労働者保護法

概要

 ヴェクラムダー総統政権のもとで、1631年に制定された高等法規。それまで制定されていた労働基本法よりも遥かに強力な法律となった。内容は日本の労働基準法と大差ないが、違反時の罰則が世界屈指で厳しいことが特徴である。

 こちらから法律の全文を見ることができる。以下にも全文を記述しているので、すぐ読みたい方はこちらでどうぞ。

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労働者保護法

玄暦1639年5月32日施行版

訳者註:玄暦において、1年は16ヶ月、1ヶ月は4週間、1週間は8日で、1日は24時間(地球時間で23.6時間)であり、1年の日数は3年に一度の閏年を除き513日で、地球時間に直すと約506日である。また、1ヴィット≒93.9円(2021年8月時点)である。

 本文書は、レイトガイジェンの法律を訳したものであるから、日本の法律の書き方に従っているとは限らないことに留意していただきたい。視認性を優先するため、条項及び割合以外の数字は、原則として算用数字で記述した。


前文

 労働者は国家を支える重要な存在であり、守られるべき存在でもある。それにもかかわらず、現在、我が国には劣悪な労働環境が蔓延しており、それにより多くの労働災害・死者・病者が発生し、国民の幸福を押し下げている。この状況を国家は決して容認せず、よってこの法律を制定する。全ての国民は、この法律を原則のものとし、尊厳を害さないように実施し続けなければならない。


第一章 総則

第一条[本法の意義]

本法は、労働者の権利を護るために制定される高等法規である。

第二条[労働規約の向上の努力義務]

1. 本法で定める労働条件は、労働者が理性人間として生きるに足る最低限度のものであるから、使用者は本法を下回る労働条件を労働者に課してはならないことはもちろんのこと、むしろ常にこれの向上に努めなければならない。言うまでもなく、良好であった労働条件を、本法の基準を理由として悪化させてはならない。

2. 労働者は、労働条件を改善するための行動を適宜起こすべきである。

第三条[労働条件の決定]

労働条件は、労働者と使用者が対等の立場でこれを定めなければならない。労働者は本法によって、使用者と対等な立場に引き上げられる。

第四条[労働条件の履行]

使用者と労働者の両者は、定められた労働条件をそれぞれ誠実に履行しなければならない。

第五条[属性による差別の禁止]

使用者は、性別、人種、信条、国籍などの属性によって、賃金、休日、労働時間などの労働条件で差別してはならない。差別とは、労働者を不利に扱うことはもちろん、不当に有利に扱うことも含まれる。

第六条[強制労働の絶対的禁止]

使用者が、暴力、脅迫、恐喝、監禁、軟禁、示唆などの拘束行為を用いて、労働者を意思に反して強制的に労働させることは、絶対にこれを禁ずる。これの禁止には、理由を問わず、絶対に如何なる例外も許さない。

第七条[私的空間への干渉の禁止]

使用者は、労働者の私的な生活の部分を公開することを、労働条件に加えてはならない。

第八条[中間搾取の禁止]

何人も、法律により定められる例外の範囲外で、労働者と使用者を仲介して利益を得てはならない。

第九条[宗教の強要の禁止]

1. 使用者は、労働者に特定の宗教を信じるように、あるいは信条を棄てるように要求してはならない。

2. 前項の規定は、宗教団体に従事する労働者には適用されない。

第十条[公民権行使の自由]

使用者は、労働者が、労働時間中に、選挙権をはじめとする政治参加の権利、あるいは公の職務に従事するための時間を請求した場合は、これを拒んではならない。ただし、労働者に上記のための時間を与えることにより、業務に著しい支障が出る場合には、使用者は適宜時刻を変更することができる。

第十一条

削除

第十二条

削除

第二章 定義

第十三条[労働者の定義]

1. 本法および政令にて本法の子法律と定められる法律において、労働者とは、特定の事業か事業所に雇用され、使用される者をいう。従事する業務は問わない。

2. 名目上は独立していても、事業を行うのに、第十四条に定義する事業主又は使用者の命令、指示、許可、示唆等が必要であると認められる者は、これを労働者とする。

第十四条[使用者の定義]

本法および政令にて本法の子法律と定められる法律において、使用者とは、事業および事業所において、労働者を使用し、また、事業主に従事する者をいう。ただし、事業主は使用者である。

第十五条[賃金の定義]

本法および政令にて本法の子法律と定められる法律において、賃金とは、その名称にかかわらず、使用者が、労働の対価として労働者に支払うものをいう。

第十六条[平均賃金の定義]

1. 本法および政令にて本法の子法律と定められる法律において、平均賃金とは、これを算出するまでに労働者に支払われた直近3ヶ月の賃金を日数で割った金額をいう。

2. 時間給、日給、歩合制においては、平均賃金を算出するまでに労働者に支払われた直近3ヶ月の賃金を労働日数で割った金額の五割五分が、平均賃金を超える場合、この金額を平均賃金とする。

3. 下記の場合には、前項の規定を適用せず、労働省大臣令により定められる金額を平均賃金と定義する。

(1) 雇用期間が3日以下の労働者

(2) 雇用期間は3ヶ月を超えているが、未だ雇用を開始してから3ヶ月を経過していない労働者

4. 前項但し書きの1にあたる労働者が、3ヶ月以上雇用された場合には、第一項の定める通りに算出した金額を平均賃金としなければならない。

5. 以下に定める期間に支払われた賃金および日数は、平均賃金を算出するときの基準としない。

(1) 業務中および通勤中の事故による負傷ならびに疾病を治癒せしめるなどの、正当な理由によって休業している期間

(2) 使用者の責めに帰すべき事由によって休業している期間

(3) 妊産婦が休業している期間

(4) 育児休暇に関する法律、介護法にてそれぞれ定められる育児休暇および介護休暇を取得している期間

(5) 試用期間

6. 賃金の一部が通貨以外によって支払われる場合、これを平均賃金の算出に利用する方法は、政令にて定める。

7. 本条第一項から第六項に定めた方法を用いて平均賃金を算出できない場合には、労働省大臣令により定められる金額を平均賃金と定義する。

第十七条[労働契約の定義]

本法および政令にて本法の子法律と定められる法律において、労働契約とは、労働者と使用者の間で、労働条件を定める契約をいう。

第三章 労働契約

第十八条[違法な労働契約の破棄]

1. 労働契約の一部または全部が本法に反していた場合、その部分は無効となり、本法に定める最低基準が代わりに適用される。

2. 前項の規定は、労働者の合意の如何を問わずに適用する。

第十九条[契約期間]

1. 使用者は、労働契約に期間を定めるか否かを決定しなければならない。期間を定める場合、その年数は2年半を超えてはならない。ただし、満45歳以上の労働者と結ばれる労働契約や、政令にて定められる業種にて結ばれる労働契約においては、この限りではない。

2. 前項例外の業種であっても、契約期間が4年を超えることは、禁じられる。

3. 労働契約の締結に際して、労働者が特に必要と認める場合には、労働者は司法官庁に労働条件などの内容についての指示を仰ぐことができる。

第二十条[労働条件の明示]

1. 使用者は、労働者と労働契約を締結するにあたって、労働者に労働条件を書面にて明示しなければならない。必ず明示しなければならない労働条件は、以下に示す。

(1) 一日の労働時間および1週間あたりの労働時間

(2) 休日

(3) 賃金

2. 書面の形式は、労働省令にてこれを定める。

3. 口頭で締結された労働条件は、労働者がこれをいつでも任意で破棄又は自己に有利なように変更できる。

4. 労働契約を締結するにあたって提示された労働条件が事実と異なっていた場合には、労働者はこれを直ちに任意で破棄できる。

5. 前項の場合において、労働者が30ゼドクダム(訳註:約43km)以上遠方から労働のために移住しに来ており、労働者が帰郷を望む場合には、使用者は、労働者が帰郷するに足る金額あるいは鉄道券、飛行機券などを労働者に支給しなければならない。

第二十一条[技術養成を口実とする酷使の禁止]

1. 使用者は、労働者が、徒弟、見習い、技術養成者、その他名称の如何を問わず、何らかの技能を習得する者であることを理由として、これを酷使してはならない。

2. 使用者は、前項の規定に当てはまる労働者を、家事、買い出し、清掃、その他技術の習得に関係のない作業に従事させてはならない。

第二十二条[労働条件の不可抗力的な変更]

1. 労働契約を締結した後、不可抗力の事由によって、使用者が労働条件を不本意に変更せざるを得なくなった場合には、使用者は行政官庁に所定の書類を提出し、許可を得た上で、直ちに更新した労働条件を労働者に明示し、労働者の諒解を得なければならない。

