる存在であり、天文家からの人気も高い。
・邁動星(まいどうせい)
麗名Lonkeum。
焔陽星系第八惑星。天王星型惑星。衛星を21個持つ。
半径3万8110km。平均密度1.7g/cm³。自転周期0.891日。公転周期114年。赤道傾斜角2.6度。見た目の等級は7等級なので肉眼ではわからない。
公転周期の離心率は0.18であり、これは焔陽星系の惑星で最大である。
表層はプロパノールとメタンでできた猛毒の雲で覆われている。大気成分は主に水素、次にプロパノールが続く。
雲の中では嵐が発生することがあるが、これは焔陽星系の風の中で2番目に速く、時速約2000km/hという想像を絶する強風が吹き荒れる。
発見は玄歴1377年だが、それ以前にも複数の記録がある。
・青獄星(せいごくせい, しょうごくせい)
麗名Okegeum。
焔陽星系第九惑星。天王星型惑星。衛星を5つ持つ。
半径2万4190km。平均密度1.81g/cm³。自転周期3日、公転周期192年。赤道傾斜角15.6度。見かけの等級は10.2等級。当然肉眼では見えない。
表層は多量の水素と少量のメタンの雲である。「青獄星」という名前の通り、青系の色をしている。
・外縁天体、それよりも外側の部分
青獄星のさらに外には小惑星や準惑星の密集体である焔陽星系外縁天体が存在する。短周期彗星の多くはここが故郷であると推測される。
外縁天体の遥か外側、焔陽星系の果てにはホウィーの大雲(Howirer Dovikdig)と呼ばれる天体群が存在している。ホウィーの大雲は存在が確証されたわけではないが、特に反例といえる証拠もないため、現代天文学では存在するものとして扱われている。長周期彗星はここから来ると推定されている。