2.1 作り方の概略

※このページでは試験的に、ページのインデント幅を狭めています。

 ここでは大局的な見地から人工言語を創っていく流れをざっと見ていきます。順番が狂ったり、ここにはない過程を入れたりしても問題はありません。

 なお、製作の際にはパソコンを使うのがおすすめです。修正や配布が簡単にできるためです。ただし、念のため、設定は紙にも書き留めておくことを推奨します。スマートフォンやタブレットは長い文章を書くのに適していないので、人工言語づくりにはやや不適です。

 まず、人工言語の目的(目標)を決めましょう。1.1 で述べたとおりです。

 小説の雰囲気作りのための言語、小説に登場する本格的な言語、架空世界で話されている設定の言語、エスペラントに次ぐ第二の国際補助語、といったようなかんじです。

2. 大まかな世界設定を作る

※世界を設定しないなら省略します。

 ある程度の世界設定をつくります。最低でも気候と風土は決めましょう。この時点では詳しく設定する必要はありません(本格的な世界設定をするなら、1ヶ月はかかると思います。その間に熱意が冷めてしまっては元も子もありません)。言語が話されている地域付近の歴史や文化、宗教程度で結構です。別大陸の文化まで作る必要はないでしょう。

3. 発音を決める

 その言語の発音を決めましょう。母音の数、子音の数、声調の有無、アクセントやイントネーションなど。

 最初は母音も子音も多くしすぎないのがおすすめです。母音は6個まで、子音は25個までに抑えるとよいです。理由は次文で。

 あまりにも難しい発音(アクセント)にすると自分でも発音できなくなって、言語を広める際に支障をきたすおそれがありますのでご注意ください。

4. 文字を決める

 オリジナルの文字を作るのでなくても、どんな文字を使うのかは決めておく必要はあります。

 まず表音文字か表語文字(表意文字)かのどちらにするか決定しましょう。表音文字なら多くても100文字用意すれば事足りるので作るのが楽です。そのかわり字面の楽しみは減ります。逆に表語文字なら文字を作るのが非常に大変になりますが、漢字と同じく多様な文字を楽しめます。

 次にオリジナルの文字にするか否かを決めます。オリジナルにするなら、いずれフォントも作らなければなりません。フォントができるまでの間は現実にある文字で転写することになるので、先に転写規則を決めておきましょう。

 3. と4. は同時進行的に行うのがおすすめです。発音と文字にはそれなりに深い関わりがあるためです。

5. 単語を作る

 文法を説明するのに必要な最小限の単語をつくっておきます。「食べる」「歩く」「遊ぶ」といった基本的な動詞は必須レベルです。この時点であまりにも複雑な単語(「認識論」とか「グラフィックボード」とか「対数関数」とか)を作ると、のちのち辻褄を合わせるのに追われる羽目になるので推奨しません。

 この時点では人称代名詞など含めて100単語もあれば十分でしょう。

6. 文法を作る

 さて、いよいよ言語の骨組みである文法の作成に取り掛かります。最低でも平叙文(肯定文)、否定文、疑問文、命令文などの作り方や動詞の活用、格の表し方などは作っておきましょう。おそらく、文法は何度か修正することになります。そうなってもおかしいわけではないので、安心してください。

7. 辞書を作る

 文法と発音、文字が整ってきたら今度は語彙をまとめた辞書を作ります。辞書はパソコンで作成することを非常に強く推奨します。100語程度ならともかく、500語とかになってくると紙で語彙を記録するのはとても面倒ですし、単語の意味や語法を変更するときに修正しにくくなります。

 おすすめの辞書作成サイトは、Zpdic Online です。シャレイア語という、言語学オリンピックにも出題されたことのある人工言語を作っている方が管理しているサイトです。

8. 語彙を増やす

 人工言語にとって語彙は重要です。何か言い表したいことがあっても語彙がなければ言い表せません。

 とはいえ、どんな単語を追加すればよいか闇雲に頭の中で考えても、作るべき単語はいまいち思い浮かばないと思います。そんなときにおすすめなのが、身の回りを見渡すこと、および、インターネットや辞書で例文や文章を検索することです。

 当然ですが、語彙数を限定した言語を作る場合には、この作業に注力する必要はあまりありません。

9. 不自然な点の修正、および文法、単語の用法などの精密化

※ここは飛ばしても構いません。

 ここまで到達すると、文法や発音、文字、語彙などに不足の点があったり、あるいは矛盾した点、変な点が出てくることと思います。こういった点は厳密さに重点を置くならすぐさま修正しましょう。厳密さに重きを置かない場合でも、積もりすぎると言語運用に違和感が出るので、時々は手を付けましょう。

 以上の9工程により、実用レベルの人工言語を作成できると思います。