2. 前項の場合、更新した労働条件が不適であれば、労働者はこれを直ちに任意で破棄できる。

3. 使用者は、先に良好な労働条件を提示して労働者を募集し、後に条件を変更し、これを酷使することを目的として、労働契約を締結後に変更してはならない。

第二十三条[借金相殺の禁止]

使用者は、労働者の借金を予め相殺することを労働条件の一部とする労働契約を締結してはならない。

第二十四条[賠償予定の禁止]

1. 使用者は、労働者が労働契約を履行しなかった場合の罰則を設けることを労働条件の一部とする労働契約を締結してはならない。

2. 前項の規定は、労働者が事故又は故意による破壊行為を行うなどして、使用者に損害を与えた場合の損害賠償や慰藉料等の請求を妨げるものではない。

第二十五条[強制貯金の禁止]

1. 使用者は、労働者の同意なくして労働者の貯金や貯蓄を使用者に管理させてはならない。

2. 労働者の同意を得て労働者の貯金や貯蓄を使用者が管理している場合、労働者から請求があれば、使用者は直ちにこれを労働者に返却しなければならない。

3. 使用者が労働者の貯金や貯蓄を管理する際には、使用者は管理の明細を労働者に書面で明示しなければならない。

4. 行政機関は、使用者が労働者の貯金や貯蓄を管理することが、労働者を著しく害すると認められる場合において、これらを労働者に返還するよう、使用者に強制できる。

第二十六条[解雇の条件の制限]

1. 解雇は、正当な理由なくして、これを行ってはならない。

2. 使用者は、労働者が業務中あるいは通勤中の事故による負傷、疾病の療養中および妊産婦の労働者が産前産後に休業する前後20日間の期間では、労働者を解雇してはならない。ただし、使用者が労働者に第六十九条、第七十条及び第七十三条の規定に従った補償を行う場合や、天獣災その他やむを得ない事由によって事業の継続が不可能となった場合には、この限りではない。

第二十七条[解雇の予告及び退職手当]

1. 使用者が労働者を解雇する際には、解雇の20日以上前にその旨を労働者に告げなければならない。

2. 何らかの事由によって、解雇の20日以上前にその旨を労働者に告げることができない場合には、使用者は、政令にて定める金額を労働者に支払わなければならない。

3. 前項ならびに前前項の規定は、天獣災その他やむを得ない事由によって事業の継続が不可能となった場合や、労働者の責めに帰すべき事由によって労働者を解雇する場合には、これらを適用しない。

4. 雇用期間が50日以下の労働者ならびに試用期間中の労働者、季節的業務に3ヶ月以下の期間で雇用される労働者に対しては、第一項から第三項の規定を適用しない。ただし、本項に定める労働者が50日を超えて雇用された場合には、この限りではない。

5. 使用者は、天獣災その他やむを得ない事由によって事業の継続が不可能となった場合や、労働者の責めに帰すべき事由によって労働者を解雇する場合以外に労働者を解雇する場合、労働者が自らの意思で退職する場合については、退職時に、平均賃金の300日以上の退職手当を支払わなければならない。

第二十八条[退職証明]

1. 労働者が、退職する際に、雇用期間、業務上の地位、賃金、退職の事由、その他の事項についての証明を請求した場合には、使用者は、労働者が請求した事柄を証明する証明書、すなわち退職証明書を作成しなければならない。

2. 使用者は、退職証明書に、労働者が請求しなかった事柄を記入してはならない。

第四章 賃金

第二十九条[賃金の支払い方法]

1. 賃金は、通貨で、1ヶ月に一回以上の一定の期日を定め、現金で、労働者に直接、これを支払わなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との合意を得た場合には、銀行振込等の別の方法で支払うことができる。

2. 前項の規定は、労働省の指定があって、通貨以外の方法で賃金を支払う場合には適用しない。

第三十条[非常時]

労働者が、災害、出産、疾病等の事由により、非常の賃金を請求する場合には、使用者は、支払期日前であったとしても、直ちに請求時までの労働に対する賃金を支払わなければならない。

第三十一条[休業手当]

使用者は、使用者の責めに帰すべき事由によって休業する場合には、労働者に、平均賃金の七割以上の休業手当を支払わなければならない。

第三十二条[最低賃金]

賃金の最低値は、最低賃金法でこれを定める。

第五章 労働時間

第三十三条[労働時間および変形労働時間制]

1. 使用者は、1日あたり8時間を超えて、また、1週間あたり48時間を超えて、労働者に労働させてはならない。

2. (1)前項の規定にかかわらず、使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、2週間あたりの総労働時間が96時間を超えない範囲において、1日あたり8時間を超えて労働者を労働させることができる。

(2) 使用者は、前項の協定を行政官庁に提出しなければならない。

3. (1)第一項の規定にかかわらず、使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、本項の規定を適用される労働者に始業および終業の時刻を決定させたうえで、本条第一項の1日あたりの労働時間についての規定を適用せずに、その労働者を働かせることができる。ただし、この場合、使用者は、本項の2に定める事項を当該協定に明示しなければならない。

(2) ①本項の規定を適用して労働させることができる労働者の範囲

  ② 清算期間および清算期間中の総労働時間(清算期間とは、期間を平均し、本条第一項の1週間あたりの労働時間を超えない範囲内で労働させる期間のことである)

  ③ 必須労働時間(労働者が自由意志によって決定できない労働時間)

  ④ その他労働省令にて定められる事項

ただし、清算期間は1週間以上、6ヶ月以下の範囲で定めなければならず、必須労働時間は、1日あたり5時間を上回ってはならない。

(3) 本項の2について、清算期間が1ヶ月を超える場合には、使用者は、労働者を、清算期間の始まりから各月経過までの総労働時間を4で割った時間が、それぞれすべて50時間を超えないように労働させなければならない。

(4) 本項の規定を適用される労働者が、1日あたり10時間を超えて労働した場合、又は1週間あたり48時間を超えて労働した場合には、使用者は、平均賃金を一割増しした割増賃金を支払わなければならない。

4. (1)日頃の業務の繁閑に大きな差があると認められる場合において、使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、1週間あたりの総労働時間が48時間を超えない範囲内で、労働者を1日あたり10時間まで労働させることができる。

(2) 本項の(1)を労働者に適用する使用者は、予め労働者に各日における労働時間を告げなければならない。

(3) 使用者は、当該書面を行政官庁に提出しなければならない。

第三十四条[非常労働]

1. 使用者は、天獣災その他不可抗力の事由によって、臨時に労働者を労働させる必要が生じた場合には、行政官庁の許可を得た上で、労働者を、第三十五条で定める休憩時間および第三十六条で定める休日、およびその他の労働時間外の間でも労働させることができる(この労働を、以後、「非常労働」という)。

2. 行政官庁は、使用者に労働者を非常労働させることを許可しない場合には、その正当な理由を使用者に告げなければならない。

3. 使用者は、行政官庁から労働者を非常労働させることを許可されなかった場合には、労働者に休日、休憩を与えなければならない。

4. 本条第一項から第三項の規定にかかわらず、使用者は、行政官庁の許可を受けるための時間がない場合には、許可を受けずに労働者を非常労働させることができる。ただし、この場合、使用者は、非常労働が終了した後に行政官庁に所定の届出をしなければならない。

5. 使用者は、行政官庁によって、当該届出の内容による非常労働が不適であると判断された場合には、本法の範囲内で行政官庁が出す命令のとおりに、労働者に休憩あるいは休日を与えなければならない。

第三十五条[休憩]

1. 使用者は、労働者に、1日あたりの労働時間が4時間を超える場合には20分以上、6時間を超える場合には40分以上、8時間を超える場合には60分以上の休憩を与えなければならない。ただし、いずれの場合においても、休憩時間の上限は3時間とする。

2. 休憩は、労働者がこれを自由に利用できる。

3. 休憩中に意図せぬ労働が発生した場合には、使用者は、その労働時間の分だけ、追加で休憩を与えなければならない。

4. 休憩は、これを労働時間の途中に与えなければならない。

5. 休憩は、これを5分以下に分割してはならない。

第三十六条[休日]

1. 使用者は、労働者に、1ヶ月あたり6日以上、1週間あたり1日以上の休日を与えなければならない。

2. 前項の規定は、労働者に1ヶ月あたり10日以上の休日を連続で与える使用者には適用しない。

3. 休日は、労働者がこれを自由に利用できる。

4. 使用者は、33日以上連続した休日を労働者に与えてはならない。

第三十七条[長期休暇]

1. 使用者は、労働者に、任意の月について10日以上32日以下の連続した休日(以後、「長期休暇」という)を与えることができる。この場合、使用者は、前条の規定にかかわらず、長期休暇の期間が2週間以下の場合は長期休暇の終了から10日まで、2週間超過4週間以下の場合は長期休暇の終了から15日間まで、労働者に休日を与えなくてよい。

2. 長期休暇を与えることができる回数は、1年あたり4回を限度とする。

第三十八条[超過労働および休日労働]

1. 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定を結び、これを労働省の定めるところにより行政官庁に提出した場合には、第三十三条および第三十六条、第三十七条に定める規定にかかわらず、その書面の定めるところにより、労働者を労働時間外または休日に労働させることができる。

2. 前項の協定には、以下の事項を定めなければならない。

① 当該協定によって労働時間外または休日に労働させることができる労働者の範囲

② 本条の規定を適用する期間(以後、「対象期間」という)

③ 労働時間外または休日に労働させる事由、およびその条件

④ 一ヶ月あたり、一年あたりでの、それぞれの労働時間外または休日における労働時間の限度

⑤ その他労働省令で定められる事項

ただし、対象期間は1年以下の範囲で定めなければならない。

3. 第一項の規定により追加できる労働(以後、「超過労働(麗語:mainekjembasaxbeltkenx」という)の時間は、1ヶ月あたり40時間、1年あたり450時間を上回ってはならない。

4. 前項の規定にかかわらず、使用者は、当該事業場において、予見が非常に困難か不可能である業務量の大幅な増加、繁忙な時期の到来によって、前項に定める限度時間を超えて、臨時に労働者を労働させる必要が生じた場合には、行政官庁に届出をし、許可を得た上で、限度時間を延長できる。

5. 前項の規定によって限度時間を延長した場合であっても、超過労働時間の合計は、一ヶ月あたり70時間、1年あたり600時間を上回ってはならない。

6. 使用者は、坑内労働をはじめとする労働省令で特に健康に有害であると定められる業種においては、1日あたり2時間を超えて労働時間を延長してはならない。

7. 使用者は、第三項または第四項の規定を適用して超過労働をさせる場合においても、労働者を13時間以上連続して労働させてはならない。

8. 使用者は、労働者の1日あたりの労働時間が11時間を上回る場合、第三十五条に定めるものに加え、追加で最低5分の休憩を労働者に与えなければならない。

9. 労働省大臣は、超過労働について、労働者を守るため、労働時間および休憩について留意すべき事項や、次条に定める割増賃金の率などについて、必要な提言や助言を行うことができる。

10. 行政官庁は、使用者が、第一項の協定および第三項の届出を設定するにあたって、何らかの助言を求めている場合は、これに応じる。

11. 使用者および労働者は、超過労働はやむを得ない事情によって不本意に生ずべきであることを意識し、常にこれの削減に努めるべきである。

第三十九条[割増賃金]

1. 使用者が前条の規定を適用して労働者に休日以外で超過労働をさせた場合、には、使用者は、超過労働をした時間の分だけ、平均賃金を三割五分以上増した割増賃金を支払わなければならない。

2. 使用者が前条の規定を適用して労働者に休日に労働をさせた場合、には、使用者は、超過労働をした時間の分だけ、平均賃金を七割以上増した割増賃金を支払わなければならない。

3. 前項および前前項において、1ヶ月あたりの超過労働時間の合計が50時間を上回る場合には、使用者は、前項および前前項にて定めた割増賃金に、さらに四割を増した割増賃金を支払わなければならない。すなわち、この場合、休日以外の超過労働においては七割五分以上、休日の超過労働においては十四割五分以上の割増賃金を支払わなければならない。

4. 使用者が、午後11時から午前5時までの期間に労働者を労働させる場合には、使用者は、平均賃金を二割以上増した深夜割増賃金を支払わなければならない。ただし、深夜割増賃金に対しても、第一項から第三項の規定が適用される。

第四十条[時間計算、裁量労働時間制等]

1. 労働時間は、これを5分単位で計算し、端数は切り上げなければならない。ただし、超過労働に対する賃金の額を、1ヶ月単位で計算する場合については、15分単位で計算することができる(端数は切り上げて計算せよ)。

2. 坑内労働については、労働者が坑口に入った時刻から坑口を出た時刻までの時間を、休憩時間を含めて労働時間とみなす。

3. (1)労働者が労働時間の一部又は全部を事業場外で労働しており、実質の労働時間が算定し難いか不可能である場合には、予め定めた時間(以後、「所定労働時間」)を労働時間とみなす。

(2) 本項の制度を用いて労働する労働者は、実際の労働時間を所定労働時間に近づけるように努めなければならない。

4. 使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次項に示す事項を定めた場合において、労働者を本項の①にあてはまる業務に就かせたときは、当該労働者は、厚生労働省令で定めるところにより、本項の②に示す時間だけ労働したものとみなす。

①業務の性質上、使用者が労働時間を算定するのが困難又は不可能であって、労働者に労働時間の算定を委ねる必要がある業務のうち、労働省令にて定める業務(以後、本項において「対象業務」と、対象業務に従事する労働者を「対象労働者」と呼称する)

②対象労働者の、労働時間として算定される時間

③使用者が、労働時間の算定手段及び業務の遂行に関する決定に関して、対象労働者に指示、示唆等しないこと

④使用者が、対象労働者の健康及び福祉を確保するための措置を十分に講じ、もし苦情があった場合には、直ちに対処すること

⑤その他労働省令にて定める事項

第四十一条[年次有給休暇]

1. 使用者は、雇用の日から継続して4ヶ月以上勤務し、全労働日の八割五分以上を労働した労働者に対して、15労働日以上の有給休暇を与えなければならない。

2. 前項の規定にかかわらず、使用者は、雇用の日から継続して4ヶ月以上勤務したときの総労働時間をそれまでの全労働日で割った時間が5時間を下回っており、かつ全労働日の八割五分以上を労働した労働者に対しては、5労働日以上の有給休暇を与えるのみでよい。

3. 使用者は、前項および前前項の規定に当てはまる労働者が、雇用されてから継続して働き続け、1年ごとの全労働日の八割五分以上を労働した労働者に対しては、以下の表のとおりに各項の有給休暇の日数を増した日数の有給休暇を与えなければならない。

継続勤務年数:増す日数

1年:3日以上

2年:5日以上

3年:8日以上

4年:12日以上

5年以上:18日以上

4. 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、以下の事項を定めた場合には、第一項および第二項の規定に当てはまる労働者に対し、労働者が時間単位での有給休暇の取得を請求した場合において、時間単位で有給休暇を与えることができる。

① 時間単位で有給休暇を取得できる労働者の範囲

② 時間単位で取得できる有給休暇の日数

③ その他労働省令にて定める事項

ただし、②にて定める日数は、第一項に当てはまる労働者については8日、第二項に当てはまる労働者については3日を上回ってはならない。

5. 労働者は、有給休暇を取得することに関して、事由を使用者に申告する必要はない。又、申告する場合においても、申告した事由にかかわらず、有給休暇を取得できる。

6. 有給休暇は、労働者が取得を請求した時季にこれを与えなければならない。ただし、有給休暇の取得によって事業に著しい支障が出ると見込める場合には、使用者は、取得の時季をずらすことができる。ただし、取得の取り消しは、これを禁ずる。

7. 第一項および第二項について、労働者が業務中および通勤中の負傷または疾病を治癒するための休暇、妊娠休暇、育児休暇に関する法律、介護法にてそれぞれ定められる育児休暇および介護休暇を取得している期間は、これらを勤務期間に含める。

第四十二条[本章規定を適用されない対象、高度専門業制度]

1. 本章の労働時間、休憩、および休日に関する規定は、本項にて以下に定める事項に当てはまる労働者に対しては、これを適用しない。

① 土地の耕作、開墾および植物の栽植、栽培、収穫、伐採、焼畑、その他農林業に従事する者

② 生物の飼育、搾乳、屠殺、その他養蚕、養畜、養殖業などの事業に従事する者

③ 使用者の命を受け、他の労働者を管理、監督する者、あるいは機密情報を取り扱う者

④ 監視事業をはじめとする、継続的な労働が必要な事業に従事する者

⑤ 有害生物又は国家若しくは国家に準ずる組織等と戦闘行為を行う者

ただし、③に関しては、名称を問わず、労働者の実権によって適用する。

2. 前項の規定に当てはまらない労働者について、労働省例外該当労働者検討調査審議実行局の下に設置され、本項の①に当てはまる労働者(以後、この労働者を「例外労働者」という)の賃金、労働時間、休憩および休日、その他労働環境を調査し、審議するための、使用者と当該事業場の代表者によってのみ構成される委員会(以後、「例外労働者調査委員会」とする)が置かれた事業場にて、例外労働者調査委員会委員の十分の七以上の多数による議決を以て②に定める事項を決定し、かつ当該例外労働者が同意して書面による協定を使用者の名において行政官庁に提出したうえで、使用者が、例外労働者を①に定める業務に就かせた場合においては、使用者は、例外労働者に対して、本章の労働時間、休憩、休日、および深夜と1ヶ月あたりの超過労働時間の合計が50時間を上回る場合の割増賃金に関する規定を適用しないことができる。

① 業務の遂行に高度な専門的知識を必要とし、かつ労働時間と成果の相関関係が高くないと労働省令にて認められる業務のうち、労働者が行う業務

② A. 例外労働者調査委員会と当該例外労働者との間で結ばれた書面による協定において、その職務が明示されていること

B. 労働時間帯および労働時間に関する裁量が、当該例外労働者に委ねられていること

R. 労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金の額を、一年間当たりの賃金の額に換算した額が基準年間平均給与額(労働省が毎月一回作成する全国労働者給与額書において、労働省令によって定められる金額)の3.5倍以上であること

E. 使用者が、当該例外労働者に対し、年間145日以上の休日を与え、かつそのうちの50日以上は、2日以上10日以下の範囲で連続していること

F. 当該例外労働者が、終業から次の始業まで、労働省令にて定められた時間以上の休息をとれること。ただし、その時間は、8時間を下回ってはならないものとする

D. 1ヶ月または2ヶ月あたりの健康管理時間が、労働省令にて定められた時間を上回っていないこと。ただし、その健康管理時間は、それぞれ500時間、800時間を上回ってはならない。

G. 健康管理時間ならびにその他当該例外労働者の労働状況を鑑みて、臨時の健康診断を行うこと。また、当該例外労働者がこれを要求した場合に、行うこと

H. 当該例外労働者の健康および福祉を確保するための措置を、使用者が講ずること

U. 当該例外労働者から、本項に定める同意を棄却することを要求された場合の措置

K. その他、労働省令にて定める事項

ただし、R, E, F, G, Hについては、使用者が就業規則またはそれに準ずる規則について、これらを予め定めなければならない。

3. 使用者は、例外労働者が前項の事項について同意しなかった場合において、当該例外労働者に不利益な措置をとってはならない。

4. 行政官庁は、例外労働者調査委員会委員に対して、第一項に関係する事項についての必要な助言を行うことができる。

第六章 安全および衛生の確保

第四十三条[安全および衛生の確保に関する最低条件]

使用者は、危険な業務に就く労働者に対してはもちろんのこと、通常の業務に就く労働者に対しても、彼らが精神的、身体的損害を負わないように、安全および衛生の確保に努めなければならない。

第四十四条[子法律への詳細委託]

労働者の安全および衛生の確保については、本法の子法律である労働安全衛生確保法にて、詳しく定めるものとする。

第四十五条から第五十八条

削除

第七章 労働禁止・制限条件・妊産婦等

第五十九条[年少者の就職制限]

1. 使用者は、13歳未満の児童を使用してはならない。

2. 前項の規定にかかわらず、使用者は、行政官庁に所定の書面を提出し、許可を受けた場合において、児童の修学時間外で10歳以上の児童を使用することができる。

3. 演劇および映画、電視番組の製作については、使用者は、10歳未満の児童についても、前項の規定に従って、これを使用することができる。

第六十条[年少者の年齢の提示]

使用者は、13歳未満の児童を使用している時間で、その児童の年齢を証明する国家権力により発行される証明書、および児童の労働を許可した主体が発行する証明書あるいは同意書、もしくは書類を、他の労働者が容易に確認できる場所に置かなければならない。

第六十一条[年少者の労働条件]

1. 第三十三条の第二項から第四項、第三十四条、第三十八条および第四十二条は、13歳未満の労働する児童に対しては、これを適用しない。

2. 第三十三条の第一項の記述は、13歳未満の労働する児童については、「1日あたり8時間を超えて」を「修学時間を含んで、1日あたり8時間を超えて」と、「1週間あたり48時間を超えて」を「修学時間を含んで、1週間あたり48時間を超えて」と変換してこれを適用する。

第六十二条[深夜労働の制限]

1. 使用者は、10歳未満の児童を、午後10時から午前5時までの間使用してはならない。本項の規定には、例外を許さない。

2. 使用者は、10歳以上13歳未満の児童を、午後10時から午前5時までの間での労働時間が2時間を超えない範囲において、当該時間帯においても使用することができる。

第六十三条[未成年者の労働契約]

1. 親権者又は後見人、その他養育者などは、未成年者を代理して彼の労働契約を締結してはならない。

2. 親権者又は後見人、その他養育者などは、未成年者の労働者に与えられる賃金を代理して受け取ってはならない。未成年者の労働者も、賃金は、独立してこれを請求し、受け取ることができる。

第六十四条[危険な業務への就業禁止]

1. 使用者は、13歳未満の児童あるいは妊産婦を、動力機械の点検、注油、修繕、操作あるいは調帯あるいは、縄の調整、取り付け又は取り外しをさせるか、起重機の運転をさせる業務、劇薬を扱う業務、強力な光線を用いる業務、その他労働省令に定める身体的に危険な業務に就かせてはならない。

2. 使用者は、13歳未満の児童あるいは妊産婦を、坑内での労働に就かせてはならない。

第六十五条[妊産婦の労働について]

1. 使用者は、妊産婦が、第三十四条に定める非常労働、第三十八条に定める超過労働、午後11時から午前5時までの時間帯での労働、および第四十二条に定める例外の業務を行うことを拒否した場合には、これらの労働をさせてはならない。

2. 使用者は、6週間以内に出産する予定である妊婦が休業を請求した場合には、これを拒絶してはならない。

3. 使用者は、産後7週間以内に満たない産婦を労働させてはならない。ただし、産後5週間を過ぎた産婦が、彼女の医師の諒解を得て、自らの意思で労働を志す場合には、この限りではない。

4. 使用者は、6週間以内に出産する予定である妊婦あるいは産後7週間に満たない産婦が、より軽い作業を行う労働を希望した場合には、彼女をその作業へ転換させなければならない。

5. 使用者は、6週間以内に出産する予定である妊婦が、第三十五条の規定によって与えられる休憩以外の労働時間に休憩することを請求した場合には、最低5分の休憩を追加で労働時間の途中に与えなければならない。

第六十六条[育児時間]

使用者は、1歳未満の乳児を持つ女性が、育児のための時間を請求した場合には、最低1時間、これを与えなければならない。

第六十七条[生理休暇]

1. 生理を生ずる労働者は、生理から生ずる倦怠感、貧血、腹痛、感情の著しい擾乱などの症状によって、就業が非常に困難である場合に、休業を使用者に請求できる。この場合、使用者は、これを拒絶してはならない。

2. 前項の規定に従って労働者が休業する場合には、使用者は、所定労働時間その労働者が労働した場合に発生する賃金の七割以上を支払わなければならない。


第八章 補償

第六十八条[療養補償]

1. 労働者が業務中に負傷し、又は疾病を患った場合には、使用者は、労働者が療養する費用を負担するか、療養を行わなければならない。

2. 前項の負傷又は疾病の範囲は、労働省令でこれを定める。

第六十九条[休業補償]

1. 労働者が前条の規定による療養のため、休業する場合には、使用者は、平均賃金の六割以上の休業補償を行わなければならない。

第七十条[障礙補償]

労働者が業務中に負傷し、又は疾病を患い、これを治癒せしめた後に何らかの障礙が残った場合には、使用者は、その障礙の程度に応じて、別途労働省令にて定める障礙補償を行わなければならない。

第七十一条[休業補償および障礙補償の適用の例外]

労働者が重大な過失により業務中に負傷し、又は疾病を患った場合においては、使用者は、前条、前前条および第六十八条の規定にかかわらず、休業補償、障礙補償又は療養を行わなくてよい。

第七十二条[遺族補償]

労働者が業務中に負傷し、又は疾病を患い、死亡した場合には、使用者は、労働者の遺族に対して、平均賃金1050日分の遺族補償を行わなければならない。ただし、当該労働者に家族のない場合は、この限りではない。

第七十三条[打切補償]

労働者が業務中に負傷し、又は疾病を患い、かつ2年以上療養しても治癒されなかった場合においては、使用者は、平均賃金1100日分の打切補償を行うことを条件として、以後の補償を行わなくてよい。

第七十四条[異議申し立て]

1. 業務中の負傷又は疾病への罹患もしくは死亡の認定、休業補償、障礙補償、遺族補償の決定その他補償に関する事項について異議のある者は、行政官庁に審査又は仲裁を申し立てることができる。

2. 行政官庁は、必要と認められる場合において、職権の限りにおいて、前項の規定の範囲で審査又は仲裁を行うことができる。

3. 行政官庁は、当該事件を解決するための民事訴訟が開始された場合においては、当該事件に関する審査又は仲裁を行うことができなくなる。

4. 第一項および前前項における審査又は仲裁については、時効の中断、猶予の請求を裁判上の請求と断定する。

5. 第一項又は第二項に定める審査又は仲裁の結果に不服である者は、当該行政官庁に再審査又は再度の仲裁を求めることができる。この場合、前前項の規定は、これを準用する。

第七十五条[補償を受ける権利]

1. 労働者が退職しても、補償を受ける権利は消失しない。

2. 補償を受ける権利は、これを譲渡、棄却、差し押さえ等してはならない。

第七十六条[復職後の不利益な取り扱いの禁止]

使用者は、本章及び本法の子法律に定める補償を受けた労働者が復職した場合に、補償を受けたことを事由として、当該労働者に不利益な取り扱いを行ってはならない。

第七十七条[子法律に補償を委託した場合での補償について]

第六十八条、第六十九条、第七十条、第七十一条、第七十二条の規定にかかわらず、使用者は、労働災害補償法その他本法の子法律に基づいて補償又は補償に準ずる措置が労働者に行われる場合においては、本章に定める保証を行わなくてよい。

第七十八条[民事訴訟の免責]

本章の規定に従って補償を行った場合には、使用者は、同一の事由により行われる民事訴訟を免れる。

第七十九条及び第八十条

削除

第八十一条[詳細の委託]

本章に定める他の補償についての事項は、労働省令でこれを定める。

第九章 就業規則

第八十二条[就業規則作成の義務]

1. 常に5人以上の労働者を使用する使用者は、少なくとも以下に示す事項を明示した就業規則を作成し、これを行政官庁に提出しなければならない。

① 始業及び終業の時刻。ただし、労働者を二組以上に分けて交替で労働させる場合においては、転換に関する規定も定めなければならない

② 休憩及び休日

③ 最低賃金の額。ただし、退職手当を除く臨時の賃金を支払う場合においては、その額も定めなければならない

④ 退職に関する事項

⑤ 労働者に食費、用品費などの負担をさせる場合においては、これに関する事項

⑥ 労働者に安全又は健康、衛生の備えをさせる場合においては、これに関する事項

⑦ 労働者に兵器を取り扱わせる場合においては、これに関する事項。ただし、軍事法その他の法律に抵触してはならない

⑧ 職業訓練を行う場合においては、これに関する事項

⑨ 賞又は罰を定める場合においては、これに関する事項。ただし、次項の規定の範囲内で定めなければならない

⑩ 療養補償、災害補償、獣災補償などの補償又はそれに準ずるものを行う場合においては、これに関する事項

⑪ その他、当該事業場の全労働者に適用される規定がある場合には、これに関する事項

2. 前項の⑨について、減給の罰を与える場合においては、一度の罰における減給の割合は一分(いちぶ)以下でなければならず、減給が重なった場合においても、その割合は、一割五分以下でなければならない。

3. 使用者は、就業規則を変更する場合については、速やかに更新した就業規則を行政官庁に提出しなければならない。

第八十三条[違法な就業規則の無効化]

就業規則の一部又は全部が法律又は労働協約に違反する場合には、その部分を無効とする。

第八十四条[作成の過程]

1. 使用者は、就業規則の作成又は変更をするとき、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。

2. 使用者は、就業規則を行政官庁に提出する際に、前項の規定に従って出た意見が書かれているか、あるいは意見を聴いた証明のある書類を添付しなければならない。

第八十五条[労働契約と就業規則]

労働契約は、就業規則に優越する。詳細は、労働契約法にて定める。

第十章 兵器を取り扱う事業

第八十六条[兵器を取り扱う事業]

1. 事業主は、兵器を取り扱う事業を行う場合においては、事前に国軍省の外局機関に以下の事項を定めた書面を提出し、許可を得なければならない。ただし、調理、伐採、狩猟、漁猟、遊戯、装飾を目的として製造される刃物又は銃器は、これを兵器としない。

① 兵器を取り扱わせる労働者の範囲

② 取り扱う兵器の種類及びその総数の上限

③ 兵器の保管方法

④ 兵器による事故が発生した場合の補償に関する事項

⑤ その他国軍省令にて定める事項

2. 事業主は、当該書面の作成又は変更を行うにあたって、行政官庁に必要な助言を受けることができる。

3. 前前項の①から⑤に定める事項を変更する場合には、事業主は、事前に更新した書面を国軍省の外局機関に提出し、許可を得なければならない。

第八十七条[兵力の制限]

1. 事業主は、前条の規定に従って許可を得て、兵器を取り扱う事業を行う場合においても、以下に示す制限を超えて兵器を所持してはならない。

① 戦車61輛以上

② 装甲車201輛以上

③ 重銃器1001丁以上

④ 軽銃器 3001丁以上

⑤ 重航空機 61機以上

⑥ 軽航空機 201機以上

⑦ 戦闘艦31杯以上

⑧ 手榴弾その他小型の爆弾 2501発以上

⑨ 刃物5001本以上

⑩ 槍、斧、弓などの兵器については、1001個以上

⑪ 破城槌、投石機など攻城兵器については、501機以上

⑫ その他国軍省令にて所持数が制限されている兵器については、その個数

2. 事業主は、前条の規定に従って許可を得て、兵器を取り扱う事業を行う場合においても、以下に示す兵器を所持してはならない。

① 核兵器

② TNT換算で出力500ディット(訳註:約560t)以上の爆弾、魚雷、機雷

③ 地雷

④ 生物兵器及び化学兵器

⑤ 火炎放射器

⑥ 口径15クダム(訳註:約21.5cm)以上の火砲

⑦ 気球及び飛行船

⑧ その他国軍省令で所持を禁止する兵器

3. 前前項の「戦車」「装甲車」「重銃器」「軽銃器」「重航空機」「軽航空機」については、定義を政令にて定める。

第八十八条[事業の禁止]

1. 国軍省は、兵器の取り扱いによって重大な事故又は事件を発生させた事業主、あるいは前条の規定に反した事業主に対して、事業の停止を命ずることができる。

2. この際使用者又は労働者が抵抗した場合には、国軍は必要最小限の武力を使用し、事業場を制圧することができる。

第八十九条[先制攻撃された場合の制圧]

1. 前条の規定にかかわらず、使用者又は労働者が、国軍、政府、警察などの国家権力を破壊することを目的として、何らかの武力又は通信妨害等により先制攻撃を行った場合には、国軍は、使用可能な全ての武力を用いて、使用者及び労働者を殺害し、事業場を殲滅することができる。

2. 前項の規定を適用して殺害された使用者又は労働者、ならびにその所持品については、国家は、一切の補償を行わない。

第九十条[海外派遣]

1. 使用者は、兵器を伴う労働者を、事前に国軍省の外局機関に以下の事項を定めた書面を提出し、許可を得た上で、これを国外に派遣できる。

① 国外に派遣する労働者の人数

② 国外に持ち出される兵器の種類及び数

③ 労働者を派遣する日数

④ 派遣する事由

⑤ 派遣先及び移動中の事故などに関する補償の事項

⑥ 派遣先の国家及び地方の名称

⑦ その他国軍省令にて定める事項

ただし、③の日数は、300日を上回ってはならない。

2. 使用者は、国軍省令によって派遣が禁止されている国家又は地方に、労働者を派遣してはならない。

3. 使用者は、国軍省が派遣の中止を命じた場合には、直ちに労働者を帰国させなければならない。

4. 使用者が、国軍、政府、警察などの国家権力を破壊することを目的として、派遣先の国家又は地方の組織あるいは集団などと結託し、我が国に対する破壊行為を行った場合には、国軍は、使用可能な全ての武力を用いて、使用者及び労働者を殺害し、事業場を殲滅することができる。

5. この際の補償については、第八十九条第二項の規定を準用する。

第九十一条[最低賃金]

兵器を取り扱う労働者の賃金の最低値は、特殊賃金法でこれを別途定める。

第九十二条[刑法への委託]

本章の規定に違反した使用者及び労働者には、これらに対して刑法にて定める罰則を適用し、本法では罰しない。

第九十三条から第九十六条

削除

第十一章 寄宿舎

第九十七条[寄宿舎設置の許可]

使用者は、任意により、労働者を住まわせるための寄宿舎を設けることができる。

第九十八条[強制居住の禁止]

使用者は、労働者を強制して寄宿舎に住まわせてはならない。

第九十九条[寄宿舎の自治の確保]

使用者は、舎長、室長、その他寄宿舎の自治を保つために必要な役員の選抜に干渉してはならない。

第百条[私生活への干渉の禁止]

使用者は、寄宿舎に住まう労働者の私生活に干渉してはならない。

第百一条[寄宿舎規則]

1. 寄宿舎に労働者を住まわせる使用者は、以下に示す事項を定めた寄宿舎規則を作成し、行政官庁に提出しなければならない。

① 寄宿舎の規模、管理、設備に関する事項

② 労働者の起床、食事、入浴、就寝に関する事項

③ 安全に関する事項

④ 騒乱が起きた場合の対処に関する事項

⑤ その他労働省令にて定める事項

2. 前項の②の決定には、寄宿舎に住まう労働者の過半数の賛成を得なければならない。又、提出の際には、この旨を証明する書類を寄宿舎規則に添付しなければならない。

3. 使用者は、寄宿舎規則を変更する場合については、速やかに更新した寄宿舎規則を行政官庁に提出しなければならない。

第百二条[寄宿舎の安全確保]

使用者は、換気、採光、照明、温度調節、防湿、防火、耐震、避難経路などの、寄宿舎に住まう労働者が健康及び身体の安全を維持するために必要な措置を講じなければならない。

第百三条[寄宿舎の利用停止措置]

行政官庁は、寄宿舎の状態が、定められた安全の基準に反している場合は、使用者及び労働者に対して、寄宿舎の利用停止又は変更などの命令を発出することができる。

百四条

削除

第十二章 労働状況の監視者

第百五条[労働状況監視機構]

1. 国家は、使用者に本法及び本法の子法律を遵守させ、労働者の権利を護るために、労働省の外局機関として労働状況監視機構(麗語:Beltkenxdestiilantekqiifasistalaljiixfinventkenx)を設置し、その機能を果たすための労働状況監視官を置くほか、各県の労働局の人員や、その他労働省令にて定める人員を置く。

2. 労働状況監視機構の長(以後、「労働状況監視機構長」という)及び各県の労働局長は、労働状況監視官がこれらを担当する。

3. 労働状況監視官の任命及び罷免に関する事項は、法律で定める。

4. 労働状況監視機構の同権組織として、労働省に労働状況監視官管理署が置かれる。労働状況監視官管理署は、労働状況監視官の任命、罷免及び管理を行う。

5. 労働状況監視官管理署についての詳細は、政令で定める。

第百六条[公務員の除外]

公務員は、労働状況監視機構の保護の対象外であり、別の組織を労働省外局に置いて対応するものとする。

第百七条[労働状況監視機構長及び労働局長等の権限]

1. 労働状況監視機構長は、労働省大臣の下、労働状況監視官を指揮監督し、本法ほか労働に関する法律の改廃や施工に関する事項の指揮、労働監視官の育成、監視方法の設定及び変更、監視年報の作成ならびに労働政策審議会及び労働状況監視官管理署の運営等に関する事項を総攬する。

2. 県労働局長は、労働状況監視機構長の指揮監督を受けて、県内の労働状況監視局長を指揮監督し、彼らに県の労働状況を監視、調査、監督させ、監視方法を設定、調整する事項及び労働に関する法律等に従って、管轄下の労働状況監視官を指揮監督する。

3. 労働状況監視局長は、県労働局長の指揮監督を受けて、本法及び労働に関する法律、その他労働に関する事項に基づく定期監査、臨時監査、許可、禁止、認定、審査、仲裁、実力行使、訊問、相談受付などの行為について、所属の労働状況監視官を指揮監督する。

4. 労働状況監視機構長及び県労働局長は、下級官庁の権限を自ら行使することができる。

5. 労働状況監視機構長、県労働局長、労働状況監視局長を任命及び罷免するには、労働状況監視官管理署の認可を必要とする。

第百八条[労働状況監視官の武装]

1. 労働状況監視官は、次条に定める定期監査及び臨時監査を行う際にのみ、使用者、労働者の抵抗を打ち破るために、拳銃、散弾銃、自動小銃、手榴弾その他の小火器を携行することができる。

2. 前項に定める場合以外に、労働状況監視官が正当な理由なく兵器を携行していた場合には、労働状況監視官管理署は、当該の労働状況監視官を直ちに懲戒解雇処分としなければならない。

3. 一度の監査で武装できる労働状況監視官の人数は、中小企業に対する監査では15人以下、大企業に対する監査では100人以下とする。

4. 武装する労働状況監視官は、国軍省令で定める講習及び訓練を事前及び定期的に受けなければならない。

5. 本項に定める武力行使によって労働者の資産又は身体に損害が生じた場合には、当該の労働者は損害に応じた補償を受ける。

第百九条[労働状況監視官の権限]

1. 労働状況監視官は、事業場、寄宿舎その他付属の建造物に赴き、定期監査又は一切予告のない臨時監査を行い、使用者に帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者もしくは労働者に対して訊問を行うことができる。

2. 前項の場合には、労働状況監視官は、自身の身分を証明する証票を携帯し、監査の際に使用者に提示しなければならない。

3. 定期監査及び臨時監査にて、使用者が正当な理由なく事業場、寄宿舎その他付属の建造物への立ち入りを拒絶した場合には、労働状況監視官は、必要最小限の武力を行使し、強制的に監査を行うことができる。

4. 前項の場合において、使用者が正当な理由を以て監査の日を延期するように要求した場合には、労働状況監視官は、当日の監査を取りやめて、後日監査を行わなければならない。このとき、使用者が監査を延期できる日数は、原則として10日以内とする。ただし、天獣災その他不可抗力の事由によって、11日以上が経過しても監査を充分に行える状態ではないと判断できる場合には、この限りではない。

5. 監査した寄宿舎が安全、衛生その他の基準に反しており、労働者の生命又は健康に危険がある場合には、労働状況監視官は、使用者に直ちに寄宿舎の利用停止を命ずることができる。

第百十条[労働状況監視官の司法警察員としての職務]

労働状況監視官は、本法違反の罪について、刑事訴訟法に基づいた司法警察員としての職務を遂行する。

第百十一条[労働状況告発の権利]

1. 事業場の労働状況が本法及び本法の子法律に反している場合には、労働者は、その旨を行政官庁又は労働状況監視局に告発することができる。

2. 前項の場合において、使用者は、労働状況を告発した労働者に対し、不利益な取り扱いを行ってはならない。

3. 前前項の場合には、労働状況監視官は、告発から3週間以内に当該事業場、寄宿舎、その他付属の建造物に赴き臨時監査を行うべきである。

第百十二条[報告等]

行政官庁、労働状況監視局、県労働局及び労働状況監視機構は、本法及び本法の子法律の施行にあたって必要であると認められる場合には、使用者又は労働者に対して必要な事項を報告させ、書類又は帳簿の提出を求めることができ、又、出頭を命ずることができる。

第百十三条[労働状況監視官の守秘義務]

労働状況監視官は、労働状況監視官としての職務を遂行する上で知り得た秘密を漏らしてはならない。この規定は、退官後も死ぬまで有効である。

第百十四条

削除

第十三章 雑則

第百十五条[援助義務]

労働大臣及び行政官庁は、労働者及び使用者が本法及び本法の子法律について知り、充分に本法及び本項の子法律を活用し、自らの権利を護ることができるように、資料の提供、解説、その他必要な援助を行わなければならない。

第百十六条[使用者の周知義務]

使用者は、就業規則、寄宿舎規則、その他当該事業場において、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者と書面によって締結した協約の内容を、常時事業場の見やすい場所に掲示又は備え付けするか、あるいは社内通信電網で確認できるようにし、労働者がこれらを容易に確認できるようにしなければならない。ただし、社内通信電網を用いる場合には、使用者は、停電等によってこれが使用できなくなった際に、労働者が本条に定める規則及び協約の内容が確認できるように、書類又は掲示などを用意しておかなければならない。

第百十七条[労働者名簿]

1. 使用者は、各事業場ごとに、使用される労働者の氏名、生年月日、住所その他労働省令で定める内容を記述した労働者名簿を作成しなければならない。

2. 使用者は、労働者名簿の内容を漏らさないように細心の注意を払わなければならない。

3. 使用者は、雇用期間が10日以下の労働者については、労働者名簿を作成しなくてよい。

4. 労働者名簿に登録されている労働者の情報に変更があった場合、使用者は、直ちに労働者名簿を更新しなければならない。

第百十八条[賃金台帳]

使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を作成し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額、その他労働省令で定める事項を、賃金支払のつど、直ちに記入しなければならない。

第百十九条[情報の保管]

使用者は、労働者名簿、賃金台帳、雇入、解雇、補償、その他労働関係の重要な書類を、最低四年間保管しておかなければならない。

第百二十条[時効]

本法の規定に定める請求権は、これを行使できるときから4年間行わない場合においては、時効によって消滅する。

第百二十一条[無料証明]

労働者及び労働者になろうとする者は、戸籍について、戸籍事務を行う者又はその代理人に、無料で証明を請求することができる。使用者が、労働者及び労働者になろうとする者の戸籍についての証明を請求する場合においても、同様とする。

第百二十二条[付加金]

裁判所は、使用者が、第二十七条、第三十一条、第三十九条、第四十条、第六十九条、第七十条の規定に反し、退職手当、遅予告解雇補償金、賃金、補償の一部又は全部を支払わなかった場合において、未払金の支払いに加えて付加金の支払いを命ずることができる。ただし、付加金の支払いを命ずることができるのは、違反から3年以内とする。

第百二十三条[適用除外]

1. 本法は、同居している家族のみによって経営される事業所及び使用者に対しては、適用されない。

2. 本法は、船員法第五条の定義に当てはまる者に対しては、適用されず、代わりに船員法が適用される。

3. 本法の第四章、第九章及び第十二章の規定は、公務員法第三条の定義に当てはまる者に対しては、適用されず、代わりに公務員法が適用される。

第百二十四条[面接と内定]

労働者への面接及び内定に関する規定は、面接及び内定に関する法律で定める。

第十四章 罰則

訳註:1ヴィット≒93.9円(2021年8月時点)であり、1年は地球の約507日(約1.384年)にあたる。

第百二十五条[罰則を与える対象及び労働者に対する罰則の制限]

1. 本法の規定に違反した者が、その違反した原因が、事業主又は事業主の指示を受ける者から明らかな脅迫、恐喝、示唆等を行われたことである場合には、彼らをも罰する。

2. 本法の規定に違反した者が、罰金を払い切ることができず、その違反した原因が、事業主又は事業主の指示を受ける者から明らかな脅迫、恐喝、示唆等を行われたことであって、彼(訳註:本法の規定に違反した者。原文Zaar)が罰金の代替えを彼らに要求した場合には、彼らに、彼が要求した分の罰金を支払わせる。

3. 事業主が、違反の計画を知り、かつこれを是正する措置を取らなかった場合には、事業主をも罰する。

4. 労働者が違反に積極的に加わっていた場合には、当該労働者も罰するが、この際、本章の規定にある「懲役」は「禁錮」と置き換え、その期間が5年を超えるものは「5年以下」とし、かつ、5000ヴィットを超える罰金については、「5000ヴィット以下」としてこれらを適用する。

5. 本法に定める罰金刑は、これを法人に科すことができる。ただし、30万ヴィットを超える罰金は、これを常に法人にのみ科すこととする。

6. 法人に罰金刑を科す場合には、その額が過度にならないように調節すべきであろう。

第百二十六条

第六条、第九条の規定の一部又は全部に違反した者は、これを終身懲役又は20年以下の懲役又は1万ヴィット以上800万ヴィット以下の罰金に処する。

第百二十七条

第八条、第五十九条、第六十四条の規定の一部又は全部に違反した者は、これを1年以上8年以下の懲役又は500ヴィット以上5000万ヴィット以下の罰金に処する。

第百二十八条

第三十三条、第三十八条(第八項除く)、第三十九条、第四十一条の規定の一部又は全部に違反した者は、これを5年以下の懲役又は100ヴィット以上1億ヴィット以下の罰金に処する。

第百二十九条

第五条、第八条、第十条、第十九条、第二十一条、第二十三条、第二十六条、第二十七条、第二十九条、第三十五条、第三十六条、第三十七条、第三十八条第八項、第四十条、第六十二条、第六十五条、第六十八条、第六十九条、第七十条、第七十一条、第七十二条、第七十六条、第九十八条、第百十一条の規定の一部又は全部に違反した者は、これを3年以下の懲役又は100ヴィット以上50万ヴィット以下の罰金に処する。

第百三十条

第四条、第七条、第十条、第二十条、第二十二条、第二十五条、第二十八条、第三十条、第三十一条、第三十四条、第四十二条、第六十条、第六十一条、第六十三条、第六十六条、第六十七条、第七十五条、第百二条の規定の一部又は全部に違反した者は、これを1年以下の懲役又は1万ヴィット以下の罰金に処する。

第百三十一条

第八十二条、第八十四条、第九十九条、第百一条、第百十六条、第百十七条、第百十八条、第百十九条の規定の一部又は全部に違反した者は、これを8ヶ月以下の禁錮又は5000ヴィット以下罰金に処する。

第十五章 附則

1. この改正法は、これを玄暦1639年5月32日に施行する。

2. 本改正法施行前に締結された労働契約及び労働協約は、その期限まで効力を維持する。ただし、労働契約を結んだ労働者が、契約から1年以上が経過したときに、新たな労働契約の締結を求めた場合は、使用者はこれを拒否してはならず、又、第三十八条第五項の内容は、これを施行後に強制して適用する。

3. 本改正法の施行から2年まで、第三十九条第三項に定める割増賃金の規定は、中小企業に対してのみ、これを適用しない。

4. 本改正法の施行から3年まで、医業に携わる医師及び看護師に対しては、第三十八条第三項に定める超過労働の限度時間を、「1ヶ月あたり40時間、1年あたり450時間」から「1ヶ月あたり50時間、1年あたり500時間」へ、同条第五項に定める超過労働の限度時間を、「1ヶ月あたり70時間、1年あたり600時間」から「1ヶ月あたり100時間、1年あたり800時間」へ変更して適用する。又、第三十九条第三項に定める割増賃金の規定は、これを「四割以上」から「二割以上」へ減じて適用する。

5. 本改正法の施行から3年まで、土木、建築、その他構造物の建造、改造、変更、管理、修繕、破壊等を行う事業に就く労働者に対しては、第三十八条第三項に定める超過労働の限度時間を、「1ヶ月あたり40時間、1年あたり450時間」から「1ヶ月あたり50時間、1年あたり500時間」へ、同条第五項に定める超過労働の限度時間を、「1ヶ月あたり70時間、1年あたり600時間」から「1ヶ月あたり90時間、1年あたり700時間」へ変更して適用する。又、第三十九条第三項に定める割増賃金の規定は、これを「四割以上」から「三割以上」へ減じて適用する。

6. 政府は、本改正法の施行にあたり、各省庁及び機関等と連携して、本改正法の施行が潤滑に行われるように努める。


以上


要約

 労働者保護法は極めて長い法律であるから、重要な部分を抜き取り、まとめて読みやすいようにした。わかりやすくするため、時間の単位はすべて地球のものに合わせてある。


概要

 この法律は、労働者の権利を護るための高等法規である。

契約

・違法な契約は無効となり、この法律のものが適用される。

・性別や身分などを理由に、労働条件について差別してはならない。

・正社員でない限り、一般に労働契約の期間は3年半以下でなければならない。

・労働契約には、労働時間・休日・賃金の三つを必ず明示しなければならない。

・弟子であることを口実に、こき使ったり雑用をさせたりするのは禁止する。

・借金を肩代りする代わりに、給料を天引きしてはならない。

・労働者の失敗に罰金など科してはならない。

・無理やり労働者の貯金を会社のものにしてはならない。

・解雇は、正当な理由がないと行えず、行う場合でも20日以内に予告しなければならない。

・どうしようもない理由があるときや、労働者の非行などによって辞める場合を除いて、退職金がもらえる。

賃金

・賃金は、一ヶ月に1回以上、一定の期日を定めて、現金で、労働者に直接支払わなければならない(ボーナスなどは例外)。ただし、合意があれば別の方法で支払ってよい。

・休業手当は、平均賃金の七割以上。

労働時間

・基本的に、労働時間は一日につき8時間、一週間につき48時間(一週間は8日)までである。地球で言うと、一週間あたり38.1時間まで。

・変形労働時間制では、二週間につき96時間まで働かせられる。地球で言うと、15.7日につき94.3時間で、ほとんど変わりない。

・フレックスタイム制では、1日10時間まで働かせられる。この場合、賃金は一割増しされる。

・その他、一週間単位の変形労働時間制がある。

・休憩は、4時間以上の労働では20分以上、6時間以上の労働では40分以上、8時間以上の労働では60分以上ある。限界は3時間である。休憩中は自由であるから、仕事の電話も受け取らなくてよい。

・休日は、一ヶ月(32日。地球で言う31.44日)あたり6日以上で、かつ一週間あたり1日以上である。ただし、10日以上連続した休日がある場合は、例外。

・超過労働(時間外労働と休日労働を合わせたものだといってよい)は、労働組合か労働者の代表と使用者との協約(俗にサンパチ(Ze Tafaakt)という)を結ぶと可能になる。

 その限界は、1ヶ月につき40時間、1年(16ヶ月ある)につき450時間までである(医者や土木業などは例外)。また、臨時に時間を増やす場合には、役所の許可を得る必要がある。この際、超過労働の限界は一ヶ月につき70時間、一年につき600時間までである(医者や土木業などは例外)

 また、1日あたり13時間以上働かせるのは、絶対に禁止されている。

割増賃金は、以下の通り。

 すなわち、休日の超過労働で、一ヶ月あたりの超過労働が既に50時間を超えていて、かつ深夜に働く場合には、3.5+7+2+4で、十六割五分(2.65倍!)も割増される。

・労働時間は、5分単位で計算する。ただし、超過労働の賃金を計算するときは、20分単位で計算してよい。どちらの場合でも、端数は切り上げる。

 その他、所定時間労働したものとみなす制度や、裁量労働時間制がある。

・有給休暇は、労働契約締結から4ヶ月(約4.2ヶ月)以上勤務して、労働日の八割五分以上を出勤した労働者に与えられる。一回目は15日分。年数が増すたびに、与えられる有給休暇の日数は増える。有給休暇の取得に理由は必要なく、理由を告げる場合でも理由に関係なく取得できる。また、時間単位で取得することも可能。

・第一次産業に従事する人々や管理職(実際の権力により判断)などは、労働時間の規定を適用されない。また、専門職の労働者が合意した場合にも、適用しない(日本の高プロ制、欧米のホワイトカラーエグゼンプションにあたる)。

・13歳(約18歳)未満の児童は、原則として働かせてはならない。ただし、役所の許可を得た場合は、10歳(約13歳8ヶ月半)以上の児童を例外とする。この場合でも、深夜に2時間以上働かせてはならない。

・この時、児童の労働に関する許可を証明する書類が必要である。

・10歳未満の児童は、原則として働かせてはならないが、映画や番組、演劇などの製作では働かせてよい。

・児童は、超過労働などをされない。

・児童や妊産婦に危険な仕事をさせてはならない。例えば、機械の操作、坑内労働など。

・妊産婦は、超過労働や深夜業を拒めるほか、軽作業への転換を希望できる。また、希望すれば追加の休憩ももらえる。

・6週間以内に出産する予定の妊婦は、休業を要請できる。

・出産から7週間経っていない産婦を働かせてはならない。産婦自身が労働を望んでいて、かつ医師の許可がある場合は例外。

・1歳未満の赤ちゃんを育てる女性は、育児時間を請求できる(男性は、別法によって育児休暇を請求できるようになっている)。

・生理休暇あり。

補償

・労働中に怪我や病気を負った場合は、治療のための経費が出される。

・治療のため欠勤する場合は、平均賃金の六割以上の休業補償が出る。

・労働中に負った怪我や病気のせいで障礙が残った場合には、障礙補償が出る。

・気をつけていれば明らかに回避できたであろう事故を負ったときや、自ら労働者が怪我をしたときなどには、補償は出ない。

・労働中に負った怪我や病気のせいで労働者が死んだ場合には、平均賃金1050日分の遺族補償が出る。

・労働中に負った怪我や病気が2年(約2年9ヶ月)経っても治らない場合は、平均賃金1100日分の打切補償を払って、以後補償をしなくてよい。

・補償に関して異議がある場合は、役所に申し立てができる。

・補償を受ける権利は、退職してもなくならない。

就業規則

・常に5人以上の労働者を雇う事業所は、就業規則を作って役所に届け出なければならない(罰を与える規定もあり)。

兵器を取り扱う事業

・兵器を取り扱う事業を行うときは、国軍省の外部機関に許可証を届け出なければならない。

・許可をもらった場合でも、持てる兵器の種類や数には制限がある。

・大量破壊兵器や地雷、高威力の爆弾などは、絶対に所持してはならない。

・兵器を取り扱って重大な事故が起きた場合や、所持してはならない兵器や制限を超えた量の兵器を所持していた場合などには、直ちに許可を取り消せる。抵抗があれば、国家は必要最小限の武力を用いてよい。

・他国や軍事組織と共謀するか、単独で、国家転覆を起こすことを目的として国家権力に先制攻撃をした場合には、国家は、使用できる全ての武力を用いて事業場を破壊できる。このとき、国家からの補償は一切出ない。

・事前に役所の許可を得れば、兵力の海外派遣も可能である。

寄宿舎

・寄宿舎を運営するための役員の選出に、会社が干渉してはならない。

・寄宿舎に住まう労働者のプライバシーは、侵してはならない。筋トレをしてもいいし、ゲームをしてもよい。意味もなく床をゴロゴロ転がるのもよいし、「びっくりするほどユートピア!!!!!!!!!!!!!!」と絶叫しながら白目をむき、全裸になって尻を叩きながらベッドと床を飛び交ってもよいのである(もちろん、迷惑にならない範囲で)。

・寄宿舎には、寄宿舎規則が必要である。

・寄宿舎は、労働者が安全に過ごせるような対策が必要である。

労働状況の監視者

・労働者の権利を護るため、労働状況を監視することを目的として、労働状況監視機構およびその下部組織を置く。

・労働状況監視機構およびその下部組織は、労働状況監視官が運営する。

・労働状況監視官は、定期的に、また、労働者の告発を受けるなどして臨時に、事業場を監査できる。このとき、抵抗がある場合、監視官は手榴弾、拳銃、アサルトライフルなどの兵器を用いてこれを突破できる。このとき、損害が生じた場合は補償される。

・労働者は、告発によって不利益な取り扱いを受けてはならない。

雑則

・就業規則、労働協約、寄宿舎規則は、労働者の目のつくところに貼り出すか、社内ネットワークで確認できるようにしておかなければならない。

・会社は、労働者名簿を作成し、管理しなければならない。

・また、賃金台帳も作成・管理しなければならない。

・賃金などの請求権は、4年(約5年半)で時効をむかえる。

・この法律は、一部を除いて、家族だけで経営される店や船員、公務員には適用されない。

罰則

・事業主やその指示を受ける者が原因でこの法律に違反した場合は、彼らも同時に罰する。

事業主やその指示を受ける者が原因でこの法律に違反した場合は、違反者は彼らに罰金の支払いを(ある程度)押しつけてよい。

・労働者を罰する場合は、刑を大幅に減軽する。

・罰金は、法人に科すことができる。5000ヴィット(約47万円)以上の罰金は、必ず法人に科すこととする。


・労働者を無理やり働かせたり、宗教を強制して信じさせるか棄教させた者には、終身刑または20年(約27年8ヶ月)以下の懲役か、1万ヴィット以上800万ヴィット以下(約94万円以上約7億5000万円以下)の罰金を科す。

・労働者をピンハネしたか、児童を許可なしに働かせたか、児童を危険な仕事に就かせた者には、1年以上8年以下(約1年5ヶ月以上約11年1ヶ月以下)の懲役か、500ヴィット以上5000万ヴィット以下(約4万7000円以上約47億円以下)の罰金を科す。

・法律で定められた労働時間を超えて労働させたか、超過労働について違反(サンパチ不届け、限度時間超えなど)をしたか、有給休暇について違反(取得させない、与えないなど)をした者には、5年(約6年11ヶ月)以下の懲役か、100ヴィット以上1億ヴィット以下(約9400円以上約94億円以下)の罰金を科す。

・労働者を差別したか、労働契約について違反したか、弟子や見習いなどという口実でこれを酷使したか、借金を肩代りする代わりに給料を天引きする労働契約や、罰金を科す労働契約を締結したか、解雇してはいけない時季に解雇したか、解雇の予告なしに解雇補償金も支払わず解雇したか、賃金を違法な手続き、手段で支払ったか、休憩や休日について違反した(休憩中に働かせた、休日を与えないなど)か、労働時間の計算について違反した(30分単位で計算したなど)か、児童を深夜に働かせたか、妊産婦について違反した(産後2週間で復職させた、本人が拒否しているのに残業させたなど)か、補償を支払わなかったか、補償を口実に差別したか、労働者を寄宿舎に無理やり住まわせたか、違法な労働状況を告発した労働者に不利益な取り扱いをした者には、3年(約4年2ヶ月)以下の懲役か、100ヴィット以上50万ヴィット以下(約9400円以上約4700万円以下)の罰金を科す。

・労働条件を履行しなかったか、労働者のプライバシーに干渉する労働契約を締結したか、労働時間中の公民権の行使を妨げたか、労働条件を明示しなかったか、労働条件を契約後にどうしようもない理由で変更する際、役所の許可を得なかったなどしたか、労働者の貯金を無理やり預けさせたか、退職手当を支払わなかったか、非常の賃金を支払わなかったか、休業手当を出さなかったか、非常時の労働について違反したか、児童を働かせる際に年齢の提示を行わなかったか、児童を働かせる際の制限に違反した(残業、深夜労働など)か、児童の代わりに勝手に労働契約を締結したか、育児のための時間を与えなかったか、生理休暇を与えなかったか、補償の権利を奪ったか、寄宿舎の安全を確保しなかった者には、1年(約1年5ヶ月)以下の懲役か、1万ヴィット(約94万円)以下の罰金を科す。

・就業規則や寄宿舎規則を作らない、届け出ないなどしたか、就業規則を作るときに労働者の意見を聴かなかったか、各種の労働協約や就業規則などを貼り出さないか社内ネットワークで確認できないようにしていたか、労働者名簿や賃金台帳を作らない、しっかり管理しないなどした者には、8ヶ月(約8ヶ月強)以下の禁錮か5000ヴィット(約47万円)以下の罰金を科す。